英語の二重否定とは|訳し方や使い方・主な慣用表現の例まで全て例文つきで解説
1つの文の中で否定を表す表現が2つ (または2回) 使われることを「二重否定」と呼びます。二重否定の文は、「否定」の意味が打ち消されることにより、結果として「肯定」の意味を表すことになります。
今回は、この二重否定について詳しく見ていきます。
二重否定の種類
二重否定の種類
二重否定は「語否定」と「文否定」の2つに分類することができます。
語否定
「語否定」では、unhappy (不幸せな)、careless (不注意な)、deny (認めない) などの「否定」の意味を含む語が否定され、結果として「肯定」の意味になります。ただし、純粋な肯定文と比べるとニュアンスは控えめになります。
(1) He is not unhappy.
彼は不幸せではない。
(「彼は幸せだ」よりは控えめなニュアンス)
(2) She is not a careless driver.
彼女は不注意な運転手ではない。
(「彼女は注意深い運転手だ」よりは控えめなニュアンス)
(3) I don’t deny it.
私はそれを認めないわけではない。
(「私はそれを認める」よりは控えめなニュアンス)
文否定
「文否定」では、not, never, no, nobody, nothing, without などの「否定語」が2つ (または2回) 使われ、結果として「肯定」の意味になります。こちらの場合は、単なる肯定文よりも肯定の意味が強まります。
(4) There was nobody who didn’t know me.
私を知らない人はいなかった。
(「皆が私を知っていた」より強いニュアンス)
(5) I don’t buy any clothes that are not returnable.
私は返品できない服は買わない。
(「私は返品できる服を買う」より強いニュアンス)
(6) You can never succeed without doing your best.
ベストを尽くさなければ決して成功できない。
(「ベストを尽くせば成功できる」より強いニュアンス)
なお、(6)の〈never ~ without …〉は「~すれば必ず…する」という意味になることがあります。
(7) We never meet without quarreling.
私たちは会えば必ず口論する。
関係代名詞の but を用いた表現
but は否定文の中にある語を先行詞として、二重否定の意味を表す関係代名詞として使われることがあります。
(8) There was no one but thought he was dead.
彼が死んでいると思わなかった人は誰もいなかった。
(9) There is not one of us but wishes to be happy.
幸せになることを願わない人は一人もいない。
ただし、but がこの用法で使われることはあまりなく、通常は関係代名詞の that や who を用いて次のように表現します。
(8’) There was no one that [who] did not think he was dead.
彼が死んでいると思わなかった人は誰もいなかった。
(9’) There is not one of us that [who] does not wish to be happy.
幸せになることを願わない人は一人もいない。
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非標準的な二重否定
非標準的な二重否定
くだけた話し言葉では、否定語を2つ使うことによって否定の意味を強調することがあります。この用法は文法的には誤りですが、話し手の強い否定の気持ちを表すことができます。
(10) They will never do you no harm.
彼らが君を傷つけることは絶対にない。
(正しい文は “They will never do you any harm.” または “They will do you no harm.”)
(11) I never heard nothing from him.
私は彼からまったく何も聞いていない。
(正しい文は “I never heard anything from him.” または “I heard nothing from him.”)
英文法では、この用法は「非標準的な二重否定」に分類されます。
練習問題
練習問題
最後に練習問題を解いてみましょう。
次の文を英訳しなさい。
1.Their plan was not unsuccessful.
2.I never visit his home without bringing a gift.
3.There was no one there but shed tears.
1.彼らの計画はうまくいかなかったわけではない。
2.私が彼の家を訪れる時は必ずおみやげを持っていく。
3.涙を流さなかった人はそこにはいなかった。
“I didn’t do nothing.” のような「非標準的な二重否定」はドラマや映画などでもよく耳にしますが、実際に使うのは避けた方が賢明です。