「したほうがいい」の英語表現|ネイティブはhad betterを使わない?

人に助言や提案をする際に「~したほうがいい」という表現を使いますが、英語ではどのように言うのでしょうか。

実は英語には、話し手の立場や、その助言・提案が受け入れられる可能性の程度によって様々な言い方があります。

この記事では、助言や提案を表す表現を適切に使い分ける方法について解説します。

should

“should” は日本語の「~したほうがいい」に最も近い表現です。相手が助言や提案を受け入れる可能性が高い場合に使われます。

“You should read this book.”
「この本は読んだほうがいいよ。」

“You should not overwork yourself.”
「あまり働きすぎないほうがいいよ。」

助言や提案を表す表現は、冒頭に “maybe”, “perhaps”, “probably”, “I think”, “I believe”, “I guess” などをつけることで、断定的な口調を和らげることができます。

“Maybe you should see a doctor.”
「医者に診てもらったほうがいいかもしれないよ。」

ought to

“ought to” は “should” とほぼ同じ意味を表しますが、“should” が主に主観的な判断を表すのに対し、“ought to” には客観的なニュアンスがあります。また、“ought to” は “should” ほど頻繁には使われません。

“ought to” の否定形は “ought not to” (省略形は “oughtn’t to”) となり、“to” はしばしば省略されます。

“You ought to help your mother.”
「お母さんの手伝いをしたほうがいいよ。」

“You ought not (to) visit such a place after dark.”
「暗くなってからそんなところへ行かないほうがいいよ。」

had better

“had better” は相手に選択の余地を与えない強制度の高い表現で、直接的な命令や忠告として使われます。通常、「言う通りにしないと悪いことが起こる」という意味が含まれます。日本語の「~したほうがいい」とはかなりニュアンスが違うので、使い方には注意が必要です。

話し言葉では通常 “had” が短縮され、“'d better” となります。

“You 'd better study harder.”
「もっと頑張って勉強しなさい(しないと大変なことになるぞ)。」

“You 'd better not tell him our secret.”
「彼に秘密を絶対に言うなよ。」

親しい相手に対しては、軽い忠告としても使えます。

“You 'd better take your umbrella. It might rain this afternoon.”
「傘を持って行けよ。午後は雨になるかもしれないから。」

must / have to

“must”“have to” は「~しなければならない」という意味の言葉で、相手に義務があることを指示したり、権限のある人が何かを命じる時に使われます。

“You must [have to] clean your room, Tom.”
「トム、部屋を掃除しなくちゃダメでしょ。」

“You must [have to] come to class every day.”
「授業には毎日出席しなければいけません。」

“must” と “have to” には「ぜひ~してください」という、「勧め」や「誘い」を表す用法もあります。

“You must [have to] come visit me in Osaka.”
「ぜひ大阪に遊びに来てね。」

“must” はしばしば「主観的判断」を、“have to” は「客観的判断」を表します。

“You must shave every morning.”
「ひげは毎朝剃ってください。」
(主観的判断)

“You have to shave every morning.”
「ひげは毎朝剃ってください。」
(客観的判断(会社の規則など))

なお、アメリカ英語では、このような違いを無視して、くだけた話し言葉では “have to” が、堅い書き言葉では “must” が使われる傾向があります。

need to

“need to” は「~する必要がある」という意味を表します。必要性の程度は、“have to” より強くなります。

“I think you need to see a specialist.”
「専門家に相談する必要があると思うよ。」

“It’s past midnight. You need to go to sleep.”
「もう夜中の12時過ぎですよ。寝なさい。」

丁寧な助言・提案の表現

この項では、相手が助言や提案を受け入れるかどうか分からないときに使われる丁寧な表現を紹介します。

You might [may] want to ~ / It might [may] be a good idea to ~

“You might [may] want to ~”“It might [may] be a good idea to ~” は、どちらも「~したらどうでしょうか」「~したほうがいいかもしれない」という意味の表現で、“should” や “ought to” より穏やかな提案を表します。

助動詞は “may” よりも “might” を使うほうが一般的です。

You might [may] want to use the latest version.”
= “It might [may] be a good idea to use the latest version.”
「最新版を使ってみたらいかがですか。」

You might [may] want to change your way of thinking.”
= “It might [may] be a good idea to change your way of thinking.”
「考え方を変えたほうがいいかもしれないよ。」

You might [may] as well ~

“You might [may] as well ~” も「~したほうがいいかもしれない」という意味の表現です。この表現には「してもしなくてもどちらでもいい」というニュアンスが含まれています。

こちらも、助動詞は “may” よりも “might” を使うほうが一般的です。

You might [may] as well wait for her.”
「彼女を待ったほうがいいんじゃないかな。」

You might [may] as well apply for the job.”
「その仕事に応募したほうがいいかもしれないよ。」

「~したほうがいい」の英語:まとめ

以上、「~したほうがいい」に関連した様々な英語表現について見てきました。

まとめ

  • “should” は日本語の「~したほうがいい」に最も近い表現で、相手が助言や提案を受け入れる可能性が高い場合に使われます。
  • “ought to” は “should” とほぼ同じ意味を表しますが、“should” が主に主観的な判断を表すのに対し、“ought to” には客観的なニュアンスがあります。
  • “had better” は相手に選択の余地を与えない強制度の高い表現で、直接的な命令や忠告として使われます。
  • “must”“have to” は「~しなければならない」という意味の言葉で、相手に義務があることを指示したり、権限のある人が何かを命じる時に使われます。
  • “need to” は「~する必要がある」という意味を表します。
  • 助言や提案を表す表現は、冒頭に “maybe”, “perhaps”, “probably”, “I think”, “I believe”, “I guess” などをつけることで、断定的な口調を和らげることができます。
  • “You might [may] want to ~”“It might [may] be a good idea to ~” は、どちらも「~したらどうでしょうか」「~したほうがいいかもしれない」という意味の表現で、“should” や “ought to” より穏やかな提案を表します。
  • “You might [may] as well ~” は「~したほうがいいかもしれない」という意味の表現で、「してもしなくてもどちらでもいい」というニュアンスが含まれています。

今回の記事を、英語でのコミュニケーションに役立てていただければ幸いです。