過去完了形の経験|例文とイラストで、現在完了形との違い、否定文・疑問文まで解説
この記事では、過去完了形の「経験用法」をテーマに、その意味や使い方、現在完了形との違い、共に使われる語句、疑問文・否定文の作り方などについて解説していきます。
過去完了形とは
過去完了形とは
現在完了形が、過去に起こった出来事を現在と結びつける形式であるのに対し、過去完了形は、「過去のある時点」と「その時より前の時点」を結びつける形式を言います。
つまり過去完了形は、現在完了形の「現在」と「過去」の関係を、そのまま「過去」と「さらに前の過去」へとスライドさせたイメージです。
過去完了形は、<主語 + had + 過去分詞>という形をとり、会話における had は、しばしば 'd のように省略されます。
文法書によってさまざまな分類がされている過去完了形ですが、本サイト(高校英文法の羅針盤)では、「結果(完了)」、「経験」、「継続」 の三つに分けて解説します。
この記事では「経験」の用法を取り上げますが、「結果(完了)」や「継続」の用法については、それぞれ以下の記事をご覧ください。
過去完了形:「経験」の用法とは
過去完了形:「経験」の用法とは
過去完了形の「経験」の用法は、過去のある時点までの経験を表します。日本語では「(過去のある時点までに)~したことがあった」という意味になります。
いくつか例文を見てみましょう。
(1) I had seen that movie twice before I entered college.
私は大学に入る前にその映画を2回見たことがあった。
(2) She had been to Kyoto many times when I first met her.
私が初めて彼女に会った時、彼女は何回も京都に行ったことがあった。
(3) By the time he turned 20, he had climbed Mt. Fuji three times.
彼は20歳になるまでに富士山に3回登ったことがあった。
このように、過去完了形の経験用法は、過去のある時点(「大学に入った時」、「彼女に会った時」、「20歳になった時」など)に視点を置き、その時までに経験したことを表します。
なお、過去完了形の経験用法では、次のような語句がよく使われます。
- once、twice、many times などの頻度を表す副詞(句)
- when S V (SがVしたとき)
- before S V (SがVする前に)
- by the time S V (SがVするまでに)
この記事に関連するQ&A
過去完了形:否定文の作り方
過去完了形:否定文の作り方
過去完了形を用いた肯定文を否定文にする場合は、had の後ろに not をつけます。なお、had not は hadn’t のように省略することができます。
(4) I hadn’t seen that movie before I entered college.
私は大学に入る前にその映画を見たことがなかった。
(5) She hadn’t been to Kyoto when I first met her.
私が初めて彼女に会った時、彼女は京都に行ったことがなかった。
また、現在完了形の経験用法の否定文によく使われる副詞として never があります。
not の代わりに never を使うと、「経験が一度もなかった」ということを強調することができます。
(6) I had never been to a foreign country before I was 20.
私は20歳になる前に一度も外国へ行ったことがなかった。
(7) Bofore I met Jill, I had never seen such a beautiful woman.
私はジルに会う前に彼女ほど美しい女性を一度も見たことがなかった。
過去完了形:疑問文の作り方
過去完了形:疑問文の作り方
過去完了形を用いた肯定文を疑問文にする場合は、had を主語の前に出します。
(8) Had Tom seen a lion before he was 10?
トムは10歳になる前にライオンを見たことがありましたか?
この疑問文に対する返答は、Yes, he had. / No, he hadn’t. のようになります。
また、通常の過去完了形の疑問文の前に How many times を置くと、経験の回数(頻度)を尋ねることができます。
(9) How many times had Tom seen a lion before he was 10?
トムは10歳になる前に何回ライオンを見たことがありましたか?
この疑問文には、“Twice.”(2回です。)、“Many times.”(何回もです。)、“He never had.”(一度もありません)のように答えます。
練習問題
練習問題
最後に練習問題を解いてみましょう。
次の日本文を英語にしなさい。
(1) 私は高校に入る前に何回も外国人に話しかけたことがある。
(2) 私は高校に入る前に一度も外国人に話しかけたことがない。
(3) あなたは高校に入る前に外国人に話しかけたことがありますか?
(4) あなたは高校に入る前に何回外国人に話しかけたことがありますか?
(1) I had spoken to a foreigner many times before I entered high school.
(2) I had never spoken to a foreigner before I entered high school.
(3) Had you spoken to a foreigner before you entered high school?
(4) How many times had you spoken to a foreigner before you entered high school?
過去完了形の経験用法は、現在完了形の経験用法と同時に学習するのが効果的です。