no+名詞の使い方|単数複数での意味の違いや似た否定語まで例文付きで解説

no という語には、「いいえ」という否定の答えを表す用法のほかに、〈no + 名詞〉の形で「少しの~もない」「一つも~ない」という意味を表す用法があります。

この用法の no は、形としては名詞を否定していますが、働きとしては文全体を否定します。

この記事では〈no + 名詞〉を理解する上でのポイントについて詳しく解説していきます。

不可算名詞の否定

no + 不可算名詞〉は「少しの~もない」という意味を表します。

不可算名詞の否定には not any も使われますが、no の方が強い否定を表します

(1) I have no money with me.
≒ I don’t have any money with me.
私は手持ちのお金が少しもない。

(2) There is no need to apologize.
≒ There isn’t any need to apologize.
謝る必要は少しもない。

可算名詞の否定

no + 可算名詞〉は「一つの~もない」「一人の~もいない」という意味を表します。

no の後に置かれる可算名詞は、単数であることが普通の場合は単数形を、複数であることが普通の場合は複数形を使います。単複どちらもあり得る場合は、単数形の方が強い否定表現になります。

(3) There is no swimming pool in my school.(名詞は単数形を使う)
私の学校にはプールがない。
(学校のプールは単数であることが普通)

(4) Tom has no friends.(名詞は複数形を使う)
トムには友人が一人もいない。
(友人は複数いるのが普通)

(5)
A: No student was injured.(単数形
B: No students were injured.(複数形
けがをした学生は一人もいなかった。
(A は B より強い否定を表す)

no + 可算名詞〉における no は、not anot any で置き換えることができますが、前述のように no の方が強い否定を表します。ただし、文頭で Not a を用いた場合は、例外的に No より強い否定になります。(not any は文頭で使用できません。)

(3’) There isn’t a swimming pool in my school.
私の学校にはプールがない。

(4’) Tom doesn’t have any friends.
トムには友人が一人もいない。

(5’)
 Not a student was injured.
× Not any students were injured.
けがをした学生は一人もいなかった。

補語になる名詞の否定

no が be動詞の補語として働く「名詞」または「形容詞 + 名詞」の前に置かれると、「決して~でない」という強い否定を表します。

(6) He is no fool.
彼は決して愚かではない(むしろ聡明だ)。

(7) This is no easy task.
これは決して簡単な仕事ではない(むしろ難しい仕事だ)。

この用法の no には、単なる否定だけでなく、むしろ逆の意味を強調する働きがあります。

〈no + 名詞〉と同じ働きをする語句

nobody, no one, nothing などの語句には、〈no + 名詞〉と同じように文全体を否定する働きがあります。

(8) There was nobody in the room.
部屋には誰もいなかった。

(9) No one knows her name.
誰も彼女の名前を知らない。

(10) I have nothing to say.
言うことは何もない。

〈no + 名詞〉が文全体を否定しない場合

no + 名詞〉が文全体を否定せず、名詞の否定にとどまる場合もあります。

(11) No news is good news.
便りのないのは良い便り。

(12) It was a small room with no windows.
それは窓のない狭い部屋だった。

(11)(12)は、文全体としては肯定文になります。

練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

練習問題

問1 no を用いて次の文を英訳しなさい。

1.彼は車を持っていない。

2.午後10時以降はバスがない。

問2 次の文を和訳しなさい

He is no scholar.

解答

問1

1.He has no car.
(車を持っている場合は1台が普通なので、名詞は単数形を使います。)

2.There are no buses after 10 p.m.
(バスがある場合は複数が普通なので、名詞は複数形を使います。)

問2

彼はとても学者とは言えない。(彼が学者だなんてとんでもない。)

〈no + 名詞〉や〈no + 動名詞〉という形はしばしば掲示で用いられます。
“No Entry”「立ち入り禁止」、“No Photography”「撮影禁止」、“No Parking”「駐車禁止」、“No Smoking”「禁煙」など。