連鎖関係代名詞とは|仕組み・考え方・見分け方を例文と問題で徹底的にわかりやすく解説

関係代名詞で始まる節に別の節 (S + V) が挿入されて、〈関係代名詞 + S + V + V …〉という形になる場合があります。このような構文は「連鎖関係代名詞」と呼ばれます。

今回は、この連鎖関係代名詞について詳しく解説していきます。

連鎖関係代名詞の解釈

連鎖関係代名詞を含む文を解釈する場合は、挿入されている節をいったん外して考えます。

(1) I met a man who I thought was a Chinese.
私は中国人と思われる男性に会った。

この文では、関係代名詞 who の後に別の節 “I thought” が挿入されています。

このような文を解釈する場合は、まず挿入されている節 “I thought” をいったん外し、

I met a man who was a Chinese.
(私は中国人である男性に会った。)

という文を作ります。そしてこの文に、先ほど外した “I thought” の意味を加えて、「私は中国人と思われる男性に会った」とすれば解釈終了です。

別の文でも練習してみましょう。

(2) He is the only person who they say can prevent war.
彼は戦争を防ぐことができると言われている唯一の人物だ。

まず挿入されている “they say” を外して

He is the only person who can prevent war.
(彼は戦争を防ぐことができる唯一の人物だ。)

という文を作ります。そしてこの文に “they say” の「~と言われている」という意味を加えて、「彼は戦争を防ぐことができると言われている唯一の人物だ」とします。

連鎖関係代名詞に使われる動詞

関係代名詞の後に挿入される節には、主に次のような動詞が使われます。これらの動詞には that節を目的語にとるという共通点があります。

動詞 意味
think 思う
believe 信じる
say 言う
hear 聞く
know 知っている
find 気づく
expect 予想する

(3) The student who I had heard was smart turned out to be stupid.
私が賢いと聞いていたその学生は、実は頭が悪かった。

(4) The class which I’ve found is especially difficult is chemistry.
私が特に難しいと気づいた授業は化学です。

連鎖関係代名詞の応用

この項では、連鎖関係代名詞の発展的な内容について取り上げます。

関係詞の省略

連鎖関係代名詞の場合、主格であっても関係代名詞が省略されることがあります。

(5) I saw a man (who) I thought was a murderer of the case.
私はその事件の犯人と思われる男を見た。

(6) I bought a book (which) I thought would be of interest to my son.
私は息子の興味を引くと思われる本を買った。

この省略は、挿入された 「S + V」 によって主格の関係代名詞が目的格と誤解されることで起こります。この語法は、話し言葉では標準的になりつつありますが、今のところは避けた方が無難です。

what を用いた連鎖関係代名詞

先行詞を含む関係代名詞の what が連鎖関係代名詞として用いられることがあります。

(7) That’s what I thought you said.
あなたはそのように言ったと思いました。

(8) I decided to do what he said is right.
私は彼が正しいと言ったことをすることに決めた。

(7)の文は、

That’s what you said.
(それがあなたが言ったことだ。→ あなたはそのように言った。)

という文に “I thought” の意味を加えて、「あなたはそのように言ったと思いました」と解釈します。

(8)の文は、

I decided to do what is right.
(私は正しいことをすることに決めた。)

という文に “he said” の意味を加えて、「私は彼が正しいと言ったことをすることに決めた」と解釈します。

連鎖関係副詞

関係代名詞節と同じように、関係副詞節にも別の節が挿入されることがあります。このような構文は「連鎖関係副詞」と呼ばれます。

(9) There are a few situations where I think this rule does not apply.
この規則が当てはまらないと思われる状況が、いくつかあります。

(10) Tell me the time when you think you will arrive.
あなたが到着すると思う時間を教えてください。

(9)では関係副詞 where の後に I think が挿入されています。

(10)では関係副詞 when の後に you think が挿入されています。

二重限定との違い

関係代名詞の用法には、先行詞を2つの関係詞節で説明する二重限定というものがあり、その形が連鎖関係代名詞によく似ています。

例文を通して違いを見ていきましょう。

連鎖関係代名詞 vs. 二重限定

(連鎖関係代名詞)

  • This is the man who I know is rich.
    こちらが、お金持ちであると私が知っている男性です。

(二重限定)

  • This is the man (that) I know who is rich.
    こちらが、私が知っているお金持ちの男性です。

連鎖関係代名詞の文では、関係詞節の who is rich に I know が挿入されています。

一方、二重限定の文では、2つの関係詞節 (that) I know と who is rich が両方とも先行詞の the man を説明しています。 (目的格の関係代名詞 that は省略可能です。)

連鎖関係代名詞の例では、「私が知っている」のは「彼が金持ちであること」、つまり関係詞節 who is rich の内容になります。

一方、二重限定の例では、「私が知っている」のは「男性」、つまり先行詞の the man になります。

練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

例題

問1 日本語の意味に合うように、英文の空所に適切な語を入れなさい。
1.彼は私があなたの兄だと思っていた人だ。
He is the man (  )(  )(  ) (  ) your brother.
2.あなたが真実だと思うことを私に話してください。
Tell me (  )(  )(  )(  ) true.

問2 次の英文を和訳しなさい。
1.Tom is a person who I know can play the piano.
2.Tom is a person I know who can play the piano.

解答

問1
1.who I thought was

2.what you think is

問2
1.トムはピアノが弾けると私が知っている人です。
(解説)
who の後に I know が挿入されている連鎖関係代名詞の文。「私が知っている」のは「彼がピアノを弾けること」、つまり関係詞節 who can play the piano の内容になります。

2.トムは私が知っているピアノが弾ける人です。
(解説)
Tom is a person の後の関係代名詞 that が省略されている二重限定の文。2つの関係詞節 (that) I know と who can play the piano が両方とも先行詞の a person を説明しています。したがって、「私が知っている」のは先行詞の a person になります。

「連鎖関係代名詞」という名称は学校現場や辞書 ・参考書などでは使われていません。名称は気にせずに、「関係代名詞で始まる節に別の節が挿入されている形」と理解していただければ結構です。