数学の問題は大きく分けて求値問題と証明問題の 2 種類があります。
求値問題では(最小値を求める問題に限らず)、問題の条件に対する必要十分条件をより簡潔な形で解答します。
証明問題は、問題の条件に対する必要条件を証明します。
関数 f(x) が x=a で最小値 m をとるとして、これを求める問題が出題された場合を考えます。
この問題の条件に対する必要十分条件は、すべての実数 x に対して f(x)≧m が成り立ち、かつ f(a)=m となるような実数 a が存在することです。
ここで注意すべきポイントは、f(x)≧m が成り立つことは必要条件にすぎないので、これを示しただけでは最小値が m であることが保証されていないということです。
つまり、f(a)=m となる実数 a が存在することを示して、初めて十分であるといえます。
相加平均と相乗平均の大小関係を用いる場合でも同様です。
たとえば、正の実数 a に対して次の式の最小値を求める問題を考えます。
(a+a1)(a+a4)
a>0 より、(a+a1)≧2a⋅a1=2 であり (a+a4)≧2a⋅a4=4 であるので、
(a+a1)(a+a4)≧8
が成り立ちます。しかし、(a+a1)(a+a4)=8 となる実数 a は存在しません。
なぜなら、a+a1=2 となるのは a=a1⟺a=1 のときであり、
a+a4=4 となるのは a=a4⟺a=2 のときであるため、
この 2 つの不等式の等号を同時に満たす実数 a が存在しないからです。
正答は、
(a+a1)(a+a4)=a2+a24+5≧2a2⋅a24+5=9
であり、等号成立は a2=a24⟺a=2 のときとなって、最小値が 9 であると分かります。
ちなみに、はじめに出した不等式(a+a1)(a+a4)≧8⋯① に誤りはありません。
実際の最小値は 9 なので、この式の値は常に 8 以上であるという事実は正しいからです。
これが、必要条件と必要十分条件の違いで、① は本問題における式がとりうる値の必要条件を満たす不等式であるといえます。
実数 x に対して x2≧−1 も正しい式です。
(ふつうは)不等式はあくまで必要条件であることを理解すること、あらゆる問題において必要条件と十分条件をしっかり考えて解答すること、などを意識しておくとよいと思います。