助動詞must|意味・使い方・have toとの言い換えまで例文と問題付きで解説

must は助動詞の仲間です。

英語では、助動詞を使って話し手の判断や様々な気持ちを表します。

助動詞の基本的なルールについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

must のコアイメージは「~しなければならない」と「~に違いない」

助動詞 must のコアイメージは、
「~しなければならない」と「~に違いない」 です。

このイメージから派生した用法が、

  • 義務・必要
  • 禁止
  • 確信
  • その他(勧誘、願望、固執、必然)

になります。文脈によって must の意味は多様だということがわかります。

以上のことを念頭に、それぞれの用法を確認していきましょう。

must の用法

義務・必要

(1) I must do my homework.
私は宿題をしなければならない。

(2) You must apologize.
あなたは謝らなければならない。

(1)、(2)の must は
~しなければならない
という義務・必要を表します。

禁止(否定文の場合)

(3) You must not [mustn’t] be late.
遅刻をしてはいけません。

(4) You must not [mustn’t] do such a thing.
そのようなことをしてはいけません。

義務・必要を表す must を(3)、(4)のように否定文で用いると、
~してはいけない
という禁止の意味になります。なお、must not には mustn’t という短縮形があります。

確信

(5) Lisa must be John’s girlfriend.
リサはジョンの彼女に違いない。

(6) He must be watching TV now.
今ごろ彼はテレビを見ているに違いない。

(5)、(6)の must は
~に違いない
という話し手の確信を表します。

なお、この用法の must は be動詞(進行形を含む)を伴うのが普通です

否定文の場合

確信を表す must を否定文で用いると、「~ではないに違いない」という意味になります。

(7) Lisa must not be John’s girlfriend.
リサはジョンの彼女ではないに違いない。

また、ほぼ同じ内容を can’t [cannot] でも表すことができます。

(8) Lisa can’t [cannot] be John’s girlfriend.
リサがジョンの彼女のはずがない

(7)の文と(8)の文には、次のような違いがあります。

must not と can't [cannot] の違い

(7)の文は「リサがジョンの彼女ではない」という確信を表している。

(8)の文は「リサがジョンの彼女である」という可能性を否定している。

『ウィズダム英和辞典』によると must not を使った場合の話し手の確信度は 95%、can’t [cannot] の場合は 99% とのことです。

その他の用法

must の主な用法は上で述べたものになりますが、それ以外にもいくつかの用法があります。

(9) You must come to the party.
ぜひパーティーにいらっしゃってください。

(10) I must meet Mary’s boyfriend.
メアリーの彼氏にぜひ会ってみたい。

(11) He must always do everything by himself.
彼はいつも何でも自分ですると言い張る。

(12) Everyone must die.
人は必ず死ぬ。

(9)は You を主語にした「勧誘」の用法です。「ぜひ~してください」という意味を表します。

(10)は一人称を主語にした「願望」の用法です。「ぜひ~したい」という意味を表します。

(11)は「固執」を表す用法です。「どうしても~する」「~でなければいけないと言い張る」という意味になります。

(12)は「必然」を表す用法です。「必ず~する」「~するものだ」という意味になります。

must の疑問形

must を使った疑問文は 〈Must + 主語 + 動詞の原形〉 の語順になります。

(13) Must I go to the party?
私はパーティーに行かなければなりませんか?

この疑問文に対する返答は、Yes の場合は、“Yes, you must.” を使いますが、No の場合は、「その必要はない」を意味する “No, you don’t have to.” / “No, you don’t need to.” / “No, you needn’t.” などを使います。

上でも説明した通り、must not は「~してはいけない」という意味になるので、返答としては使えません

must と have to

義務確信を表す must とほぼ同じ意味を表す言葉に have to があります。must と同様に「~しなければならない」「~に違いない」などと訳されます。

(14) You have to get a license to drive a car.
車を運転するには免許を取らなければならない。

(15) What he said has to be true. 彼が言ったことは本当に違いない。

must は主観的、have to は客観的

must と have to は共に義務や確信を表しますが、must は「主観的判断による義務や確信」を、have to は「客観的判断による義務や確信」を表すという違いがあります。

(16) I must go on a diet.
私はダイエットしなければならない。
主観的判断

(17) I have to go on a diet.
私はダイエットしなければならない。
客観的判断(医者の指示など)

(18) You must shave every morning.
あなたは毎朝ひげをそらなければならない。
主観的判断

(19) You have to shave every morning.
あなたは毎朝ひげをそらなければならない。
客観的判断(会社の規則など)

(20) Lisa must be John’s girlfriend.
リサはジョンの彼女に違いない。
主観的判断

(21) Lisa has to be John’s girlfriend.
リサはジョンの彼女に違いない。
客観的判断(客観的な証拠がある)

なお、アメリカ英語では、上で述べた違いを無視して、くだけた話し言葉では have to が、堅い書き言葉では must が使われる傾向があります。

have to については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

must not [mustn’t] と don’t have to は意味が異なる

must not [mustn’t]「~してはいけない」 という禁止を、don’t have to「~する必要はない」 という不必要を表します。

意味の違いに注意してください。

(22) You must not wear a skirt.
スカートを着用してはいけません。(禁止)

(23) You don’t have to wear a skirt.
スカートを着用する必要はありません。(不必要)

have to による must の代用

助動詞の must を別の助動詞の後につけることはできないので、助動詞の後では must の代わりに have to を使います。→ 例文(24)

また、must には過去形や過去分詞がないので、過去の事柄を表す場合や、完了形の have/has/had の後では had to を使います。→ 例文(25)(26)

なお、must には時制の一致は適用されないので、過去形の文の従属節内で用いることができます。ただし、この場合も、had to で代用することができます。→ 例文(27)

(24) She will have to make up her mind by tomorrow.
彼女は明日までに決断しなければならないだろう。

(25) I had to do a lot of work yesterday.
私は昨日、多くの仕事をしなければならなかった。

(26) I have had to do a lot of work since I joined this company.
この会社に入って以来、私は多くの仕事をしなければならない。

(27) The doctor said that I must [had to] stop smoking.
医者は私にタバコをやめるように言った。

過去の確信の表し方

must を使って「~だったに違いない」という「過去の確信」を表す場合は、〈must + have + 過去分詞〉 という構文を使います。

(28) You must have been angry at that time.
あなたはその時怒っていたに違いない。

(29) I must have dropped my keys somewhere.
私はどこかで鍵を落としたに違いない。

must の名詞用法

must に不定冠詞の a をつけると、「必要不可欠なもの」という意味になります。日本語の「マスト」にあたる表現です。

(30) This book is a must for business people.
この本はビジネスをする人にとって必要不可欠 [マスト] だ。

また、a must の後に動詞の原形を置いて「必ず~すべきもの」という意味を表す用法もあります

(31) This movie is a must see.
= This is a must-see movie.
この映画は必見だ。

練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

練習問題

問1 次の疑問文に Yes と No で答えなさい。
Must I finish my homework by tomorrow?

問2 次の和文を英訳しなさい。
高校に入って以来、私はたくさんの本を読まなければならない。

問3 次の和文を英訳しなさい。
昨夜は雨が降ったに違いない。

解答

問1
Yes, you must.
No, you don’t have to. / No, you don’t need to. / No, you needn’t.
(解説)
「禁止」を表す must not [mustn’t] は返答に使えません。

問2
I have had to read many books since I entered high school.
(解説)
「~以来」とあるので完了形を使います。

問3
It must have rained last night.
(解説)
「~だったに違いない」という「過去の確信」を表す場合は、〈must + have + 過去分詞〉 という構文を使います。

must の理解を深めるために、should や had better などの記事も併せてご覧ください。