部分否定と完全否定の違い|表現の作り方と見分け方まで例文・練習問題付きで解説

英語の否定には、「すべてが〜というわけではない」のように物事を部分的に否定する「部分否定」と、「すべてが〜でない」のように全体を否定する「完全否定(全否定)」があります。

今回は、この2種類の否定について詳しく見ていきます。

部分否定

部分否定は次の3通りに分類することができます。

①二者の部分否定
②三者以上の部分否定
③副詞を用いた部分否定

一つずつ順番に見ていきましょう。

二者の部分否定

「両方 (の)」を意味する both を否定文で用いると、「両方が~というわけではない」という部分否定の意味になります。

(1) I don’t want both (the) shirts.
私は両方のシャツが欲しいわけではない。

(2) I haven’t read both of these books.
私はこの本を両方とも読んだわけではない。

(1)は「一方のシャツは欲しい」、(2)は「一方の本は読んだ」という意味になります。

三者以上の部分否定

「すべて」の意味を含む allevery を否定文で用いると、「すべてが~というわけではない」という部分否定の意味になります。

(3) Not all students came.
すべての学生が来たわけではない。

(4) I didn’t eat all of them.
私はそれらを全部食べたわけではない。

(5) Not everybody was present.
全員が出席していたわけではない。

(6) I don’t know every one of you.
私はあなた方全員を知っているわけではない。

allevery を使った部分否定の文は、(3)~(6)のように、not → all、not → every という語順になりますが、これを all → not、every → not という語順にすると、部分否定・全否定の両方の意味を表すことになります。

この場合、上昇調のイントネーションは部分否定を、下降調のイントネーションは全否定を表します。

「部分否定」か「全否定」か

上昇調 = 部分否定

  • All students didn’t come.↑
  • Every student didn’t come.↑
    すべての学生が来たわけではない。

下降調 = 全否定

  • All students didn’t come.↓
  • Every student didn’t come.↓
    全ての学生が来なかった。

副詞を用いた部分否定

「常に」「必ず」「完全に」などを意味する副詞を否定文で用いると、「常に [必ず、完全に] ~というわけではない」という部分否定の意味になります。

部分否定を作る副詞には、次のようなものがあります。

altogether (まったく), always (常に), completely (完全に), entirely (完全に), necessarily (必ず), quite (まったく), totally (完全に) など。

(7) Clever people don’t always [necessarily] succeed.
利口な人が常に [必ずしも] 成功するわけではない。

(8) I didn’t completely [totally] understand what he was saying.
私は彼の言っていたことを完全に理解したわけではない。

全否定

次に全否定について見ていきます。

二者の全否定

二つのものを同時に否定する場合は、not … either または neither を使います。

例文(1)(2)を全否定の文に書き換えると、次のようになります。

(1’) I don’t want either shirt.
= I want neither shirt.
どちらのシャツもいりません。

(2’) I haven’t read either of these books.
= I have read neither of these books.
私はこの本をどちらも読んでいない。

eitherneither が名詞を修飾する場合は、(1’)のように単数形の名詞の前に置かれます。

三者以上の全否定

三者以上の全否定には、no, not … any, nobody, nothing, none などを使います。

例文(3)(4)(5)(6)を全否定の文に書き換えると、次のようになります。

(3’) No students came.
学生は誰も来なかった。

(4’) I didn’t eat any of them.
= I ate none of them.
私はそれらをまったく食べなかった。

(5’) Nobody was present.
誰も出席していなかった。

(6’) I don’t know any one of you.
= I know none of you.
私はあなた方を一人も知らない。

副詞(句)を用いた全否定

全否定を表す副詞(句)には、nevernot … at all があります。

例文(7)(8)を全否定の文に書き換えると、次のようになります。

(7) Clever people never succeed.
利口な人は決して成功しない。

(8) I didn’t understand what he was saying at all.
私は彼の言っていたことが全く理解できなかった。

練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

練習問題

次の文を①日本語に訳し、②全否定の文に書き換えなさい。

1.I don’t know both of his parents.

2.Not everything is pleasant in life.

3.He is not always honest.

解答

1.
私は彼の両親を二人とも知っているわけではない。
I don’t know either of his parents.
または I know neither of his parents.

2.
人生のすべてが楽しいというわけではない。
Nothing is pleasant in life.
または Not anything is pleasant in life.

3.
彼は常に正直というわけではない。
He is never honest.

本文で取り上げた all → not や every → not の語順の文は、部分否定と全否定の両方の意味になり得るので、誤解を避けるためにも使わない方が良いでしょう。