英語の準否定語|hardly/scarcely/seldom/rarely/の違いと使い方をまとめて解説
英語には「ほとんど~ない」「めったに~ない」という意味を表す「準否定語」と呼ばれる語があります。これらの語を含む文は、肯定文の形をとりますが否定文として扱われます。
今回は、この準否定語の使い方について詳しく解説していきます。
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準否定語とは
準否定語とは
英語における準否定語は、以下の6語です。
品詞 | 準否定語 | 意味 |
---|---|---|
副詞 | hardly | ほとんど〜ない |
〃 | scarcely | ほとんど〜ない |
〃 | rarely | めったに〜ない |
〃 | seldom | めったに〜ない |
形容詞 | few | (数が)ほとんどない |
〃 | little | (量が)ほとんどない |
準否定語は、それ自体が否定の意味を含むため、他の否定語や準否定語とともには用いられません。
準否定語の副詞の位置
hardly [scarcely], rarely [seldom] の文中での位置は、頻度を表す副詞の often と同じく「一般動詞の前」「be動詞の後」「助動詞の後」になります。
(1) I hardly know him.
私は彼のことをほとんど知らない。
(2) Diets are rarely successful.
ダイエットはめったに成功しない。
(3) There can scarcely be a better way.
より良い方法などほとんどあり得ない。
倒置
英文法では、平叙文の語順が疑問文の語順に変わることを「倒置」と呼びます。
準否定語の副詞を使った文では、否定の意味を強めるためにそれらの副詞を文頭に置くことがあります。その場合、通常の語順が疑問文の語順に変化することになります。
-
I hardly know him.
→ Hardly do I know him. -
Diets are rarely successful.
→ Rarely are diets successful. -
There can scarcely be a better way.
→ Scarcely can there be a better way.
なお、倒置についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
付加疑問
準否定語の副詞を使った文の付加疑問は、次のように肯定形になります。
(4) He hardly [rarely] studies, does he?
彼はほとんど [めったに] 勉強しませんね。
hardly / scarcely
hardly と scarcely はともに「程度」を表す副詞で、「ほとんど~ない」という意味で使われます。scarcely は hardly よりフォーマルなニュアンスになります。(日常的には主に hardly が使われます。)
これらの副詞は、例文(1)(3)(4)のように動詞を直接修飾するほか、しばしば any, anybody, anything などの前で用いられます。
(5) Hardly [Scarcely] anybody could understand what he was saying.
ほとんど誰も彼の言っていることを理解できなかった。
(6) There is hardly [scarcely] any danger of an earthquake.
地震の恐れはほとんどない。
hardly [scarcely] … when [before] ~
hardly [scarcely] を用いた重要構文に〈hardly [scarcely] … when [before] ~〉(…するとすぐに~) があります。when [before] の前は過去完了形、後ろは過去形を使うのが一般的です。
(7) The concert had hardly [scarcely] started when [before] she arrived.
コンサートが始まってすぐに彼女が到着した。
(7)の文を直訳すると「彼女が到着した時 [到着する前] に、コンサートはほとんど始まっていなかった」となりますが、“had hardly [scarcely] started” は「始まったばかりだった」という意味を表すので、コンサートはすでに始まっていたことになります。
別の例文も見てみましょう。
(8) I had hardly [scarcely] sat down to supper when [before] the phone rang.
私が夕食の席につくとすぐに電話が鳴った。
この文の “had hardly [scarcely] sat down” は「席に着いたばかりだった」という意味になります。
rarely / seldom
rarely と seldom はともに「頻度」を表す副詞で、「めったに~ない」という意味で使われます。seldom は書き言葉で使われることが多く、話し言葉では rarely が好まれます。
(9) He rarely [seldom] gets up before noon.
彼は昼前にはめったに起きない。
(10) Kimonos are rarely [seldom] worn in daily life.
着物が日常生活で着られることはめったにない。
なお、“hardly [scarcely] ever” で rarely [seldom] とほぼ同じ意味を表すことができます。
(9’) He hardly [scarcely] ever gets up before noon.
彼は昼前にはめったに起きない。
few / little
few は数えられる名詞を修飾して「数がほとんどない」ことを表し、little は数えられない名詞を修飾して「量がほとんどない」ことを表します。
a few / a little のように a をつけると「(数 / 量が)少しはある」という肯定の意味になりますが、few / little と a few / a little の違いは話し手の主観の問題で、必ずしも実際の数や量の大小によるわけではありません。
なお、few / little は a few / a little と間違えられやすいため、主に書き言葉で使われます。話し言葉では only a few / only a little や very few / very little といった表現が好まれます。
(11) He has (very) few friends.
彼には友達がほとんどいない。
(12) He made few [only a few] mistakes.
彼はほとんど間違いを犯さなかった。
(13) There is (very) little food in the refrigerator.
冷蔵庫には食べ物がほとんどない。
(14) I have little [only a little] money with me.
私は手持ちのお金がほとんどない。
代名詞としての few / little
few と little には代名詞としての用法もあります。few は数えられる名詞の複数形の代わりに用いられるため、複数扱いになります。little は単数扱いです。
(15) Few [of the students] were absent.
欠席者 [欠席した学生] はほとんどいなかった。
(16) Little is known about him.
彼についてはほとんど知られていない。
副詞としての little
little には副詞としての用法もあります。
(17) I slept very little last night.
昨夜私はほとんど眠れなかった。
(18) Little did I dream of seeing him again.
また彼に会うとは夢にも思わなかった。
(18)では、little が文頭に来ることにより倒置が行われています。
練習問題
練習問題
最後に練習問題を解いてみましょう。
問1 次の文を英訳しなさい。
1.彼はめったに父親に電話しない。(4通りに)
2.私が出発するとすぐに雨が降り出した。(Hardly で始めて)
3.東京に住んでいる私の友人はほとんどいない。(準否定語で始めて)
問2 次の文を和訳しなさい。
Little remains to be done.
問1
1.
He rarely calls his father.
He seldom calls his father.
He hardly ever calls his father.
He scarcely ever calls his father.
2.
Hardly had I started when [before] it began to rain.
3.
Few of my friends live in Tokyo.
問2
やるべきことはほとんど残っていない。
hardly を hard と混同しないように注意してください。
〇 He hardly studies. / × He studies hardly.
(彼はほとんど勉強しない。)
〇 He studies hard. / × He studies hardly.
(彼は熱心に勉強する。)