「してくれた」「してくれる」の英語と日本語との表現の違い

「母が服を買ってくれた」「姉が夕食を作ってくれた」など、私たちは「~してくれた」という表現を毎日のように使いますが、英語ではどのように言うのでしょうか。

今回は、「~してくれた」や「~してあげる」といった日本語を、英語で表現する方法について見ていきます。

「~してくれた」の英語

実は英語には、日本語の「~してくれた」に当たる決まった言い方がありません。むしろ、特別なフレーズを使わず、下の例のように、文脈でその意味を伝えるのが一般的です。

My mother bought me a white blouse.
母が私に白いブラウスを買ってくれた

My brother taught me English.
兄が私に英語を教えてくれた

My sister fixed me breakfast.
姉が私に朝食を作ってくれた

上の英文では、“bought(買った)”、“taught(教えた)”、“fixed(作った)” のように、普通の動詞がそのまま使われているだけですが、これを日本語で表現する場合は、「買ってくれた」「教えてくれた」「作ってくれた」のようにするのが自然です。

「~してくれる」の場合も同様で、“My brother always teaches me English.” は、「兄はいつも私に英語を教えてくれる 」となりますね。

このように、「~してくれた」「~してくれる」と英語で言いたい場合は、普通の動詞を使って、シンプルに「~した」「~する」と言う方法が一般的です。「~してくれた」「~してくれる」という意味は、文脈に含まれていると考えてください。

「~してあげる」「~してくれない」

「~してあげる」や「~してくれない」といった日本語も、「~する」「~しない」というシンプルな英語で表現できます。

I gave him a ride to the station.
私は彼を車で駅まで送ってあげた

Jim made a new suit for his brother.
ジムは弟に新しい背広を作ってあげた

Susan helped her sister with her homework.
スーザンは妹の宿題を手伝ってあげた

He didn’t tell me the reason he quit the job.
彼は仕事を辞めた理由を話してくれなかった

Nobody understands my feelings.
誰も私の気持ちを理解してくれない

“Why didn’t you wake me up?”
「どうして起こしてくれなかったの?」

社会言語学者によると,日本文化は贈答を重んじるため,日本語には物のやり取りに関する語彙が多いそうです。様々な動詞に「くれる」や「あげる」をつける用法もその表れで,日本語の1つの特徴であるとされています。

英語にはこのような用法はないので,日本語で「~してくれる」「~してあげる」などが使われるケースでも,普通の動詞をそのまま使うのが正解です。

「わざわざ」「親切にも」

「わざわざ~してくれた」「親切にも~してくれた」のように表現する場合は、次のようなフレーズがよく使われます。

He took the trouble to clean my room for me.
彼はわざわざ私の部屋を掃除してくれた。

She went out of her way to see me off at the airport.
彼女はわざわざ空港まで私を見送りに来てくれた。

She came all the way to visit me at my house.
彼女はわざわざ家まで私に会いに来てくれた。

He was kind enough to give me a ride home.
彼は親切にも私を車で家まで送ってくれた。

She kindly helped me with my homework.
彼女は親切にも私の宿題を手伝ってくれた。

最初の “take the trouble to ~” と、次の “go out of one’s way to ~” は、「する必要がないことをわざわざする」という場面で使われます。その行為が相手への思いやりや親切心によるものである場合は、「わざわざ~してあげる」「わざわざ~してくれる」という意味になります。

all the way” は、距離が長いことを強調するフレーズです。「はるばる」「わざわざ」という意味でよく使われます。

be kind enough to ~” と “kindly” は、共に「親切にも」という意味になります。kindly は、動詞の直前に置いて使います。

「~してくれた」の英語まとめ

以上、「~してくれた」「~してあげる」などに関する英語表現について見てきました。

「~してくれた」のまとめ

  • 様々な動詞に「くれる」や「あげる」をつけるのは、日本語独特の用法です。
  • 「~してくれる」「~してあげる」という日本語は、「~する」というシンプルな英語で表現できます。
  • “take the trouble to ~”(わざわざ~する)や “be kind enough to ~”(親切にも~する)などのフレーズを使うことで、表現の幅が広がります。

日本語の表現の中には、英語で表現する必要のないものも含まれています。今回の記事でそのことを再確認していただければ幸いです。