英語の倒置法|倒置が生じる理由や使い方、倒置の構文まで例文付きで丁寧に解説

更新日時 2021/11/15

この記事では、英語の表現の一種である倒置について解説しています。

英語の表現技法として他に代表的なものでは、強調構文・挿入・省略・同格があります。 以下の記事で詳しく解説しているので是非ご覧ください。

目次
  • 英語の倒置とは

  • 強調のための倒置

  • 文法上の倒置

  • 【大学受験英語対策】練習問題

英語の倒置とは

(1) I have never seen such a beautiful sight.
私はこれまで一度もこんなに美しい光景を見たことがありません。

(2) Never have I seen such a beautiful sight.
私はこれまで一度もこんなに美しい光景を見たことがありません。

普通、英語の語順は〈主語+(助)動詞〉ですが、文の内容を強調するためや文法上の都合で主語と(助)動詞の語順を逆にすることがあります
この表現技法を倒置といいます。

(1)は普通の平叙文である一方、倒置が用いられている(2)では、「一度も見たことがない」ことがより強調されて伝わります。

倒置の役割

上でも軽く述べましたが、英語の倒置は文の内容を強調するための倒置文法上必要な倒置の2つのパターンに分けられます。

文の内容を強調するための倒置とは、文法上倒置にする必要があるわけではない場合に、あえて倒置をしてその部分に焦点をあてることで、その文の強調をするものです。

文法上必要な倒置とは、疑問文やnorを使った節のように、ある構造を作り出すため、倒置が義務的に求められるもののことです。

それぞれ以下の見出しで説明していきます。

強調のための倒置

この見出しでは文の意味内容を強調するために使われる倒置の用法を細かく解説していきます。

否定語が文頭に出る場合

(3) Not a word did he say.
彼は一言も言わなかった。

(4) Never have I been impressed so far.
ここまで感動したことは一度もない。

(5) Rarely have I had such a good experience.
私はここまでいい経験をしたことはほとんどない。

例文のように、never(一度も~ない、決して~ない)や、rarely(めったに~ない)のような否定を表す副詞(句)を文頭に置くことで、否定の意味を強調することがあります。

このとき、否定語の後の要素は疑問文と同じ語順になります。

never、notについてはこちらの記事で説明しています。是非ご覧ください。

No sooner ~ than …

(6) No sooner had I got off the train than I dashed to the office.
列車を降りるや否や、私はすぐに職場へ向かった。

例文のように、〈No sooner ~ than …〉の形で「~するとすぐに、~するや否や」という意味を表す表現になります。No sooner の後の部分は疑問文の語順にします。

間髪入れずに次の行動へ移った」というニュアンスが感じられる表現です。

Hardly[Scarcely] ~ when …

(7) Hardly[Scarcely] had I sat down when my phone rang.
座るとすぐに私の電話が鳴った。

例文のように、〈Hardly[Scarcely] ~ when …〉のように準否定語を用いた形で「~するとすぐに、~するや否や」という意味の表現になります。

こちらも否定語が前に出て倒置が起こる仕組みのため、Hardly[Scarcely] の後の部分は疑問文の語順にします。

補語になる形容詞が文頭に出る場合

(8) Available is a sweet room.
スウィートルームが利用できます。

(9) Certain it is that both of them will disagree.
両者が反対することは確かです。

(10) Happy is the person who finds someone to love.
愛すべき人を見つけられた人は幸せです。

第二文型(SVC)の文において、補語の形容詞が文頭に置かれて倒置が起こることがあります。

(8)では、available という形容詞が文頭に出ることで強調されています。このとき主語が名詞(句)の場合は(ここではa sweet roomが主語)、主語と動詞が入れ替わります。

一方(9)のように主語が代名詞の場合、主語と動詞の倒置は起こりません。例文でも Certain it is… となっており通常の「主語+動詞」の語順です。

また主語が長い場合、補語が前に出て倒置が起こることで、文を読み取りやすくする場合があります。(10)は The person who finds someone to love is happy. という元の文から、長い主語を後ろに移動させることでできています。

倒置の構造がわかりづらい場合は、文を元の形に戻して考えてみましょう。

〈(as)+補語+as[though]+S+V …〉

(11) Tired as she was, she went to the party.
彼女は疲れていたけれども、そのパーティーへ行った。

(12) Tired as she was, she went to bed early.
彼女は疲れていたので、早めに寝た。

〈(as)+補語+as[though]+S+V …〉の語順で、(11)のように譲歩や、(12)のように理由の意味を表すことがあります。

譲歩の訳は「~だけれども」、理由の訳は「~ので」とすればよいでしょう。

この二つの用法については文脈での判断が必要です。

比較を表す形容詞句が文頭に出る場合

(13) More significant is what you can do.
より大事なのはあなたが何をできるかです。

(14) Most surprising of all is that you have joined the baseball club.
最も驚くべきことはあなたが野球部に入ったことです。

(15) Just as disappointing is that you did such a foolish thing.
がっかりしたのは、あなたがそんな愚かなことをしたことです。

比較を表す形容詞句が文頭にある場合、主語と動詞の語順は入れ替わります。
(13)は比較級、(14)は最上級、(15)はasを使った同格の表現の場合の例文です。

場所や方向に関する語句が文頭に出る場合

(16) Here comes the bus.
バスが来たよ。

(17) Here I come.
私が来たぞ。

(16)のように、場所や方向をあらわすthereやhereが文頭に置かれると、主語と動詞が倒置されます。

ただし、(17)のように主語が人称代名詞の場合、倒置は起こらないため注意が必要です。

副詞(句)が文頭に出る場合

(18) Well do I know the town.
この町をよく知っている。

(19) Often had I wondered at her hairstyle.
彼女の髪型についてしばしば不思議に思った。

(20) On the left is my house.
左手にあるのは私の家です。

副詞的修飾語句を文頭に置くと、主語と動詞の倒置が起こることがあります。
主にこのような文体は、文に躍動感を与えるために用いられることが多いです。

so … that、such … that が文頭に出る場合

(21) So shocked was I that I started crying.
私はとてもショックを受けたので泣き始めた。

(22) Such was the success of my job that I promoted to the company executive.
私は仕事で成功をおさめたのでその会社の役員に昇進した。

so ~ that …(とてもAなので…だ)
such ~ that …(とてもAなので…だ)
などの構文では、soやsuchを文頭に置き、主語と動詞を倒置させることで内容を強調することができます。

分詞が文頭に出る場合

(23) Speaking at today’s meeting will be the president of this company.
今日の会議で話すのはこの会社の社長です。

(24) Attached is a work manual.
仕事のマニュアルを添付します。

動詞の分詞形が使われている句が文頭に置かれると、主語と動詞の倒置が起こります。
(23)は現在分詞、(24)は過去分詞の例です。

セリフが文頭に出る場合

(25) “Never mind.” said Yumi.
「気にしないで。」とユミが言った。

(26) “Don’t worry.” he said.
「心配ないぜ。」と彼は言った。

直接話法における会話のセリフを文頭に出すことで、セリフ部分を強調することがあります。この際、主語と動詞の倒置が起こります

ただ、(26)のように主語が代名詞の場合倒置は起こりません。

感嘆文

(27) What a impressive story is this novel!
この小説はなんて印象的な話だろうか。

(28) How cool is this car!
この車はなんてかっこいいのでしょう。

驚きをあらわす感嘆文では、強調のための倒置が必然的に起こります。例文のように、名詞と動詞が倒置されます。

ちなみに感嘆文はやや古風な表現であり、使用頻度は低いです。

文法上の倒置

この見出しでは文法上倒置の必要があるものを紹介します。

So、Nor、Neitherなどを使った返答

(29) “I would like to go skiing.” - “So am I.[Me, too.]”
「スキーに行きたいです。」「私もです。」

(30) “I don’t like this movie very much.” - “Nor do I.[Me,neither./I don’t, either.]”
「この映画はあまり好きではありません。」「私もです。」

〈so + 疑問文の語順〉
~もそうだ」という肯定文への同意を、
〈Neither[Nor] + 疑問文の語順〉
~もそうでない」という否定文への同意を表すことができます。

疑問文

(31) Are you Japanese?
あなたは日本人ですか。

(32) Did you go to school yesterday?
あなたは昨日学校に行きましたか。

(33) Where did you go last weekend?
先週の週末はどこに行ったのですか。

普段何気なく使っている疑問文も倒置が用いられています。疑問文は主語と助動詞(be動詞)を倒置させます。

(31)はbe動詞を使った疑問文です。be動詞を使う場合、主語とbe動詞を倒置させます

(32)は一般動詞を用いた疑問文です。一般動詞の場合、助動詞と主語の倒置が起こります。(33)のように疑問詞を用いることもできます。

また、間接疑問文はS+Vの語順になることが普通ですが、場合によってV+Sになることがあります。間接疑問文については以下の記事で説明しています。

→現在作成中

There is構文

(34) There is an apple.
リンゴがある。

「〜がある」と存在を表すThere is構文では、形式上の主語はThereですが、意味上の主語は動詞の後の名詞です。
そのため、動詞と意味上の主語が倒置されていると考えることができます。

上の例文でも、〈There+be動詞+主語〉の形になっています。

as, thenなど接続詞を使った節

(35) People who exercise regularly are happier than are those who do not exercise much.
定期的に運動する人は、運動をあまりしない人よりも幸福である。

(36) All of her children agree, as do her parents.
彼女の子供みんなも、彼女の両親も同意しています。

(37) The harder I studied English, the more did I realize the difficulty of English.
懸命に英語を勉強すればするほど、私は英語の難しさに気づいた。

asやthanなどの接続詞を使った節において、倒置が生じることがあります。

(35)は接続詞thanを使った文です。than are those… のように、主語とbe動詞が入れ替わっています。

(36)のように接続詞asを使った文や、(37)のように〈the+比較級, the+比較級〉の文で倒置が起こることもあります。

if が省略される場合

(38) Should you become ill, what would you do?
万一病気になったら、あなたはどうしますか。

(39) Had it not been for the congestion, we would have been in time.
もしその渋滞がなかったら、時間に間に合っただろう。

(40) Were I a bird, I would fly to you.
もし私が鳥なら、あなたのもとに飛んでゆくのに。

「もし~だったら、~だろうに」という仮定法の文章ではIfが使われるのが基本ですが、以下の3つを含むパターンのみで、Ifを省略しても仮定法を表すことができます。この際には倒置が起こります。

  • should (38)
  • had+過去分詞 (39)
  • be動詞(were)(40)

この倒置は基本会話ではなく、文語で使われます。

仮定法についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、是非ご覧ください。

→現在作成中

祈願文

(41) May your dreams come true.
あなたの夢がかないますように。

祈願文は〈May+主語+動詞〉の語順で、「~しますように、~でありますように」など、願望や祈りを表現したいときに使う祈願文。英語ではとなり、倒置が起こるのが特徴です。

祈願文は主に文語で使用され、フォーマルな文章などで見られることのある表現です。

【大学受験英語対策】練習問題

練習問題

問1 次の英文を和訳しなさい。
No sooner had I come back my home than I heard the sound of dishes breaking.

問2 次の [ ] 内の語句を並び替え、正しい英文にしなさい。
(訳)彼女は若いけれども有能な教師だ。
[ young / , / she / she / is / is / as / a / capable / teacher ].

問3 次の英文で( )にあてはまる語句を答えなさい。
( )for your help, we would have got lost.
(訳)
あなたの助けがなかったなら、私たちは道に迷っていたでしょう。
1.Had it not been
2.Had not it been
3.If you have been
4.If it had not

解答

問1
(訳)家につくとすぐに私は皿が割れる音を聞いた。
(解説)
No sooner ~ than …〉の和訳はよく問われます。覚えておきましょう。

問2
Young as she is, she is a capable teacher.
(解説)
「彼女は若いけれども」の訳から譲歩を表す表現を選択肢の中から探しますが、though のような明らかに譲歩を表す単語がありません。ここで、〈(as)+補語+as[though]+S+V …〉の形で譲歩の意味を表せることを思い出し、選択肢の中に young と as があるので作成可能と判断します。

問3
1. Had it not been
(解説)
訳から「~がなかったら」という仮定法のIfが省略された形の〈Had it not been ~〉を選びます。ちなみにifが省略されていない場合は「If it had not been for your help,」となります。

倒置を完全に理解し、慣れることができたら英語の小説も理解がしやすくなるでしょう。筆者は受験直前まで慣れることができず、小説の問題が非常に苦手でした。

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