解決済み

高校数学におけるargの扱いについて、

写真の解釈で合っていますか?

右写真は問題です。

補足

正直なところ、argβγαβarg{{\beta\gamma} \over{\alpha\beta}} =<POQという式もものすごい違和感を感じます。

そうすると、この問題を厳密に解くことは可能なのでしょうか。。。

ベストアンサー

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大学の複素解析では、以下のように考えます。


複素数 zz の偏角は argz\arg z と表されますが、2π2\pi の整数倍を加えても実軸からの角度は同じですので、偏角の表し方は無限に存在することになります。

そこで、0argz<2π0\leqq \arg z < 2\pi あるいは π<argzπ-\pi< \arg z \leqq \pi となるようなもの(その他の範囲でも可、どれを採用するかは場合により異なるが、とりあえず偏角の表し方を 11 つに定めたという意味で用いる)を主値\bold{主値}といい、Arg z\mathrm{Arg}\ z と表します。


この主値という概念は、指数関数や対数関数において複素数が出てくる場合に役立ちます。

たとえば方程式 ez=1e^z=1 を解くと、実数では z=0z=0 のみですが、複素数では z=2nπi  (nZ)z=2n\pi i \ \ (n\in \mathbb{Z}) となります。

ここで、その主値を考えると(その範囲のとり方にもよりますが普通は)、z=0z=0 となって議論しやすくなりますね。


高校数学においては、指数関数や対数関数では実数でしか定義されないので、そもそも主値のみを考えていれば十分です。

少し不安があれば、「π<argzπ-\pi<\arg z\leqq \pi とする」などと書いておけばよいと思います。これで厳密性は担保できるでしょう。


そうすると、argγα,argαβγαβγγα\arg\dfrac{\gamma}{\alpha},\arg\dfrac{\alpha\beta-\gamma\alpha}{\beta\gamma-\gamma\alpha} のいずれもこの範囲にあると考えて、argγα+argαβγαβγγα=±π\arg\dfrac{\gamma}{\alpha}+\arg\dfrac{\alpha\beta-\gamma\alpha}{\beta\gamma-\gamma\alpha}=\pm\piにしかなりえません。γα\dfrac{\gamma}{\alpha} は虚数なので 2π2\pi にもなりませんね。



また、argβγαβ=POQ\arg \dfrac{\beta\gamma}{\alpha\beta}=\angle\mathrm{POQ} に誤りはないと考えます。

違和感を覚えている部分がどこにあるかわかりませんが、正負を含めてこれで正しい表現です。

補足

argγα+argαβγαβγγα=0\arg \dfrac{\gamma}{\alpha}+\arg \dfrac{\alpha\beta-\gamma\alpha}{\beta\gamma-\gamma\alpha}=0にもなりえますね。

その場合が、解答例で「または」の後ろで記述されている部分になります。

返信(2件)

解答ありがとうございます。Argというのがあるのですね!勉強になります。

そこで、<POQについて、違和感を覚えるのは、以下の写真のようなことです。

まとめると、POQの位置関係によって変わらないか?と思ってしまいます、

「正負も含め」の意味もわからずすみません。

(写真左上は一般的に、写真右下は具体例でしてみました。)

33P,O,Q\mathrm{P,O,Q} の位置関係によって POQ\angle\mathrm{POQ} が変わるということを、そのすべての場合において argβγαβ\arg\dfrac{\beta\gamma}{\alpha\beta} と表すことができているということです。

ここでいう POQ\angle\mathrm{POQ} とは、P\mathrm{P} から Q\mathrm{Q} に向かう角度なので、負になる場合もあります(写真左上の 22 つ目の例)。図形的に考える場合は負の角度は考えませんが、負の角度として等しいということは、その絶対値が等しいということなので、図形的にも等しいですね。複素表示の方が強い条件ということです。

この問題では、偏角を π<argzπ-\pi<\arg z\leqq\pi と定義していますから、負の角度も同様に扱うことができます。

そのほかの回答(1件)

argz は実数」    「ある整数 k に対して argz=kπ が成立」「\arg z\ は実数」 \iff 「ある整数\ k\ に対して\ \arg z = k\pi\ が成立」

という解釈で正しいです。


模範解答では整数 kk の不定性を無視して推論を進めているようにも見えますが,実のところこれで厳密に議論できています。



いま原点まわりに 9π/49\pi/4 回転してから,さらに 7π/27\pi/2 回転することを考えてみます。合計でどれだけ回転したかは

94π+72π=234π \frac{9}{4}\pi + \frac{7}{2}\pi = \frac{23}{4}\pi

で与えられます。もっとも,2π2\pi 回転しても元の位置に戻ってくるだけなので,2π2\pi の整数倍の回転は無視できて

234π=74π+22π74π \frac{23}{4}\pi = \frac{7}{4}\pi + 2 \cdot 2\pi \equiv \frac{7}{4}\pi

が本質的な回転量になります。ここで \equiv という記号は「x,yx,y2π2\pi の整数倍の違いを除いて等しい」の意味で,より形式的には

xy    「ある整数 k に対して x=y+2kπ が成立」 x \equiv y \iff 「ある整数\ k\ に対して\ x = y + 2k\pi\ が成立」

と定義されます。


偏角を扱うときはこの「2π2\pi の整数倍の違いを除いた世界」で考えるのが自然です。2π2\pi の整数倍の違いを除くということは,どんな角度であっても,ある [0,2π)[0,2\pi) の範囲に属する角度と同一視できるということです。その [0,2π)[0,2\pi) の範囲からとった値のことを主値といいます。

[0,2π)[0,2\pi) ではなく (π,π](-\pi,\pi] の範囲から主値をとってもよいです。)


argz\arg z は実数」という条件は

argz0,π \arg z \equiv 0, \pi

と書くこともできれば,あるいは主値をとって

argz=0,π \arg z = 0, \pi

と書くこともできます。模範解答では主値をとって議論しているものと解釈する,もしくは模範解答中に現われる等号を適切に \equiv に読み換えることで,厳密な議論になります。


(ひとつ補足すると模範解答中

argγα+argαβγαβγγα=±π \arg \frac{\gamma}{\alpha} + \arg\frac{\alpha\beta - \gamma\alpha}{\beta\gamma - \gamma\alpha} = \pm \pi

の箇所の ±\pm は要りません。ππ\pi \equiv -\pi であって 22 つの違いは無視してよいからです。)


補足

✕:argz\arg z は実数

○:zz は実数

返信(1件)

解答ありがとうございます。

sHlcNRe46さんの解答と合わさって、すごく勉強になりました。

(それと、やっぱりーπはいらないのですね、、最初にargの取る値の範囲は書いて欲しいですね。。)

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