なぜ1+2+4+…=-1となるのか理解できません。解析接続という手法を用いていることは知っているのですが、むしろその手法が誤っていることを示す反例としては扱われないのはなぜだろうか、と考えています。
誰か教えて頂けると幸いです。
ちなみに、高校生ですがそれなりに大学の数学にも触れているので、ある程度難解な内容は理解できると思います。(Wikipediaの「解析接続」もはじめから3分の1ぐらいはなんとか理解できました。)
ベストアンサー
おそらくに形式的に を「代入」して出てくる式
についておっしゃていると思われるので,以下それを前提に説明します.(結論から言うと,その式は誤りあるいは「無意味な」式です.)
まずは素朴に考えてみます.左辺を だと解釈すれば,この極限は明らかに ではありません.この意味ではその式は完全な誤りです.
次に において成り立つ式と解析接続の関係から考えてみます.
解析接続について.
ある領域 で定義された正則関数 を, となる領域 に解析接続するとは,大雑把には「 上で定義された正則関数 であって 上で となっているものを見つける」という意味です.
これを元に上の式を見てみましょう.左辺は で収束し,それ以外では発散する無限級数です.よってこの無限級数を使ってという領域上で値が定まった正則関数 を作ることができます .このとき注意が必要なのは, という関数の定義域は であり,「 の外での値」というものは定義していない,ということです.
また右辺は 上で定義された正則関数 を与えます. であり, 上では となっているため は の解析接続です.
このとき定義より が成り立ちます.一方で という値はそもそも定義されていません.( は の定義域 に入っていないので.)にも関わらず, 上でのみ成り立つ式
に を「代入」して出てくるが「不思議な等式」として紹介されることがあるようです.そのような操作は元の等式の成立範囲から外れていますから,これは「無意味」な等式です.(「実数 について 」という命題に を代入しても意味がないのと同じです.)
最後に,「なぜこの例が解析接続の手法の誤りを示す例として扱われないか」について説明します.
「解析接続の理論から という等式が出てくるわけではない」ことに注意しましょう.上でも述べた通り,解析接続の立場からみてもこの式は「無意味な操作を形式的にやってみると出てくるもの」であり,論理的に導かれる等式ではありません.よってそもそも反例になっていません.
また「無限級数の での値は なんだから ってすれば定義域広げられるじゃん,でもこれだと と辻褄合わなくない?」という疑問もあるかもしれませんが, ととして を拡張したものは解析接続ではありません.( を値に持つような関数は正則関数の範囲から外れるため,解析接続の理論の適用範囲外です. を値に許す有利型関数というものもありますが,その範囲からも外れていることが証明できます.)なのでこの場合は解析接続と関係のない話になります.
質問者からのお礼コメント
ものすごくすんなり頭に入ってきました。
本当にありがとうございます‼️
ところで、
V=C−{1}
ではないのでしょうか。