英語の強調構文とは|it・what強調構文の使い方や見分け方まで例文で徹底解説

英文法では、文中のある語句の意味を強めたり、他の語句との対比を示すことを「強調」といいます。強調表現の一つである「強調構文」は高校英文法の重要な学習項目でもあります。

この記事では、「強調構文」の作り方を中心に「強調」の様々な方法について解説していきます。

「強調」の方法

「強調」には以下の5つの方法があります。
1.強調構文
2.what を使った強調
3.倒置
4.特定の語句をつけ加える
5.同じ語句を繰り返す

まずは強調構文から見ていきましょう。

強調構文

強調構文は〈It is [was] A that ~〉という形をとり、「~なのは A」という意味を表します。A の部分には強調される語句が入ります。

なお、A の部分に置けるのは名詞(句・節)・代名詞・副詞(句・節)に限られます。動詞や形容詞を置くことはできません。

例えば、

John bought a motorcycle last week.
(ジョンは先週オートバイを買った。)

という文からは、次の3種類の強調構文を作ることができます。

It was John that [who] bought a motorcycle last week.
(先週オートバイを買ったのは [他の誰でもなく] ジョンだ。)

It was a motorcycle that [which] John bought last week.
(ジョンが先週買ったのは [自転車や車などではなく] オートバイだ。)

It was last week that John bought a motorcycle.
(ジョンがオートバイを買ったのは [他のいつでもなく] 先週だ。)

①のように強調される名詞が「人」の場合、that の代わりに who を使うことができます。

②のように強調される名詞が「もの」の場合は、that の代わりに which を使うことができます。

主語となる代名詞を強調する場合

(1) It is I that [who] is [am] in charge.
(2) It is me that [who] is in charge.
責任者はです。

主語となる代名詞を強調する場合、文法的には(1)のように主格の代名詞を使うことが正しいとされますが、話し言葉では(2)のように目的格を使うのが一般的です。なお、(1)のように一人称の I を強調する場合、that [who] 以下の be動詞は is を用いるのが普通です。

節を強調する場合

強調構文は節を強調することもできます。

(3) It is what you can do that really matters.
本当に重要なのはあなたに何ができるかだ。

(4) It was not until the concert was over that she arrived.
彼女はコンサートが終わって初めて到着した。

(3)では名詞節、(4)では副詞節が強調されています。

(4)の〈It was not until ~ that …〉は「~して初めて…した」という意味になります。重要な構文なので覚えておきましょう。

疑問詞を強調する場合

疑問文の疑問詞を強調する強調構文は〈疑問詞 + is [was] it that + 平叙文 + ?〉という形になります。この構文を作るポイントは次の3点です。

①強調する疑問詞を文頭に置く。
②it is [was] の部分を疑問文の語順(is [was] it)にする。
③that 以下は平叙文の語順にする。

(5) When was it that you met Ken for the first time?
いつですか、あなたがケンと初めて会ったのは?

(6) Who was it that invented the television?
誰だったかな、テレビを発明したのは?

強調構文と形式主語の文の見分け方

It is ~ that …〉という形をした文が強調構文なのか形式主語の文なのかを見分ける場合は、次の2点に注目します。

① It is に続く部分が形容詞であれば形式主語の文。副詞(句)や節であれば強調構文。
② It is に続く部分が名詞の場合、that 以下の部分が完全な文の形をしていれば形式主語の文。(強調構文では、強調される名詞が that の前に移動するため、that 以下の部分では名詞が1つ欠けることになります。)

形式主語の文

(a) It is natural that he should get angry.
彼が怒るのも当然だ。

(b) It is a pity that you can’t come.
あなたが来られないのは残念だ。

(a)は、It is の後に形容詞の natural が来ているので形式主語の文になります。

It is の後が名詞である(b)は、that に続く部分が完全な文の形をしているので形式主語の文になります。

what を使った強調

関係代名詞の what を使った〈What ~ is [was] A〉という構文で、A の部分に入る語・句・節を強調することができます。

(7) What John bought last week was a motorcycle.
ジョンが先週買ったのはオートバイだ。

(8) What Tom did yesterday was to paint the fence.
トムが昨日したのは塀にペンキを塗ることだった。

(9) What I like is that there is a supermarket near my house.
私が気に入っているのは家の近くにスーパーがあることだ。

(7)は名詞、(8)は不定詞句、(9)は that節の強調の例です。

倒置

英語では、「強調」の意味を表すために特定の語句を文頭に移動させることがあります。このように、文に色合いを添えるために通常の語順を変化させることを「倒置」といいます。

(10) Never have I seen such beautiful scenery.
私はこれほど美しい景色を今までに一度も見たことがない。

(11) Little did he dream of his success in the project.
彼は企画が成功するとは夢にも思わなかった。

(10)(11)では、否定の意味を強調するために否定語が文頭に移動しています。否定語が文頭に置かれた場合、それに続く部分は疑問文の語順になります

倒置についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

特定の語句をつけ加える

一般動詞の強調

一般動詞を強調する場合は、直前に助動詞のdo / does / did を置きます。その際、強調される動詞は原形となります。

(12) He does look good in red.
彼は本当に赤い服が似合います。

(13) I did see a bear yesterday.
昨日本当にクマを見たんだ。

(14) Do sit down.
どうぞお座りください。

これらの do / does / did は強く発音されます。

名詞・代名詞の強調

名詞・代名詞の強調には、名詞の直前に形容詞の very を置いたり、名詞・代名詞の直後や文末に再帰代名詞 (oneself) を置く方法などがあります。所有格の場合は〈所有格 + own + 名詞〉の形で強調を表します。

(15) This is the very book I have been looking for.
これこそ私が探していたまさにその本だ。

(16) I myself went to see him.
= I went to see him myself.
私自身が彼に会いに行ったのです。

(17) I saw it with my own eyes.
私は自分自身の目でそれを見たのです。

形容詞・副詞の強調

形容詞・副詞を強調する場合は、直前に very などの副詞を置きます。比較級の強調には much, far, by far, still, even, a lot などを、最上級の強調には much, by far, very を使います。

(18) He is very tall.
彼はとても背が高い。

(19) She runs very fast.
彼女はとても速く走る。

(20) He is much [far, a lot] richer than me.
彼は私よりはるかに金持ちだ。

(21) This is much [by far] the most interesting story I’ve ever read.
これは私が今まで読んだ中で断然一番面白い物語だ。

疑問詞の強調

疑問詞を強調する場合は、直後に on earthin the world を置きます。

(22) Why on earth did you do such a thing?
一体なぜあなたはそんなことをしたのですか?

(23) What in the world are they doing?
彼らは一体何をしているのですか?

なお、疑問文一般の強調に at all が使われる場合があります。

(24) Why did you suggest it at all?
そもそもなぜあなたはそのような提案をしたのですか?

(25) Can you cook at all?
あなたはそもそも料理ができるのですか?

否定語 not の強調

否定語の not は、その前に really, simply, just などの副詞を置いたり、後に at all, by any means, in the least, in any way などの副詞句を置くことで強調することができます。

(26) I really [simply, just] don’t believe it.
そのことは全く信じません。

(27) I’m not afraid at all [in the least].
私は全く恐れていない。

同じ語句を繰り返す

and を用いて同じ語句を繰り返すことで、その語句を強調することができます。

(28) They laughed and laughed.
彼らは大いに笑った。

(29) I asked him again and again to stop smoking.
私は再三にわたって彼にタバコを止めるよう頼んだ。

練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

練習問題

問1 次の文の下線部を強調した強調構文を作りなさい。

I saw John at the station.

問2 次の文の下線部を強調した文を作りなさい。

1.I called you this morning.

2.That’s the car I saw yesterday.

3.This box is smaller than that one.

4.What has happened to you?

解答

問1
It was I [me] who [that] saw John at the station.
It was John that I saw at the station.
It was at the station that I saw John.

問2
1.I did call you this morning.

2.That’s the very car I saw yesterday.

3.This box is much smaller than that one.

4.What on earth [in the world] has happened to you?

強調構文に使われる that については「接続詞」としている辞書と「接続詞または関係代名詞」としている辞書があります。専門家の間でも意見が分かれるほどなので、that の品詞については悩まないことをお勧めします。