大過去とは|意味や訳し方から過去完了形との違いまで豊富な例文付きで解説

この記事では「大過去」をテーマに、その意味や使い方、過去完了形との違い、大過去を使わない場合、完了不定詞や完了動名詞で大過去を表す方法などについて解説していきます。

大過去とは

英語には、主に過去、現在、未来という3種類の時制が存在しますが、まれに過去よりさらに前の過去を表す時制が使われることがあります。この時制のことを大過去と呼びます。

大過去は、過去の時間的な前後関係を明確にするときに使います。

具体的には、過去に起こった2つの出来事について、実際に起こった順序とは逆の順序で述べる場合、「より古い、先に起こった出来事」を過去完了形had + 過去分詞〉で表します。

例文を見てみましょう。

(1) I lost the ring which my mother had bought for me.
私は母が買ってくれた指輪をなくした。

この例において、実際の出来事は、

「母が買った」→「私がなくした」

という順序ですが、英文は、

「私がなくした」→「母が買った」

という逆の順序で書かれています。

そこで、時間的に前に起こった「母が買った」の部分を「過去完了形(大過去)」 にして、時間的な前後関係を明確にしているのです

別の例も見てみましょう。

(2) I heard that she had won a lottery.
私は彼女が宝くじに当たったと聞いた。

この例でも、時間的に前に起こった出来事(she had won a lottery)が、過去完了形(大過去)で表されています。

大過去と過去完了形の違い

大過去は主に過去完了形で表されるため、「過去完了形 = 大過去」と考えてしまいがちですが、この2つは区別して考える必要があります。

両者の違いのポイントは、点 (大過去)線 (過去完了形)です。

大過去は、ただ単に過去よりも前の出来事を示すだけなので、コアイメージはです。

一方、過去完了形は、「過去のある時点」と「その時より前の時点」を結びつけることから、のコアイメージがあります。

なお、過去完了形の詳しい用法(「結果」「経験」「継続」)については、以下の記事を参照してください。

大過去を使わない場合

過去に起こった2つの出来事を、起こったとおりの順序で述べる場合は、大過去(過去完了形)を使わず、どちらも過去形で表します。

(3) Her mother bought a ring for me and I lost it.
母が私に指輪を買ってくれたが、私はそれをなくした。

また、2つの出来事が起こったとおりの順序で述べられていない場合でも、その前後関係が接続詞(afterbefore など)や文脈などから明らかであれば、どちらも過去形で表すことができます。(このケースでは、過去完了形も使用可能です。)

(4) I went to his house after I finished [had finished] my homework.
私は宿題を終わらせてから、彼の家へ行った。

(5) The movie was better than I expected [had expected].
その映画は予想より良かった。

(4)では、接続詞の after から2つの出来事の前後関係がわかります。

(5)では、文脈から2つの出来事の前後関係がわかります。

過去完了形以外で大過去を表す方法

過去完了形以外に、完了不定詞 (to + have + 過去分詞)完了動名詞 (having + 過去分詞) でも大過去を表すことができます。

以下の例で、過去完了形を使った文と見比べてください。

(6) He seemed to have been ill.
(= It seemd that he had been ill.)
彼は病気だったようだった。

(7) He was proud of having won the game.
(= He was proud that he had won the game.)
彼はその試合に勝ったことを誇りに思っていた。

(6)では、完了不定詞 (to have been ill) が、過去形の述語動詞 (seemed) より以前の出来事 (大過去) を表しています。

(7)では、完了動名詞 (having won) が、過去形の述語動詞 (was) より以前の出来事 (大過去) を表しています。

【補足】過去完了形で「実現しなかった希望」を表す

hope(希望する)や expect(期待する)などの動詞が過去完了形で使われると、その希望や期待が実現しなかったことを表します。

  • I had hoped to finish by now.
    今ごろまでには終わらせたかった(のに終わらなかった)。

  • I had expected you to come.
    君に来てほしかった(のに来なかった)。

練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

例題

次の文を英訳しなさい。

(1) 私は彼がその試験に合格したと聞いた。

(2) 彼らはそのパーティーに参加したようだった。

(3) 私は母にうそをついたことを恥じていた。

解答

次の文を英訳しなさい。

(1) I heard that he had passed the exam.

(2) They seemed to have joined the party.
または
It seemed that they had joined the party.

(3) I was ashamed of having lied to my mother.
または
I was ashamed that I had lied to my mother.

練習問題の(2)と(3)は2通りの英訳が可能です。なお、この2種類の文の書き換え問題は頻出なので要チェックです。