英語の挿入|カンマやダッシュを用いた文の訳し方・使い方、頻出の挿入句・節を解説

語や句、節などを文の途中に補足的に加えることを「挿入」といいます。挿入された語・句・節は元の文の要素にはならず、コンマ (,) やダッシュ (―) で区切って示されます。

今回は、この「挿入」について詳しく見ていきます。

語や句の挿入

文の途中に挿入される語や句には、名詞(句)と副詞(句)があります。

(1) Mr. James, our English teacher, is from Canada.
私たちの英語の先生であるジェームズ先生はカナダの出身だ。

(2) Platoon, a movie about the Vietnam War, won the Best Picture at the Academy Awards in 1987.
ベトナム戦争についての映画であるプラトーンは1987年にアカデミー作品賞を受賞した。

(3) Tom, however, never gave up.
しかしながら、トムはあきらめなかった。

(4) Skipping breakfast, for example, is not good for your health.
例えば、朝食を抜くことは健康によくない。

(5) He is, so to speak, a walking dictionary.
彼はいわば「歩く辞書」だ。

(1)(2)は名詞(句)の挿入の例です。挿入された名詞(句)は、直前の名詞と同格の関係になり、その名詞を補足的に説明します。

(3)(4)(5)は副詞(句)の挿入の例です。挿入に使われる副詞(句)は数多くありますが、そのうちのいくつかを下に示します。

副詞(句)
fortunately 幸運にも
moreover その上
nevertheless それにもかかわらず
therefore それゆえに
after all 結局
by the way ところで
in a sense ある意味では
in fact 実際は
in general 一般的に
in particular 特に
on the other hand 他方では

節の挿入

節の挿入においては、①副詞節、②関係詞節、③"I think" や “it seems” のような話者の判断を示す節などが用いられます。

(6) This tennis court, as far as I know, is not open to the public.
私の知る限り、このテニスコートは一般に開放されていない。

(7) A daughter is, as it were, a part of her mother.
娘というのは、いわば母親の一部です。

(6)(7)は副詞節の挿入の例です。他にも “as far as ~ is concerned”(~に関する限り)、“as you know”(ご存知の通り)などの副詞節が挿入に使われることがあります。

(8) The man, who smiled when he saw me, said nothing to me.
その男性は、私を見てにっこりしたが、私には何も言わなかった。

(8)は関係詞節の挿入の例です。挿入には、コンマを伴う「非制限用法」の関係詞節が使われます。

(9) Her new song, I think, will be released in June.
彼女の新曲は6月にリリースされると思う

(10) Table tennis, it seems, is safer than other sports.
卓球は他のスポーツより安全なようだ

(9)(10)は、話者の判断を表す節が挿入されている例です。他にも次のような節が挿入に使われることがあります。

I suppose 私は~と思う
I believe 私は~と信じる
I hope 私は~と望む
I am afraid 私は残念ながら~と思う
I am sure 私は~と確信している

文の挿入

まれな例として、文の中に別の文が挿入されることがあります。この場合、挿入される文はダッシュ (―) で区切られます。

(10) If you are wrong―and I am sure you are wrong―you must apologize.
もしあなたが間違っていたら―私はあなたが間違っていると確信しているが―あなたは謝らなければならない。

練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

練習問題

次の英文を和訳しなさい。

1.Japan is, in a sense, the safest country in the world.

2.Mr. Smith, as you know, teaches at Ken’s school.

3.Swimming in this river, I’m afraid, is prohibited.

解答

1.日本はある意味で世界で一番安全な国だ。

2.スミス先生はご存知の通りケンの学校で教えています。

3.この川で泳ぐことは残念ながら禁止されていると思います。

挿入されている語・句・節は元の文の要素にはならないので、挿入が行われている文を解釈する場合は、まず元の文を解釈し、それに挿入部分の解釈を加えるようにしてください。