現在完了形の経験|否定文、疑問文の作り方から頻出の副詞まで豊富な例文付きで徹底解説
この記事では、現在完了形の「経験用法」をテーマに、その意味や使い方、否定文・疑問文の作り方、よく使われる副詞などについて、豊富な例文を用いて解説します。
現在完了形とは
現在完了形とは
現在完了形とは、過去に起こった出来事を現在と結びつけて表現する形式のことです。<主語 + have/has + 過去分詞>という形をとり、過去から現在までに完了したこと、経験したこと、継続したことなどを表します。(会話における have/has は、しばしば 've/'s のように省略されます。)
現在完了形は、文法書によってさまざまな分類がされていますが、本サイト(高校英文法の羅針盤)では、「結果(完了)」、「経験」、「継続」 の三つに分けて解説します。
この記事では「経験」の用法を取り上げますが、「結果(完了)」や「継続」の用法については、それぞれ以下の記事をご覧ください。
過去分詞の作り方
本格的な説明に入る前に、過去分詞の作り方を復習しておきましょう。
多くの動詞は、語尾にedをつけることで過去形や過去分詞にすることができます。このような動詞を規則動詞と言います。
ただし、規則動詞の語尾の形によって、edをそのままつけることができない場合があります。下の表で確認してください。
eで終わる規則動詞 | 子音字+yで終わる規則動詞 | 短母音+子音字で終わる規則動詞 |
---|---|---|
dをつける | yをiに変えてedをつける | 子音字を重ねてedをつける |
[例] adviseadvised | [例] studystudied | [例] stopstopped |
また、規則動詞の他に、過去形や過去分詞になるときに特殊な変化をする不規則変化動詞もあります。下の表は変化のタイプを4つにまとめたものです。
A-A-A型 | A-B-C型 |
---|---|
例) put-put-put cut-cut-cut hit-hit-hit |
例) break-broke-broken go-went-gone speak-spoke-spoken |
A-B-B型 | A-B-A型 |
---|---|
例) make-made-made tell-told-told hear-heard-heard |
例) come-came-come become-became-become run-ran-run |
なお、過去分詞の詳しい用法については、こちらを参照してください。
現在完了形:「経験」の用法とは
現在完了形:「経験」の用法とは
現在完了形の「経験」の用法とは、文字通り「現在までの経験」を表す用法のことです。日本語では「~したことがある」という意味になります。
例文を見てみましょう。
(1) I have seen that bird three times.
私はその鳥を3回見たことがある。
現在完了形のポイントは、過去の出来事と関連した「現在の状況」を述べることにあります。つまり、上の文は「現在の私は、その鳥を過去に3回見たという経験を持っている」という意味になり、過去の出来事が現在と関連づけられています。
これに対し、過去形の
I saw that bird yesterday.
(私は昨日その鳥を見た。)
という文は、「その鳥を見た」という過去の出来事を伝えるもので、焦点は過去にあります。
「経験」を表す別の例文も見てみましょう。
(2) I have seen this movie before.
私は以前この映画を見たことがある。
(3) He has been to Kyoto many times.
彼は何回も京都に行ったことがある。
(4) Tom has climbed Mt. Fuji twice.
トムは富士山に2回登ったことがある。
このように、現在完了形の経験用法は、before、twice、many times のような 頻度を表す副詞(句) を伴うのが普通です。
have been to と have gone to
have been to は、例文(3)にもあるように、「行ったことがある」という「経験」を表します。一方、have gone to は「行ってしまった。(今はここにいない。)」という「結果(完了)」の意味合いになります。
(3’) He has gone to Kyoto.
彼は京都に行ってしまった。
ただし、(ややこしいですが)文脈により、have been to が「~に行ってきたところだ」という「結果(完了)」の意味で使われることがあります。
(3’') He has just been to Kyoto.
彼はちょうど今、京都に行ってきたところだ。
「ちょうど今」を意味する副詞の just は、現在完了形の結果(完了)用法でよく使われます。
この記事に関連するQ&A
現在完了形:否定文の作り方
現在完了形:否定文の作り方
現在完了形を用いた肯定文を否定文にする場合は、have/has の後ろに not をつけます。なお、have not/has not は haven’t/hasn’t のように省略することができます。
また、「経験」を表す現在完了形の否定文によく使われる副詞として never があります。
not の代わりに never を使うと、「経験が一度もない」ということを強調することができます。
(5) He hasn’t been to a soccer game before.
彼はサッカーの試合を見に行ったことがない。
(6) I’ve never talked to them.
私は彼らと話したことが一度もない。
現在完了形:疑問文の作り方
現在完了形:疑問文の作り方
現在完了形を用いた肯定文を疑問文にする場合は、have/has を主語の前に出します。
この疑問文に対する返答は、「Yes, he has.」「No, he hasn’t.」のようになります。
また、「経験」を表す現在完了形の疑問文によく使われる副詞として ever があります。
ever には「今までに」という意味があり、〈Have/Has + 主語 + ever + 過去分詞~?〉という構文で、「今までに~したことがありますか?」という意味を表します。
(7) Have you ever had French food?
あなたは今までにフランス料理を食べたことがありますか?
(8) Has she ever played tennis?
彼女は今までにテニスをしたことがありますか?
ただし、実際の食事やテニスの場面などでは ever ではなく before を使います。
(7’) Have you had French food before?
あなたは以前にフランス料理を食べたことがありますか?
(8’) Has she played tennis before?
彼女は以前にテニスをしたことがありますか?
なお、現在完了形の肯定文では ever を使うことができないので注意してください。
× I have ever had French food.
× She has ever played tennis.
経験の回数を問う疑問文
現在完了形の経験用法には、経験の回数を尋ねる構文もあります。〈How many times + have/has + 主語 + 過去分詞~?〉という形で、「(今までに)何回~したことがありますか?」という意味を表します。
(9) “How many times have you been to Hokkaido?”
“Three times.”
「北海道には何回行ったことがありますか?」
「3回です。」
(10) “How many times have you caught a cold this year?”
“None.”
「今年は何回風邪をひきましたか?」
「一回もひいていません。」
練習問題
練習問題
最後に練習問題を解いてみましょう。
次の英文を和訳しなさい。
(1) He has been to America before.
(2) He has just been to America.
(3) He has gone to America.
次の日本文を英訳しなさい。
(1) あなたは今までにテレビに出たことがありますか?
(2) 私はこんなに美しい夕焼けを一度も見たことがない。
次の英文を和訳しなさい。
(1) 彼は以前アメリカに行ったことがある。
(2) 彼はちょうど今アメリカに行ってきたところだ。
(3) 彼はアメリカに行ってしまった。
次の日本文を英訳しなさい。
(1) Have you ever been on TV?
(2) I have never seen such a beautiful sunset.
現在完了形の経験用法は比較的わかりやすかったと思います。結果(完了)用法や継続用法との共通点を考えながら、現在完了形の理解を深めていってください。