to不定詞の名詞的用法とは|3つのパターンと他の用法との見分け方も例文つきで解説
英語の重要な文法事項の一つに「to不定詞」があります。
to不定詞とは〈to + 動詞の原形〉という形をとる句のことで、動詞の性質を残しながら名詞・形容詞・副詞のいずれかの働きをします。
この記事では、to不定詞の用法の一つである名詞的用法について説明していきます。
to不定詞の形容詞的用法、副詞的用法についてはこちらの記事をご覧ください。
to不定詞の名詞的用法とは
to不定詞の名詞的用法とは
to不定詞が文の中で名詞の働きをして、主語や目的語、補語になることを「to不定詞の名詞的用法」と呼びます。日本語では「~すること」という意味になります。
主語になる場合
主語になる場合
(1) To learn English is fun.
英語を学ぶことは楽しい。
(2) To exercise regularly is important.
定期的に運動することは大切だ。
(3) It is important to exercise regularly.
定期的に運動することは大切だ。
(1)(2)では、to不定詞が文頭の「主語の位置」に置かれています。ただし、このような表現は現代英語ではあまり見られません。通常は(3)のように形式主語の It を使い、真の主語のto不定詞を文の後方に置く形がとられます。
目的語になる場合
目的語になる場合
(1) I want to be a pilot.
私はパイロットになりたい。
(2) I like to play baseball.
私は野球をすることが好きだ。
(3) I feel it difficult to get up early.
私は早起きすることが難しいと感じる。
(1)(2)では、to不定詞が want、like という動詞の目的語になっています。
(3)は、to不定詞が第5文型 (SVOC) の文の目的語 (O) になる例です。この場合は、動詞の後に形式目的語の it を置き、真の目的語のto不定詞を補語(C)の後に置く形がとられます。
下の表は、to不定詞を目的語にとる主な動詞の一覧です。
英語 | 日本語 |
---|---|
would like to V(動詞の原形) | 〜したい(want to より丁寧な表現) |
need to V | 〜する必要がある |
hope to V | 〜することを望む |
try to V | 〜してみる |
plan to V | 〜することを計画する |
tend to V | 〜する傾向にある |
refuse to V | 〜することを断る |
agree to V | 〜することに同意する |
promise to V | 〜することを約束する |
expect to V | 〜することを期待する |
decide to V | 〜しようと決める |
manage to V | なんとか〜する |
wish to V | 〜したいと願う |
補語になる場合
補語になる場合
(1) My dream is to be a basketball player.
私の夢はバスケットボール選手になることです。
(2) He seems to be ill.
彼は病気のように見える。
(1)ではbe動詞の後に、(2)では動詞 seems の後にto不定詞が続いています。これらのto不定詞は主語の内容を説明する補語の役割を果たしています。
この記事に関連するQ&A
to不定詞の見分け方
to不定詞の見分け方
副詞的用法・形容詞的用法と見分ける方法
to不定詞の名詞的用法を副詞的用法・形容詞的用法と見分ける方法は簡単です。
具体的には、to不定詞がどの品詞の働きをしているかに着目して判断します。
例題を通して見てみましょう。
次の各文の下線部の用法を「名詞的用法」「副詞的用法」「形容詞的用法」の中から選びなさい。
(1) Luckily, he had friends to help him.
(2) It is dangerous for children to stay here.
(3) I’m glad to see you.
(1) 形容詞的用法。下線部は「friends」という名詞を後ろから修飾する形容詞の働きをしている。
(2) 名詞的用法。下線部は形式主語 It の内容を表す真主語 (= 名詞) の働きをしている。
(3) 副詞的用法。下線部は「glad」という形容詞の原因を説明する副詞の働きをしている。
名詞的用法の役割を見分ける方法
今度は、名詞的用法の中の役割を見分ける方法を見てみましょう。
上で見たように、to不定詞の名詞的用法の役割は、主語・目的語・補語の3つです。テストなどで名詞的用法の役割を問う問題が出されたら、この3つのどれに当たるかを考えてみてください。
例:I planned to go abroad this summer.
次の(1)~(3)の文から、下線部が上の例文の下線部と同じ役割であるものを選びなさい
(1) I’d lilke to watch this movie.
(2) It is fun to watch Japanese movies.
(3) My hobby is to watch movies.
正解は (1) です。
例文のto不定詞は planned の目的語、(1)のto不定詞は like の目的語です。
(2)のto不定詞は主語(仮主語 It の内容を表す真主語)、(3)のto不定詞は、主語 (My hobby) の内容を説明する補語です。
疑問詞 + to不定詞
疑問詞 + to不定詞
〈疑問詞 + to不定詞〉は主に動詞や前置詞の目的語として使われます。このto不定詞自体は名詞的用法ではありませんが、全体で名詞句として使われるため、ここで紹介することにします。
(1) He knows how to use this tool.
彼はこの道具の使い方を知っている。
(2) I thought about who to invite to the party.
私はパーティーに誰を招待すべきか考えた。
(1)では〈how + to不定詞〉が動詞 knows の目的語に、(2)では〈who + to不定詞〉が前置詞 about の目的語になっています。
〈疑問詞 + to不定詞〉の形で使われる疑問詞には次のものがあります。
〈疑問詞 + to不定詞〉 | 和訳 |
---|---|
what to V(動詞の原形) / what + 名詞 + to V | 何を〜するか / どんな…を~するか |
how to V | 〜する方法 / どう〜するか |
where to V | 〜する場所 / どこで〜するか |
when to V | 〜するとき / いつ〜するか |
which to V / which + 名詞 + to V | どれを〜するか / どの…を~するか |
whether to V / whether to V1 or V2 | 〜するか否か / 〜するか、それとも〜するか |
なお、whether は疑問詞ではありませんが、疑問詞と同じように使われるので、表に含めています。
練習問題
練習問題
最後に練習問題を解いてみましょう。
問1 to不定詞の名詞的用法が使われている文を下から選びなさい。
(1) I want something to drink now.
(2) I studied hard to pass the exam.
(3) She appears to be rich.
問2 以下の文を英訳しなさい。
(1) その問題に答えることは簡単だった。
(2) あなたはその試合に勝つことが難しいと分かるだろう。(動詞は find を使うこと)
問1
正解 (3)
(解説)
(1) to drink が代名詞 something を修飾している 「形容詞的用法」。
(2) to pass the exam が動詞 studied を修飾している 「副詞的用法」。
(3) to be rich が補語として主語の内容を説明している「名詞的用法」。
問2
(1) It was easy to answer the question.
(2) You will find it difficult to win the game.
(解説)
(1) to不定詞が主語になる文では、仮主語の It を使うことが望ましい。
(2) find は第5文型(SVOC)をとるので、仮目的語の it を使う.
to不定詞には前置詞の to と同じ「指し示す」イメージがあります。そのため、to不定詞は主に「これからすること」を表します。