to不定詞の副詞的用法|働きによる分類と他の用法との見分け方まで例文付きで解説
英語の重要な文法事項の一つに「to不定詞」があります。
to不定詞とは〈to + 動詞の原形〉という形をとる句のことで、動詞の性質を残しながら名詞・形容詞・副詞のいずれかの働きをします。
この記事では、to不定詞の用法の一つである副詞的用法について説明していきます。
to不定詞の名詞的用法、形容詞的用法についてはこちらの記事をご覧ください。
to不定詞の副詞的用法とは
to不定詞の副詞的用法とは
to不定詞が文中で副詞の働きをして名詞以外の語句や文を修飾する用法を「to不定詞の副詞的用法」と呼びます。
以下では、to不定詞の副詞的用法が表す様々な意味について見ていきます。
「目的」を表す
「目的」を表す
(1) I came here to see you.
私はあなたに会うためにここに来た。
(2) He got up early to catch the 7:30 train.
彼は7時30分の電車に乗るために早く起きた。
上の例文の to see you / to catch the 7:30 train は、それぞれ I came here / He got up early という行為の「目的」を表しています。日本語では「~ために」という意味になります。
なお、「目的」を表すto不定詞は、直前に in order や so as を加えて、in order to see you(あなたに会うために)、so as to catch the 7:30 train(7時30分の電車に乗るために)のようにすることもできます。
「結果」を表す
「結果」を表す
(1) I woke up to find myself in the hospital.
私は目を覚ますと、自分が病院にいることに気がついた。
(2) He grew up to be a scientist.
彼は成長して科学者になった。
(3) He worked hard, only to fail the exam.
彼は一生懸命に勉強したが、結局は試験に落ちた。
(4) He left the city, never to come back.
彼は街を出て、二度と帰らなかった。
(1)(2)の to find myself in the hospital / to be a scientist は、それぞれ I woke up / He grew up という行為の「結果」を表しています。日本語では「(…した結果)~した」という意味になります。
結果を表すto不定詞の前に only を置いて〈~, only to + 動詞の原形〉とすると、(3)のように「~、しかし結局…しただけのことだった」という意味になります。
また、結果を表すto不定詞の前に never を置いて〈~, never to + 動詞の原形〉とすると、(4)のように「~、そして二度と…しなかった」という意味になります。
「感情の原因」を表す
「感情の原因」を表す
副詞的用法のto不定詞は、感情を表す形容詞や動詞と結びついて「感情の原因」を表すことができます。この場合のto不定詞は、基本的に「~して」と訳します。
(1) I’m glad to see you.
私はあなたに会えて嬉しい。
(2) She wept to hear her dog had died.
彼女は飼い犬が死んだことを聞いて涙を流した。
(1)は感情を表す形容詞の glad を、(2)は感情を表す動詞の wept を使った例です。
「感情の原因」を表すto不定詞とともに使われる主な形容詞は以下の通りです。
形容詞 | 意味 |
---|---|
glad・happy・delighted・pleased | 〜してうれしい |
sorry | 〜して残念だ |
surprised | 〜して驚いた |
disappointed | 〜してがっかりした |
excited | 〜して興奮した |
satisfied | 〜して満足した |
「判断の根拠」を表す
「判断の根拠」を表す
副詞的用法のto不定詞は、foolish、kind、smart などの「人の性質・人柄・能力などを示す形容詞」や must、cannot などの「判断を伴う助動詞」とともに使うことで「判断の根拠」を表すことができます。この場合のto不定詞は、「~なんて」「~するとは」のように訳すことができます。
(1) You were foolish to spend so much.
あなたはそんなにお金を使うなんて愚かだった。
(2) It was foolish of you to spend so much.
あなたはそんなにお金を使うなんて愚かだった。
(3) He must be a genius to write such a wonderful story.
そんなに素晴らしい物語を書くとは、彼は天才に違いない。
(4) How kind she is to take care of my son!
息子の面倒を見てくれるなんて、彼女はなんて優しいんだ。
(1)と(2)は同じ意味で、相互に書き換えることができます。(to不定詞の書き換え問題の頻出項目です。)
(3)は助動詞の must を使った例です。
「判断の根拠」を表すto不定詞は、(4)のように感嘆文でもよく使われます。
to不定詞とともに使われる「人の性質・人柄・能力などを示す形容詞」には、次のようなものがあります。
形容詞 | 意味 |
---|---|
careful/careless | 注意深い/不注意な |
clever・smart・wise/stupid・foolish・silly | 賢い/愚かな |
kind・good・nice | 親切な |
polite/rude | 丁寧な/無礼な |
brave | 勇敢な |
「程度」を表す
「程度」を表す
「程度」を表すto不定詞は、主に次のイディオムで使われます。
(1) I was too busy to attend the meeting.
私は忙しすぎて会議に出席できなかった。
(2) She was kind enough to show me the way.
彼女は親切にも私に道を教えてくれた。
(3) She was so kind as to show me the way.
彼女は親切にも私に道を教えてくれた。
(1)の〈too + 形容詞 + to不定詞〉は「~するには…すぎる」「…すぎて~できない」という意味のイディオムです。
(2)の〈形容詞 + enough + to不定詞〉と(3)の〈so + 形容詞 + as + to不定詞〉はほぼ同じ意味のイディオムで、「~するのに十分なほど」という意味になります。
いずれのto不定詞も、前に置かれた形容詞を修飾しています。
「条件」を表す
「条件」を表す
「条件」を表すto不定詞は「もし~したら」という意味になり、しばしば仮定法で使われます。
(1) He will be surprised to hear the news.
その知らせを聞いたら、彼は驚くだろう。
(2) To hear him talk, people would take him for a genius.
彼が話すのを聞けば、人は彼を天才と思うだろう。
(1)は直接法、(2)は仮定法の例です。
独立不定詞
独立不定詞
文中の他の要素と文法上の関係がなく、文全体を修飾するto不定詞を「独立不定詞」と呼びます。
独立不定詞には、次のようなものがあります。
独立不定詞 | 意味 |
---|---|
to begin with | まず第一に |
to make a long story short | かいつまんで言えば |
to tell the truth | 実を言うと |
to be honest | 正直に言うと |
so to speak | 言わば |
needless to say | 言うまでもないが |
to make matters worse | さらに悪いことには |
to say nothing of ~ | ~は言うまでもなく |
not to say ~ | ~とは言わないまでも |
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他の用法との見分け方
他の用法との見分け方
to不定詞の副詞的用法を名詞的用法・形容詞的用法と見分ける方法は簡単です。
具体的には、to不定詞がどの品詞の働きをしているかに着目して判断します。
例題を通して見てみましょう。
次の各文の下線部の用法を「名詞的用法」「副詞的用法」「形容詞的用法」の中から選びなさい。
(1) It is dangerous for children to stay here.
(2) I made a decision to buy a new bike.
(3) I’m disappointed to find that she is out.
(1) 名詞的用法。下線部は形式主語 It の内容を表す真主語 (= 名詞) の働きをしている。
(2) 形容詞的用法。下線部は「decision」という名詞を後ろから修飾する形容詞の働きをしている。
(3) 副詞的用法。下線部は「disappointed」という形容詞の原因を説明する副詞の働きをしている。
練習問題
練習問題
最後に練習問題を解いてみましょう。
問1 to不定詞の副詞的用法が用いられている文を下から選びなさい。
(1) I can’t find a house to live in.
(2) He grew up to be a professional pianist.
(3) It is a lot of fun to swim in the sea.
問2 以下の文を英訳しなさい。
(1) We went to the store, only to find it closed.
(2) He must be a fool to say so.
(3) She would be stupid to decline this offer.
問1
正解 (2)
(1)の to live in は、直前の名詞 house を修飾している。 → 形容詞的用法
(2)の to be a professional pianist は、He grew up という行為の「結果」を表している。 → 副詞的用法
(3)の to swim in the sea は、形式主語 It の内容を表す真主語の働きをしている。 → 名詞的用法
問2
(1) 私たちはその店に行ったが、結局閉まっていることが分かっただけだった。(「結果」)
(2) そんなことを言うとは、彼は馬鹿に違いない。(「判断の根拠」)
(3) この申し出を断るとしたら、彼女は愚かだ。(「条件」)
to不定詞の副詞的用法は様々な意味を表しますが、その内容は文脈から読み取れる場合がほとんどです。日本語訳にはあまりこだわらず、多くの例文を読んで感覚を身につけるようにしましょう。