助動詞canの使い方|基本的な意味や用法、過去形などを例文とともに解説

can は助動詞の仲間です。

英語では、助動詞を使って話し手の判断や様々な気持ちを表します。

助動詞の基本的なルールについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

can のコアイメージは「できる」と「あり得る」

助動詞 can のコアイメージは、
「できる」と「あり得る」 です。

このイメージから派生した用法が、

  • 能力・可能
  • 可能性・推量
  • 許可
  • 依頼
  • 指示・命令

になります。文脈によって can の意味は多様だということがわかります。

以上のことを念頭に、それぞれの用法を確認していきましょう。

can の用法

能力・可能

(1) She can play the piano.
彼女はピアノが弾ける。

(2) I can go shopping this afternoon.
私は今日の午後、買い物に行ける。

(1)の can は
~することができる(能力がある)
ということを表します。

(2)の can は 
(周囲の状況から) ~することができる(可能である)
ということを表します。

可能性・推量

(3) Accidents can [could] happen at any time.
事故はいつでも起こり得る。

(4) Can [Could] the rumor be true?
その噂が本当だなんてあり得るだろうか?

(5) The rumor can’t [couldn’t] be true.
その噂が本当なはずがない。

(3)の can は
~はあり得る
という可能性を表します。また、could は、can よりも弱い可能性を表します

可能性を表す can が(4)のように疑問文で用いられると
~はあり得るだろうか
という強い疑いを表します。また、could は、can よりもさらに強い疑いを表します

(5)の can’t は
~のはずがない
という可能性の否定を表します。また、couldn’t は、can’t よりも強い否定を表します

許可

(6) You can use my phone.
私の電話を使ってもいいですよ。

(7) You can eat as much as you like.
好きなだけ食べていいですよ。

(6)、(7)の can は
~してもよい
という許可を表します。

依頼

(8) Can [Could] you open the window? 
窓を開けてくれますか [いただけますか]?

(9) Can [Could] you help me find my keys?
鍵を探すのを手伝ってくれますか [いただけますか]?

(8)、(9)の Can you ~? という形は
~してくれますか
という依頼を表します。また、過去形の could は、can よりも丁寧な依頼を表します

なお、助動詞の will / wouldcan / could と同じように依頼の場面で使うことができます。依頼の丁寧さの度合いは、Could you ~? > Would you ~? > Can you ~? > Will you ~? の順に低くなります。(実際の会話では、最も丁寧な Could you ~? を使うのが一番無難です。)

will についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

指示・命令

(10) You can give me a call next morning.
明日の朝私に電話するように。

(11) If you don’t behave, you can leave the room.
行儀よくしないなら、部屋から出て行きなさい。

(10)、(11)の can は
~するのがよい(しなさい)
という指示・命令を表しています。

can の否定形、過去形、未来形、疑問形

否定形

can の否定形は cannot ですが、会話やインフォーマルな文章などでは短縮形の can’t も使われます。また、can not は否定を強調する時に使います。

(12) She cannot [can’t] play the piano.
彼女はピアノが弾けない。

*She can not play the piano.(否定の強調)
彼女はピアノが全然弾けない。

過去形

can の過去形は could です。could の否定形は could not (省略形は couldn’t) となります。

(13) She could play the piano at five.
彼女は5歳でピアノが弾けた。

(14) I could not find the book in the library.
私はその本を図書館で見つけることができなかった。

could と was [were] able to の違い

「(過去に)~することができた」という意味を表す英語には、couldwas [were] able to の2種類があります。

could が「~する能力があった」ことを意味するのに対し、was [were] able to は「実際に~できた」という意味になります。したがって、過去に実行したことを表す場合は、could ではなく was [were] able to を使います

(15) Tom was able to win the game.
トムはその試合に(実際に)勝つことができた。

(16) Tom could win the game.
トムはその試合に勝つ能力があった。(→ 実際に勝ったかどうかは不明)

なお、「実行できなかった」ことは could not [couldn’t] でも表すことができます。

(17) Tom wasn’t able to [couldn’t] win the game.
トムはその試合に勝つことができなかった。

また、「見えた」「聞こえた」「においがした」などの感覚を表す場合は、主に could を使います

(18)
 I could smell those red flowers.
× I was able to smell those red flowers.
あの赤い花の香りがしていた。

なお、be able to については、こちらの記事で詳しく説明しています。

未来形

英語で未来のことを表現する場合は、未来を表す助動詞の will を使います。ただし、英語では2つの助動詞を続けて使うことができないので、will が使われている文では、can の代わりに be able to を使います。

(19)
 You will be able to see the stars tonight.
× You will can see the stars tonight.
今夜、星を見ることができるでしょう。

疑問形

can を使った疑問文は 〈Can + 主語 + 動詞の原形〉 の語順になります。

(20) Can he speak English?
彼は英語が話せますか?

この疑問文に対する返答は、「Yes, he can.」「No, he can’t.」のようになります。

can を使った定型表現

ここでは、can を使った定型表現をいくつか紹介します。

cannot do enough / cannot do too much

いくら~してもしすぎることはない」という意味の定型表現です。do の部分には動詞の原形が入ります。

(21) I cannot respect him enough.
= I cannot respect him too much.
いくら彼のことを尊敬してもしすぎることはない。

なお、〈cannot do too〉の後には much 以外の副詞や形容詞を置くこともできます。

(22) We cannot praise him too highly.
いくら彼のことをほめてもほめすぎることはない。

(23) You cannot be too careful about your health.
いくら健康に注意しても注意しすぎることはない。

cannot help doing / cannot help but do / cannot but do

~しないではいられない」という意味の定型表現です。doing の部分には動名詞が、do の部分には動詞の原形が入ります。

(24) I cannot help crying when I read this book.
= I cannot help but cry when I read this book.
= I cannot but cry when I read this book.
この本を読むと泣かずにはいられない。

また、
cannot do without doing(~すれば必ず~する)
という表現で似た意味を表すことができます。

(25) I cannot read this book without crying.
この本を読むと必ず泣いてしまう。

cannot possibly do

どうしても~できない」という意味の定型表現です。

(26) I cannot possibly come tomorrow.
私はどうしても明日は来られません。

練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

練習問題

問1 次の英文を和訳しなさい。
This coat can’t be his.

問2 次の英文の下線部分を訂正しなさい。
He was not feeling well yesterday, but he can did his job.

問3【センター過去問】次の文の( )の中に適する文を以下から選択しなさい。
Don’t go too far out from the shore in that small boat. (  )
[92本-問17]

  1. It cannot be in danger.
  2. It could be dangerous.
  3. You wouldn’t be dangerous.
  4. You’d be out of danger.
解答

問1 
このコートが彼のであるはずがない。
(解説)
ここでの can’t は可能性の否定を意味します。

問2
can did → was able to
(訳)
昨日、彼は気分が良くなかったが、仕事をすることができた。
(解説)
過去に実行できたことを表す場合は、was able to を使います。(could は使えません。)

問3
2. It could be dangerous.
(解説)
( )に入る文は、前の文「そんな小さなボートで岸から離れすぎてはいけない」の理由を述べています。

  1. cannot (~であるはずはない) →「危険であるはずはない。」 不正解

  2. could (~の可能性がある) →「危険かもしれない。」 正解

  3. wouldn’t (~ではないだろう) →「君は危険ではないだろう。」 不正解

  4. You’d = You would →「君は危険から逃れるだろう。」 不正解

筆者は高校時代、先生に「could は can の過去形と思うな!」と言われました。それは悪い指導法ではなかったのですが、たまに could を can の過去形として使う問題が出てきて困惑したことがあります。