分詞構文とは|意味・接続詞を用いた書き換え・完了分詞など例文と共に解説

分詞には現在分詞過去分詞があり、次の3つの働きをします。

1)名詞を修飾する(限定用法)
2)補語になる(叙述用法)
3)副詞句として文全体を修飾する(分詞構文)

この記事では、3) の分詞構文について解説していきます。

1)の限定用法と 2)の叙述用法についてはこちらの記事をご覧ください。

分詞構文の基本

現在分詞過去分詞文全体を修飾する副詞句を構成している場合、この副詞句を「分詞構文」と呼びます。

分詞構文の形と働き

通常、分詞構文は「分詞から始まる副詞句」という形をとり、文全体を修飾します。

(1) Walking along the street, I met an old friend of mine.
通りを歩いている時、私は旧友に出会った。

(2) Seen from here, the rock looks like a lion.
ここから見ると、その岩はライオンのように見える。

(3) She walked into the room singing happily.
彼女は嬉しそうに歌いながら部屋に入っていった。

(1)と(3)は現在分詞で始まる分詞構文、(2)は過去分詞で始まる分詞構文の例です。

現在分詞の walkingsinging は「歩いている」「歌っている」という能動の意味を、過去分詞の seen は「見られる」という受け身の意味を表しています。

分詞構文の副詞節への書き換え

分詞構文は副詞句の働きをするので、多くの場合、副詞節に書き換えることができます。例えば、上の例文は次のように書き換えられます。

(1’) When I was walking along the street, I met an old friend of mine.

(2’) When the rock is seen from here, it looks like a lion.

(3’) She walked into the room while she was singing happily.

(1)(2)(3)の文と、それを書き換えた(1’)(2’)(3’)の文は、内容的にはほぼ同じですが、分詞構文の方が表現が簡潔で、主節とのつながりも密接になります

意味上の主語

分詞構文には、分詞の意味上の主語が文全体の主語と一致するという原則があります。

例文(1)の walking の意味上の主語は I、例文(2)の seen と例文(3)の singing の意味上の主語はそれぞれ the rockshe となり、すべて文全体の主語と一致しています。

分詞の意味上の主語が文全体の主語と一致しない場合、そのような分詞構文を「独立分詞構文」と呼びます。

独立分詞構文については、こちらの記事で詳しく説明しています。

分詞構文の表す意味

分詞構文が表す意味は、主に「(~する時)」「理由(~なので)」「条件(~ならば)」「譲歩(~だけれども)」「付帯状況(~しながら / そして~する)」の5つです。

時を表す

(1) Walikng along the street, I met an old friend of mine.
通りを歩いている時、私は旧友に出会った。

分詞構文の意味は、文脈からの自然な類推によって決まります。

例文(1)の分詞構文は「~している時」という意味に解釈するのが自然です。「時」を表す分詞構文は、前述の(1’)のように when を使って副詞節に書き換えることができます。

理由を表す

(4) Living near the school, I usually walk there.
学校の近くに住んでいるので、私はいつもそこへ歩いていく。

(5) Written in a simple style, this manual is easy to understand.
シンプルなスタイルで書かれているので、このマニュアルは理解しやすい。

(4)(5)は「理由(~なので)」を表す分詞構文の例です。「理由」を表す分詞構文はbecausesinceas などを使って副詞節に書き換えることができます。

(4’) [Because / Since / As] I live near the school, I usually walk there.

(5’) [Because / Since / As] this manual is written in a simple style, it is easy to understand.

なお、(5)のように過去分詞で始まる分詞構文は、現在分詞の being から始まる〈being + 過去分詞〉という形にすることも可能です。

(5") Being written in a simple style, this manual is easy to understand.

条件を表す

(6) Turning to the left, you will see a bank.
左に曲がると銀行が見えるでしょう。

(6)は「条件(~ならば)」を表す分詞構文の例です。「条件」を表す分詞構文は if を使って副詞節に書き換えることができます。

(6’) If you turn to the left, you will see a bank.

譲歩を表す

(7) Living next door, I rarely see him.
隣に住んでいるけれども、私はめったに彼に会わない。

(7)は「譲歩(~だけれども)」を表す分詞構文の例です。「譲歩」を表す分詞構文は though を使って副詞節に書き換えることができます。

(7’) Though I live next door, I rarely see him.

付帯状況を表す

(3) She walked into the room singing happily.
彼女は嬉しそうに歌いながら部屋に入っていった。

(8) Taking out a handkerchief, he wiped his glasses.
彼はハンカチを取り出して眼鏡を拭いた。

(3)(8)は「付帯状況(~しながら / そして~する)」を表す分詞構文の例です。

「~しながら」を意味する(3)の分詞構文は、前述の(3’)のように while を使って副詞節に書き換えることができます。

(8)のように「そして~する」を意味する分詞構文は副詞節に書き換えることはできませんが、接続詞の and を使って表現することができます。

(8’) He took out a handkerchief, and (he) wiped his glasses.

接続詞 + 分詞

前述のように、分詞構文の意味は、文脈からの自然な類推によって決まりますが、意味が曖昧になることを避けるために、分詞の直前に接続詞を補うことがあります

(9) While playing basketball, I twisted my ankle.
バスケットボールをしている時に、私は足首をねん挫した。

(10) Though living near the sea, he has never learned to swim.
海の近くに住んでいるが、彼は全く泳げない。

(9)では、接続詞の while によって「~している時」という意味が明示されています。

(10)では、接続詞の though によって「譲歩(~だけれども)」の意味が明確になっています。

分詞構文の否定形

分詞構文の否定形は、not分詞の直前に置きます

(11) Not knowing what to do, I asked him for advice.
どうしてよいかわからなかったので、私は彼に助言を求めた。

having + 過去分詞(完了分詞)

主節の動詞が表す時よりも以前に起きた事柄を分詞構文で表現する場合は、分詞の部分を〈having + 過去分詞〉の形にします。

(12) Having prepared for my class, I watched TV.
授業の準備を済ませたので、私はテレビを見た。

(13) Having been raised in Tokyo, I am used to living in a big city.
東京で育てられたので、私は大都市の生活に慣れている。

(12)の Having prepared は、主節の動詞 watched よりも以前に起きた事柄を、(13)の Having been raised は、主節の動詞 am used to よりも以前に起きた事柄を表しています。

これらの文を、副詞節を使って表現すると次のようになります。

(12’) After I had prepared for my class, I watched TV.

(13’) Since I was raised in Tokyo, I am used to living in a big city.

練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

練習問題

与えられた2文を分詞構文を用いて1つの文で表し、その文を和訳しなさい。

1.
a. He wrote too rapidly.
b. He made many mistakes.

2.
a. I didn’t know what to say.
b. I remained quiet.

3.
a. She had seen him before.
b. She recognized him at once.

解答

1.
Writing too rapidly, he made many mistakes.
あまりに急いで書いたので、彼は多くの間違いを犯した。

2.
Not knowing what to say, I remained quiet.
何を言っていいか分からなかったので、私は黙っていた。

3.
Having seen him before, she recognized him at once.
以前彼に会ったことがあったので、彼女はすぐに彼だと分かった。

分詞構文は究極の省略形ですね。でも考えてみれば、私たちも日本語で似たようなことをしていますね。文法通りに使用すると不便なので省略していたものが文法として再編されているところが面白いと思います。