英語の名詞とは|用法や複数形の作り方まで種類ごとに解説

英語の名詞には、数えられる名詞(可算名詞)と数えられない名詞(不可算名詞)があり、可算名詞は「普通名詞」と「集合名詞」に、不可算名詞は「物質名詞」「抽象名詞」「固有名詞」に分類されます。

これだけでも十分ややこしいのですが、分類の話はまだ終わりではありません。

例えば、スーパーで売っている1玉のキャベツ(a cabbage)は可算名詞(普通名詞)ですが、刻んだキャベツ(shredded cabbage)は不可算名詞(物質名詞)になります。

また、kindness という単語は、「親切」という意味では不可算名詞(抽象名詞)ですが、「親切な行為」という意味では可算名詞(普通名詞)になります。

このように、英語の名詞について考える場合は、「数えられるかどうか」を常に意識する必要があります。以下の記事では、可算・不可算の観点から、英語の名詞について詳しく見ていくことにします。

可算名詞

可算名詞は、1つ2つと数えることができる名詞で、1つであれば「単数形」、2つ以上であれば「複数形」が使われます。「単数形」は単独では使えず、冠詞(a/an, the)、数詞(one, the first など)、指示代名詞(this, that など)、所有格(my, Tom’s など)と共に使われます。

普通名詞

普通名詞は、1つの「もの」や「こと」を表す名詞で、book, building, boy などの「形のあるもの」だけでなく、day, idea, dream などの「形のないもの」も含まれます。

また、冒頭で紹介したように、 kindness のような抽象的な概念を表す語も、文脈によっては普通名詞として扱われます。

集合名詞

集合名詞は「人」や「もの」の集合体を表す名詞で、以下の3種類に分けられます。

① 単数または複数として扱われるもの(family, class, team など)

② 常に単数として扱われるもの(furniture, clothing, baggage など)

③ 常に複数として扱われるもの(police, cattle, people)

① 単数または複数として扱われるもの

集合名詞のうち、family, class, team などの語は、1つのまとまりとしては単数扱いになりますが、個々の構成員に焦点を当てる場合は複数扱いになることがあります。

(1) We are a family of four.
= There are four people in my family.
我が家は4人家族だ。

(2) Twenty families participated in the meeting.
その会議には20家族が参加した。

(3) How is [are] your family?
ご家族の皆さんはいかがですか?

(4) All my family still live[s] here.
私の家族は全員まだここに住んでいる。

例文(1)(2)の family は、1つのまとまりとしての「家族」を表しています。この場合、1つの「家族」は単数形の family で、2つ以上の「家族」は複数形の families で表されます。

一方、例文(3)(4)の family は「家族の構成員一人一人」を表しています。この場合は常に単数形が使われ、アメリカ英語では単数扱い、イギリス英語では複数扱いとなるのが一般的です。

このような用法を持つ主な集合名詞は次の通りです。

集合名詞 意味
audience 聴衆
class クラス
club クラブ
committee 委員会
crew 乗組員
crowd 群衆
family 家族
group 集団、グループ
staff 職員
team チーム

② 常に単数として扱われるもの

常に単数扱いとなる集合名詞には、furnitureclothing などがあります。furniture は「テーブル」「椅子」「ベッド」などの集合体である「家具」を、clothing は「シャツ」「ズボン」「セーター」などの集合体である「衣類」を表します。

この種の集合名詞には不定冠詞の a や an をつけることができず、複数形もありません。

数を数える場合は、

a piece of furniture [clothing]:1点の家具 [衣類]
two pieces of furniture [clothing]:2点の家具 [衣類]

のようにします。

このような用法を持つ主な集合名詞は次の通りです。

集合名詞 意味
baggage [luggage] 手荷物
clothing 衣服
furniture 家具
jewelry 宝石
poetry

③ 常に複数として扱われるもの

常に複数扱いとなる集合名詞には、policecattle などがあります。police は警察官の集合体としての「警察」を、cattle は肉牛や乳牛の集合体としての「畜牛」を表します。(複数形はありません。)

(5) The police are investigating the case.
警察がその事件を捜査している。

(6) His cattle were dying because they had no water.
水がなかったので、彼の牛は死にかけていた。

「人々」を意味する集合名詞の people も常に複数として扱われますが、「国民」「民族」という意味では普通名詞と同じように扱われ、冠詞の a を伴ったり、複数形が用いられたりします。

(7) The Japanese are a hardworking people.
日本人は勤勉な国民だ。

(8) Various peoples live in New York.
ニューヨークには様々な民族が住んでいる。

不可算名詞

不可算名詞は、1つ2つと数えることができない名詞です。不定冠詞の a や an をつけることができず、複数形もありません。

物質名詞

物質名詞は、waterairgoldpaperbreadmoney など、決まった形を持たない「もの」を表す名詞です。また、目に見えない熱(heat)、光(light)、電気(electricity)なども物質名詞に含まれます。

物質名詞の数え方

物質名詞を数える時は、形・容器・単位を表す名詞を前に置きます。

a piece [sheet] of paper 1枚の紙
a slice [loaf] of bread 1枚[1斤]のパン
two cakes of soap 2個の石鹸
two balls of wool 2玉の毛糸
容器
a cup of coffee [tea] 1杯のコーヒー[茶]
a glass of water [milk] コップ1杯の水[牛乳]
two bottles [cartons] of milk 2本[2パック]の牛乳
two cans of beer 2本の缶ビール
単位
a liter of milk 1リットルの牛乳
a pound [kilogram] of meat 1ポンド[1キロ]の肉
two spoonfuls of sugar 2さじの砂糖

物質名詞を普通名詞として使う場合

下の表のように、物質名詞が具体的な1つの「もの」や「こと」を表す場合は、普通名詞として使われます。

物質名詞 普通名詞
fire(火) a fire / fires(火事)
paper(紙) a paper / papers(新聞)
glass(ガラス) a glass / glasses(グラス)
glasses(眼鏡)
iron(鉄) an iron / irons(アイロン)
coffee(コーヒー) a coffee / coffees(~杯のコーヒー)

抽象名詞

抽象名詞は、性質・状態・動作などの抽象的な概念を表す名詞で、以下のようなものが含まれます。

抽象名詞 意味
freedom 自由
health 健康
wealth
kindness 親切
advice 助言
happiness 幸福
behavior ふるまい
beauty
honesty 正直
work 仕事
news ニュース
information 情報
damage 損害
harm
carelessness 不注意
fun 楽しさ
luck
importance 重要性
knowledge 知識
wisdom 知恵
value 価値
mathmatics 数学
weather 天気

一部の抽象名詞は、a piece of や pieces of を用いて数を表すことができます。

a piece [some pieces] of advice [knowledge]
1つ [いくつか] の助言 [知識]

an amazing piece of information [news]
1つの驚くべき情報 [知らせ]

a piece of carelessness [good luck]
1つの不注意 [幸運]

抽象名詞を普通名詞として使う場合

下の表のように、抽象名詞が具体的な「こと」や「もの」を表す場合は、普通名詞として使われます。

抽象名詞 普通名詞
shame(恥) a shame(残念なこと)
difficulty(困難) difficulties(困ったこと)
work(仕事) a work / works(作品)
play(遊び) a play / plays(劇、芝居)
beauty(美) a beauty / beauties(美人、見事なもの)
kindness(親切) a kindness / kindnesses(親切な行為)
success(成功) a success / successes(成功した人・もの・こと)

前置詞 + 抽象名詞

抽象名詞に前置詞がついて、形容詞や副詞の働きをすることがあります。

(9) He is a man of importance.
彼は重要人物だ。

(10) He finished his task with ease.
彼は簡単に仕事を終わらせた。

例文(9)では、of importance が a man を修飾する形容詞句として、例文(10)では、with ease が finished を修飾する副詞句として働いています。

この用法で使われる主な抽象名詞は次の通りです。

前置詞 + 抽象名詞 意味
of importance 重要な (= important)
of use 有用な (= useful)
of value 価値のある (= valuable)
of interest 興味深い(= interesting)
with ease 簡単に (= easily)
with care 注意深く (= carefully)
in peace 安らかに / 平和に (= peacefully)
in silence 黙って (= silently)
on purpose 故意に (= purposely)
by accident 偶然に (= accidentally)

固有名詞

固有名詞は、特定の人や場所、建物などの名前を表す名詞で、常に大文字で始めます。

通常、固有名詞に冠詞がつくことはありませんが、以下のような場合には定冠詞の the が使われます。

国民全体を表す場合

Americans や Italians のような複数形や、Japanese や French のような国籍を表す形容詞に the をつけて「国民全体」を表します。

the Americans(アメリカ人(全体))
the Italians(イタリア人(全体))
the Japanese(日本人(全体))
the French(フランス人(全体))

「一家」や「夫妻」を表す場合

姓の複数形に the をつけて「一家」や「夫妻」を表します。

the Browns
ブラウンさん一家 / ブラウンさん夫妻

山脈・群島・連邦国家などを表す場合

複数形の固有名詞に the をつけて、山脈・群島・連邦国家などを表します。

the Rocky Mountains = the Rockies(ロッキー山脈)
the Philippine Islands = the Philippines(フィリピン諸島)
the United States of America(アメリカ合衆国)

ただし、個々の山や個々の島には the をつけません。

Mount Fuji(富士山)
Long Island(ロングアイランド)

海・海峡・川・運河・半島・砂漠など

the Sea of Japan = the Japan Sea(日本海)
the English Channel(イギリス海峡)
the Amazon (River)(アマゾン川)
the Suez Canal(スエズ運河)
the Malay Peninsula(マレー半島)
the Sahara (Desert)(サハラ砂漠)

なお、湖や湾には the をつけません。

Lake Michigan(ミシガン湖)
Tokyo Bay(東京湾)

ただし、the Bay of Tokyo という語順では the が使われます。

船・列車・鉄道・飛行機・公共の建物・新聞名など

the Titanic(タイタニック号)
the Nozomi(のぞみ号)
the Tozai Line(東西線)
the Boeing 747(ボーイング747機)
the Lincoln Memorial(リンカーン記念堂)
the New York Times(ニューヨークタイムズ紙)

なお、駅、空港、公園、通りなどの名前には the をつけません。

Tokyo Station(東京駅)
Narita International Airport(成田国際空港)
Central Park(セントラルパーク)
Downing Street(ダウニング街)

機関・組織など

the University of Tokyo(東京大学)
the Bank of Japan(日本銀行)
the United Nations(国際連合)

ただし、Kyoto University(京都大学)のように、大学名に of を含まない場合は無冠詞になります。

不定冠詞 + 固有名詞

固有名詞の前に不定冠詞の aan をつけることで、「~という名前の人」「~のような人」「~の製品 [作品]」といった意味を表すことができます。

(11) You have call from a Mr. Hill.
ヒルさんとおっしゃる方からお電話です。

(12) I want you to be an Edison.
私は君にエジソンのような人になってもらいたい。

(13) He bought a Toyota [Picasso].
彼はトヨタの車 [ピカソの作品] を買った。

注意すべき複数形

複数形が単数形と異なる意味を表す語

英語には、複数形が単数形と異なる意味を表す語があります。下の表に示す語は、特に注意が必要です。

単数形 複数形
arm(腕) arms(武器)
custom(習慣) customs(税関、関税)
force(力) forces(軍隊)
good(善) goods(商品)
letter(文字、手紙) letters(文学)
manner(方法) manners(作法)

常に複数形で表される名詞

glasses(眼鏡)、scissors(はさみ)、trousers / pants(ズボン)、jeans(ジーパン)、shorts(半ズボン)、underpants(下着のパンツ)のように、2つの構成要素が組み合わされてできているものは、常に複数形で表されます

これらの名詞を数える場合は、

a pair of glasses [scissors]:1つの眼鏡 [はさみ]
two pairs of pants [jeans]:2本のズボン [ジーパン]

のようにします。

名詞の複数形

この項では、複数形の作り方を一覧表で紹介します。

規則変化

単数形の語尾 複数形の作り方 例外
下記以外 -s をつける books, cars, days, zoos
-s
-x
-sh
-ch
-es をつける buses, glasses
boxes, foxes
bushes, dishes
benches, speeches
stomachs
-f
-fe
f, fe を v に変えて -es をつける leaf → leaves
wolf → wolves
knife → knives
wife → wives
beliefs, roofs, safes (金庫)
子音字 + o -es をつける heroes, potatoes pianos, photos
子音字 + y y を i に変えて -es をつける city → cities
lady → ladies

不規則変化

単数形 複数形 意味
man men
woman women
foot feet
tooth teeth
goose geese ガチョウ
mouse mice ネズミ
child children 子供
crisis crises 危機
analysis analyses 分析
phenomenon phenomena 現象
stimulus stimuli 刺激
datum data データ
medium media メディア
単複同形の単語 意味
sheep ヒツジ
deer シカ
carp コイ
means 手段
species
Japanese 日本人
yen

文字・数字・略語の複数形

複数形 意味
CDs / CD’s CD
UFOs / UFO’s UFO
the 90s / the 90’s 90年代

練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

練習問題

次の文の下線部の名詞の種類を答えなさい。

1.Tokyo is the capital of Japan.

2.These desks are made of wood and metal.

3.The committee was made up of ten members.

4.Love cannot be bought with money.

5.The audience were deeply moved by his speech.

6.Cattle supply us with meat and milk.

解答

1.固有名詞、普通名詞、固有名詞

2.普通名詞、物質名詞、物質名詞

3.集合名詞、普通名詞

4.抽象名詞、物質名詞

5.集合名詞、抽象名詞

6.集合名詞、物質名詞、物質名詞

英語の名詞は、多くの場合、冠詞と組み合わせて使われます。この記事で名詞の基本を押さえたら、冠詞の記事を参照してみてください。名詞の理解がさらに深まるはずです。