単振り子の微小振動|周期の公式を運動方程式から導出

更新日時 2022/01/26

この記事では,単振り子について解説し,単振り子の周期の公式を導出することを目標にします。単振り子は最も単純な系ですが,意外と奥が深いです。

目次
  • 単振り子の定義

  • 微小振動の単振り子を運動方程式で解析する

  • 単振り子の周期の公式

  • 単振り子の例題

単振り子の定義

単振り子 上の画像のように,一端を固定したひものもう一端に,1つ振動子をつけたものを単振り子といいます。単振り子は非常に単純な物理系で,古来からさまざまな実験が行われてきました。
より物理学的に正確な定義は以下で与えられます。

単振り子の定義

伸び縮みしない軽いひもの一端を固定し,他端に大きさを無視できるほど小さいおもりを取り付け、同一平面上のみを運動するようにしたもの。

以下で,単振り子の基本的な性質を見ていきましょう。

微小振動の単振り子を運動方程式で解析する

微小振動単振り子 物理系の性質を考えるには,まず運動方程式を立てるのが基本です。上で紹介した単振り子の定義でまず気をつけるべきことは,単振り子のひもが伸び縮みしないということです。このことは,運動方程式を立てる時に,糸の長さが一定値(=振り子の固定点と振動子の距離が一定値)という束縛条件となります。

束縛条件については,以下の記事で詳しく解説されているので,参照してください。
滑車の例題|張力が登場する運動方程式の具体例

以上のことを踏まえると,単振り子において振動子は,円軌道を運動するとわかるので,向心方向と接線方向の運動方程式を立てればいいことがわかります。

上の図のように θ\theta を設定し,糸の長さを ll,糸の張力を SS,振動子の質量をmm とします。 このとき,運動方程式は,
向心成分: mlθ˙2=Smgcosθml\dot{\theta}^2=S-mg\cos\theta
接戦成分: mlθ¨=mgsinθml\ddot{\theta}=-mg\sin\theta
となります。

これは複雑な連立微分方程式であり,簡単には解けそうにありません。(実は楕円積分という非常に難解な問題に帰着されます。)
そこで θ\theta は微小角,すなわち θ1\theta\ll 1 であるという近似を考えます。これは,振り子の振動が十分小さい場合と考えられるので,微小振動近似と呼ばれることもあります。この時, sinθθ,cosθ1 \sin\theta\simeq\theta, \quad\cos\theta\simeq1 と近似できるので,特に上の運動方程式の接戦成分は mlθ¨=mgsinθmgθ \begin{aligned} ml\ddot{\theta} &=-mg\sin\theta\\ &\simeq-mg\theta \end{aligned} となります。これは単振動型微分方程式で容易に解くことができ, θAcos(glt+α) \theta\simeq A\cos \left(\sqrt{\dfrac{g}{l}}t+\alpha\right) となることがわかります。

単振り子の周期の公式

上の単振動の式にから,θ\theta の周期を計算することができます。すると,非常に有名な公式

単振り子の周期

T=2πlg T=2\pi\sqrt{\dfrac{l}{g}}

がわかります。
この式は,単振り子の周期が時間によらないことを表しています。このことを単振り子の等時性といいます。
単振り子の等時性はガリレオ•ガリレイが発見したといわれています。それまでは,人間の脈などを用いて時間を測っていましたが,単振り子の等時性を用いて,より正確に時間を測ることができるようになりました。
しかし,厳密に言うと,上の周期の公式を導出するまでに,θ1\theta\ll1 という近似を用いています。よって単振り子の振幅が大きくなると,等時性は破れることがわかります。

単振り子の例題

単振り子そのものを扱う問題の出題頻度は,大学入試ではそれほど高くありません。周期の公式,T=2πlgT=2\pi\sqrt{\dfrac{l}{g}} を導出できるようになった上で,この公式を覚えておけば十分でしょう。
以下では,微小振動近似にまつわる,単純ですが興味深い例題を紹介します。

例題

微小振動近似で,θ1\theta\ll1 として,sinθθ\sin\theta\simeq\theta とした。では,この近似を使う前と後で,周期はどう変化したか。
すなわち mlθ¨=mgsinθ ml\ddot{\theta}=-mg\sin\theta の解の周期と, mlθ¨=mgθ ml\ddot{\theta}=-mg\theta の解の周期 (T=2πlgT=2\pi\sqrt{\dfrac{l}{g}}) の大きさを比較せよ。
(mlθ¨=mgsinθml\ddot{\theta}=-mg\sin\theta は解けないので,解かずにこの式から分かることを考えよ。)

解答

θ\thetasinθ\sin\theta の大きさを比較する。下のグラフから分かるように,θ0\theta\geq0 において,θsinθ\theta\geq\sin\theta が成り立つ。(y=xy=xx=0x=0 で,y=sinxy=\sin x の接線であることに注意せよ。) xとsinx よって mlθ¨=mgsinθml\ddot{\theta}=-mg\sin\thetaθsinθ\theta\simeq\sin\theta とすることで,復元力の大きさである左辺の絶対値を,大きく見積もっていることになる。
復元力が大きい方が周期は短くなるので,近似を使うことで,周期が短くなったことがわかる。

振動子が質点ではなく,有限の大きさがある場合は,大学で扱うことになります。

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