英語の発音の練習方法|母音・子音・アクセントに分けて練習

「英語の発音に苦手意識がある。」「英語の発音がうまくなりたいが、その方法がわからない。」

このような悩みを抱えている日本人は少なくないと思われます。街の書店に英語の発音に関する様々な本が並んでいることからも、問題の大きさが伝わってきます。とは言え、本一冊分のトレーニングをする気力はなかなか湧いて来ないものです。

そこでこの記事では、日本人が特に苦手とするポイントに絞った練習法を紹介します。実際の練習は、電子辞書やウェブサイト(goo辞書、Oxford Learner’s Dictionaries など)の発音を聞きながら行ってください。英語発音アプリ(無料のものも多くあります)を使っていただいても構いません。

英語の発音には、普段は使わない筋肉を使います。スポーツと同じで、1~2回の練習でうまくなることは難しいと思います。折に触れて練習を繰り返してみてください。

母音

/æ/, /ɑ/, /ʌ/

まず最初に,英語特有の母音である /æ/, /ɑ/, /ʌ/ の発音を練習します。いずれも日本語の「ア」に近い音ですが、それぞれ微妙に違います。

練習1

電子辞書やウェブサイトなどの発音を聞きながら、“hat”, “hot”, “hut” の3語を区別して発音できるようになるまで練習してください。

発音のコツ

hat/æ/ は、日本語の「エ」と「ア」の中間のような音です。「エ」よりも口を大きく開け、唇を左右に引き、「エ」を出す感じで「ア」と発音します。

hot/ɑ/ は、日本語の「ア」よりも口を大きく開け、のどの奥から「ア」と発音します。

hut/ʌ/ は、口をあまり開けずに短く「ア」と発音します。

もう少し練習を続けてみましょう。

練習2

以下の語を区別して発音できるようになるまで練習してください。

“lack”, “lock”, “luck”
“cap”, “cop”, “cup”

練習3

以下の語の発音を練習してください。

/æ/“bag”, “fat”, “man”
/ɑ/“want”, “what”, “quality”
/ʌ/“come”, “love”, “touch”

似た音を区別して発音できるようになると、リスニングの能力も向上することになります。bag(かばん)と bug(虫)、run(走る)と ran(走った)などを聞き間違うこともなくなるはずです。

/ɔ:/, /ou/

次に、/ɔ://ou/ の発音を練習してみましょう。この2つの音の区別も、多くの日本人が苦手としています。

練習4

以下の語を区別して発音できるようになるまで練習してください。

“bought”, “boat”
“caught”, “coat”
“raw”, “row”

発音のコツ

boughtcaught/ɔ:/ は、日本語の「オ」よりも口を大きく開け、のどの奥から「オー」と発音します。

boatcoat/ou/ は、日本語の「オ」より少し口を丸めて「オウ」と発音します。

練習5

以下の語の発音を練習してください。

/ɔ:/“law”, “salt”, “thought”
/ou/“hope”, “motion”, “road”

/ər/

最後に練習する母音は、/ər/ です。(子音の /r/ が含まれていますが、母音として扱います。)

この発音は、日本人には特に難しいとされています。この音が発音できないために、“first”“fast” と誤解されたり、“hurt”“shirt”“work” などの単語が通じないといったことが起こります。日本人が話す “birthday”(誕生日)が “bath day”(お風呂に入る日)と誤解される話は有名です。

まずは、似た発音の /ər//ɑr/ を区別する練習から始めましょう。

練習6

以下の語の母音(/ər//ɑr/)を区別して発音できるようになるまで練習してください。

“hurt”, “heart”
“firm”, “farm”
“curve”, “carve”
“purse”, “park”
“shirt”, “shark”

発音のコツ

/ər/ は、口をあまり開けず、舌の先を反り返るように丸めて発音します。

/ɑr/ は、上で練習した /ɑ/ を発音した後で舌の先を丸めます。

次に /ər/ を重点的に練習します。

練習7

以下の語の発音を練習してください。

“bird”, “birthday”, “first”, “dirty”, “girl”, “turn”, “work”

以上で母音の練習は終わりです。英語には他にも多くの母音がありますが、今回練習した母音の発音さえマスターすれば、残りは日本語の母音の発音で十分対処することができます。

子音

この項では、日本人が苦手とする子音に絞って練習します。

/l/, /r/

まずは、中学校以来おなじみの /l//r/ の練習から始めます。

練習8

以下の語を区別して発音できるようになるまで練習してください。

“light”, “right”
“load”, “road”
“blue”, “brew”
“fly”, “fry”

発音のコツ

/l/ は、舌の先を上の歯茎につけ、下の両側から「ウ」と「ル」を同時に出すように発音します。

/r/ は、舌の先を反り返るように丸めて発音します。

練習9

以下の語を区別して発音できるようになるまで練習してください。

“lace”, “race”
“lack”, “rack”
“law”, “raw”
“lock”, “rock”
“clue”, “crew”
“play”, “pray”

次は、語尾に来る /l/ の練習です。語尾に /l/ の音が来る場合は、舌の先を上の歯茎から離さないで発音します。結果として「ウ」のような音になります。

練習10

以下の語の発音を練習してください。

“people”, “table”, “bottle”, “idle”, “eagle”

/s/, /θ/

次に、/s//θ/ の区別を練習してみましょう。

練習11

以下の語を区別して発音できるようになるまで練習してください。

“sink”, “think”
“sick”, “thick”
“seem”, “theme”
“sum”, “thumb”

発音のコツ

/s/ は、舌の先を上の歯茎に近づけ、そのすき間から息を出して発音します。

/θ/ は、上下の歯の間に舌を軽くはさみ、そのすき間から息を出して発音します。

今度は、語尾の音を区別してみましょう。

練習12

以下の語を区別して発音できるようになるまで練習してください。

“mouse”, “mouth”
“tense”, “tenth”
“bus”, “bath”(母音の /ʌ//æ/ の違いにも注意)

/b/, /v/

次に、/b//v/ の区別を練習します。

練習13

以下の語を区別して発音できるようになるまで練習してください。

“ban”, “van”
“base”, “vase”
“berry”, “very”
“best”, “vest”
“boat”, “vote”

発音のコツ

/b/ は、日本語の「バビブベボ」の子音と同じ発音で構いません。

/v/ は、下唇を上の歯の内側に当て、そのすき間から息を出して発音します。

語尾に /v/ が来る単語の発音も練習してみましょう。(日本語の「ブ」の音にならないように注意してください。)

練習14

以下の語の発音を練習してください。

“five”, “have”, “love”, “move”, “save”, “serve”

/f/, /ð/

日本人が苦手とする子音として、最後に /f//ð/ を練習します。上で練習した /v/ を声を出さずに発音すると、/f/ の音になります。また、声を出して /θ/ を発音すると、/ð/ の音になります。

練習15

以下の語の発音を練習してください。

/f/“face”, “photo”, “front”, “effect”, “off”, “laugh”

/ð/“they”, “this”, “whether”, “although”, “bathe”, “breathe”

子音の練習は以上です。英語には他にも多くの子音がありますが、今回練習した子音の発音さえマスターすれば、残りは日本語にある子音の発音で十分対処することができます。

音節とアクセント

日本人の話す英語が通じにくいとされる大きな理由に、音節とアクセントの問題があります。音節とアクセントは、英語特有のリズムを生み出す重要な要素で、これを間違えると英語はほとんど通じなくなってしまいます。

「通じる英語」には、正しい発音と正しいリズムの両方が必要です。そこでこの項では、英語の正しいリズムを身につける練習を紹介します。

音節

まず、音節について簡単に説明しておきましょう。

「音節」とは発音上の最小単位のことで、日本語では、基本的に50音それぞれが1つの音節を形成します。例えば「みず」という単語は「み」と「ず」の2音節から成り、「み」や「ず」は、これ以上小さい単位に分けることができません。

一方、英語の音節は、日本語の50音のように簡単に識別することができません。そのため、音節の数は英和辞典で確認することになります。

通常、英和辞典では、音節の切れ目が「・」で示してあります。例えば “prove” は切れ目がないので1音節、“im・prove” は2音節、“im・prove・ment” は3音節になります。

ここで大切なのは、英語の1つ1つの音節を、日本語の「み」や「ず」のように、1つのまとまった音として発音することです。 つまり、1音節を1拍で発音するのです。“im・prove” であれば2拍、“im・prove・ment” であれば3拍で発音することになります。

練習16

手で拍子をとりながら、1音節を1拍で発音する練習をしてみましょう。

1.両手を1回たたきながら、同時に “prove” を発音してください。日本語の「み」のように、1つのまとまった音として発音します。

2.両手を2回たたきながら、同時に “im・prove” を発音してください。日本語の「み・ず」のように、2つのまとまった音として発音します。

3.両手を3回たたきながら、同時に “im・prove・ment” を発音してください。日本語の「み・み・ず」のように、3つのまとまった音として発音します。

アクセント

1音節を1拍で発音することができたら、今度はそれに「アクセント」を加えてみましょう。

「アクセント」とは、単語の各音節を発音する強さのことです。強い方から第一アクセント第二アクセント弱アクセントの3種類があります。例えば、3音節の “af・ter・noon” は /æ̀f・tər・nú:n/ と発音されますが、最後の音節が一番強く発音され、最初の音節が次に強く、まん中の音節が一番弱く発音されます。(第一アクセントは á のような左下がりの記号で、第二アクセント à のような右下がりの記号で表されます。弱アクセントは無記号です。)

英語の聞き手は、音節の強弱のリズムを頼りに単語を聞き取っています。アクセントのない平板な発音では、単語を聞き取るための大切な手がかりが失われてしまい、結果として相手に話の内容が伝わらないことになります。日本人の英語は平板な発音になりがちなので、アクセントには特に注意を払う必要があります。

練習17

3種類のアクセントに注意して “àf・ter・nóon” を発音してください。(手で拍子をとりながら発音してみましょう。)

音節とアクセントの総合練習

最後に、音節とアクセントをまとめて練習してみましょう。

練習18

音節とアクセントに注意して、以下の語の発音を練習してください。(手で拍子をとりながら発音してみましょう。)

2音節語
“cláss・mate”, “scí・ence”, “ad・více”, “cre・áte”

3音節語
“ín・dus・try”, “con・dí・tion”, “ùn・der・stánd”, “rèc・om・ménd”

4~5音節語
“a・bíl・i・ty”, “màth・e・mát・ics”, “ù・ni・vér・si・ty”, “com・mù・ni・cá・tion”

発音の練習についてのまとめ

今回は、日本人が苦手とするポイントに絞った発音練習を紹介しました。

ポイントのまとめ

  • 母音で重要なのは次の3点です。
    1)/æ/, /ɑ/, /ʌ/ の区別
    2)/ɔ://ou/ の区別
    3)/ər/ の発音
  • 子音で重要なのは次の4点です。
    1)/l//r/ の区別
    2)/s//θ/ の区別
    3)/b//v/ の区別
    4)/f//ð/ の発音
  • 「音節」と「アクセント」は、英語特有のリズムを生み出す重要な要素です。
  • 「音節」は発音上の最小単位のことで、1つの音節は1つのまとまった音(1拍)として発音します。
  • 「アクセント」は単語の各音節を発音する強さのことで、強い方から第一アクセント、第二アクセント、弱アクセントの3種類があります。日本人の英語は平板な発音になりがちなので、アクセントには特に注意を払う必要があります。

今回の記事が、皆さんの発音のレベルアップにつながることを願っています。