解決済み

力学の質問です。以下の問題は、この問題集を出版した人が作った問題で、過去に入試問題として出たものではありません。

それもあって疑問に思いました。この問題の楕円軌道の焦点の一つが地球の中心であることが自明のように扱われていました。(なにか理由が書いてあるわけでもなく図だけでポンと)

これはなにか理由がありますか?また、大学入試に出ますか?


ベストアンサー

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一応きちんとした説明を与えておきますが、高校範囲はかなり逸脱します。結果として地球(固定惑星)の中心が焦点になることは覚えていた方がよいでしょう。


本設定において、運動方程式は以下のようになる。er\bm{e}_rの定義は後に明らかにする。

md2rdt2=GMmr2erm\frac{d^2 \bm{r}}{dt^2}=-G\frac{Mm}{r^2}\bm{e}_r

ここで、r\bm{r}は原点 O \ O\ からの位置を表し、r=rr=|\bm{r}|

さて、2次元極座標を導入する。2次元極座標とは、直交座標 (x, y)\ (x,\ y)の代わりに

r=x2+y2,tanθ=yxr=\sqrt{x^2+y^2},\tan\theta=\frac{y}{x}

なる (r, θ)\ (r,\ \theta)を用いて点を指定する座標系である。また、原点から (r, θ)\ (r,\ \theta)に伸びる方向の単位ベクトルを er\ \bm{e}_r (r, θ)\ (r,\ \theta)を原点から見て反時計回りに回転させる方向の単位ベクトルを eθ\ \bm{e}_\thetaとする。すなわち、以下の様に定義する。

er=cosθex+sinθeyeθ=sinθex+cosθey\begin{align}\bm{e}_r=\cos\theta \bm{e}_x+\sin\theta\bm{e}_y\\\bm{e}_\theta=-\sin\theta\bm{e}_x+\cos\theta\bm{e}_y\end{align}

(単位円上にこの2つのベクトルを描き、その意味を確認せよ。)

図形的な認識が難しい場合には、以下のサイトを見ると良い。

https://toy1972.hatenablog.com/entry/2020/06/06/082310


さて、この2つの間には

derdθ=eθ, deθdθ=er\frac{d\bm{e}_r}{d\theta}=\bm{e}_\theta,\ \frac{d\bm{e}_\theta}{d\theta}=-\bm{e}_r

という関係があることもわかる。これを用いて運動方程式を書き換えてみよう。

今回r=rer\bm{r}=r\bm{e}_rだから、運動方程式は

m[d2rdt2r(dθdt)2]er+m[rd2θdt2+2drdtdθdt]eθ=GMmr2erm\left[ \frac{d^2 r}{dt^2}-r\left(\frac{d\theta}{dt}\right)^2 \right]\bm{e}_r+m\left[ r\frac{d^2 \theta}{dt^2}+2\frac{dr}{dt}\frac{d\theta}{dt} \right]\bm{e}_\theta=-G\frac{Mm}{r^2}\bm{e}_r

これを各成分ごとに議論することで

d2rdt2r(dθdt)2=GMr2rd2θdt2+2drdtdθdt=0\begin{align}\frac{d^2 r}{dt^2}-r\left(\frac{d\theta}{dt}\right)^2=-G\frac{M}{r^2}\\ r\frac{d^2 \theta}{dt^2}+2\frac{dr}{dt}\frac{d\theta}{dt}=0\end{align}

を得る。(4)式を踏み込んで解釈すると、

ddt(r2dθdt)=0\frac{d}{dt}\left( r^2 \frac{d\theta}{dt} \right)=0

すなわち

mr2dθdt=hmr^2\frac{d\theta}{dt}=h

なる h\ hは定数であると分かる。この h\ hは角運動量と呼ばれるものの特殊ケースであり、角運動量は大学以降の物理で極めて重要になる概念である。(質量 m\ mを掛けたのは角運動量に触れるためであり、本来の論理にはあまり関係ないため、あまり深く考える必要はない。)

さて、これを変形した

dθdt=hmr2\frac{d\theta}{dt}=\frac{h}{mr^2}

を(3)式に代入してみると

d2rdt2r(hmr2)2=GMr2\begin{align}\frac{d^2 r}{dt^2}-r\left(\frac{h}{mr^2}\right)^2=-G\frac{M}{r^2}\end{align}

を得る。これは r\ r t\ tの関数と見立てた微分方程式だが、これを θ\ \thetaを変数とした微分方程式に変えたい。そこで、

drdt=dθdtdrdθ=hmr2drdθ\frac{dr}{dt}=\frac{d\theta}{dt}\frac{dr}{d\theta}=\frac{h}{mr^2}\frac{dr}{d\theta}

d2rdt2=ddt(hmr2drdθ)=hmr2ddθ(hmr2drdθ)\frac{d^2 r}{dt^2}=\frac{d}{dt}\left( \frac{h}{mr^2}\frac{dr}{d\theta} \right)=\frac{h}{mr^2}\frac{d}{d\theta}\left( \frac{h}{mr^2}\frac{dr}{d\theta} \right)

と変形する。そうすれば、(5)式は θ\ \thetaを変数とした r\ rの微分方程式になる筈だ。この形の微分方程式を解くのは容易ではないが、

u=1ru=\frac{1}{r}

と変換し、 u\ uの微分方程式に書き直すと

d2udθ2+uGMm2h2=0\begin{align}\frac{d^2 u}{d\theta^2}+u-\frac{GMm^2}{h^2}=0\end{align}

を得る。この微分方程式を解くのは簡単で、

u(θ)=GMm2h2+Acos(θ+α)u(\theta)=\frac{GMm^2}{h^2}+A\cos(\theta +\alpha)

となる。( A\ A α\ \alphaは定数。)よって

r(θ)=h2GMm21+Ah2GMm2cos(θ+α)\begin{align}r(\theta)=\frac{\frac{h^2}{GMm^2}}{1+\frac{Ah^2}{GMm^2}\cos(\theta+\alpha)}\end{align}

を得る。(7)式のように、極座標系における r \ r\  θ \ \theta\ の関係を示した式を極方程式と呼ぶ。特に、(7)式の形は『楕円・双曲線』型の極方程式であり、原点が焦点となっている楕円(または双曲線)\underline{原点が焦点となっている楕円(または双曲線)}を表す。

この点においては、以下を確認すると良い。

https://manabitimes.jp/math/1113

(説明終)


この議論を追うのは中々大変ですが、別に高校生が理解しきる必要もないのかなと思います。(どうせ物理学科に行けばやらされます。)

とりあえず「数学的な議論のもとで示されるんだな」ということを知っておくだけで良いのではないでしょうか。

質問者からのお礼コメント

質問者からのお礼コメント

丁寧にありがとうございます。大学入試にどう活かすかが分かったので満足です!また機会が有ればよろしくお願いします🤲

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