解決済み

最初から電気量 Q1,Q2Q_{1},Q_{2} を持っているコンデンサー C1,C2C_{1},C_{2} 、そして抵抗が一直線に導線で結ばれて回路を成している時、時間が経った後コンデンサーは放電しますがその時

Q1=Q2Q_{1}=Q_{2} なら、電流電圧電気量すべて0

だと思いますが(あってますか?①)

Q1Q2Q_{1}≠Q_{2} なら、電流電圧電気量はそれぞれどうなりますか?②

お願いします🤲

ベストアンサー

ベストアンサー

まず、『時間が十分経ったあとコンデンサーは放電する』という認識は間違ってるように感じます。

もし仮にQ1,Q2Q_1,Q_2が適当な電荷量でなかった時、コンデンサーを回路に接続した瞬間(あるいは、回路のスイッチをonにした瞬間)電流は流れ始めます。そのときコンデンサー1の正の極板からコンデンサー2の負の極板に電荷が移動するわけですから、電流の影響によってコンデンサー1とコンデンサー2の電圧の大きさにおける差は徐々に小さくなるように考察できます。したがって、時間が十分経ったときには抵抗にかかる電圧が0になるので、むしろ「電流は流れなくなる」と考えるのが自然です。

もし仮に時間が十分経ったときに電流が流れているならば、回路に交流電圧やコイルなどコンデンサーとは違う時間依存性(時間的な位相)を持った電圧源があると言うことです。例えば、もしどちらかのコンデンサーをコイルに取り換えると、電流や各素子の電圧が振動的(I(t)=sin(ωt+ϕ)I(t)=\sin(\omega t+\phi)のように、単振動っぽい)性質を示すことが分かっていて、これを電気振動といいます。

以下、具体的な計算です。


具体計算\underline{具体計算}


キルヒホッフの法則より

Q1C1+Q2C2+RI=0\frac{Q_1}{C_1}+\frac{Q_2}{C_2}+RI=0

ここで、コンデンサーの基本式 Q=CV\ Q=CVを用いた。また、電流の向きは

 Q1+Q2\ -Q_1 \rightarrow +Q_2の向きを正とした。また、回路の左側は外部電源に接続されていないので、電荷保存則より

Q1Q2=qQ_1-Q_2=q

と書ける。ただし q\ qは定数。この2式は時間に依存せず成り立つ式である。\bm{時間に依存せず成り立つ式である。}

さて、十分時間が経過した時電流は0になる。つまりI=0I=0。よってキルヒホッフの法則から得られた式より

Q1infC1+Q2infC2=0\frac{Q_{1\inf}}{C_1}+\frac{Q_{2\inf}}{C_2}=0

となる。ただしQ1infQ_{1\inf}は時間が十分経ったときの電荷量。したがって第2式と第3式を連立方程式と思って解くと

Q1inf=C1C1+C2q ,Q2inf=C2C1+C2qQ_{1\inf}=\frac{C_1}{C_1+C_2}q\ ,\quad Q_{2\inf}=-\frac{C_2}{C_1+C_2}q

と得られる。したがって各コンデンサーにかかる電圧は

V1inf=qC1+C2 ,V2inf=qC1+C2V_{1\inf}=\frac{q}{C_1+C_2} \ ,\quad V_{2\inf}=-\frac{q}{C_1+C_2}

と得られる。

さて、 q=0\ q=0のときを考えればQ1=Q2=0Q_1=Q_2=0V1=V2=0V_1=V_2=0が容易に分かる。したがって時間が十分経っているときは、電荷量も電圧も0になっていると分かる。


発展的補足\underline{発展的補足}


直感的に『十分時間が経過したときに電流は0』と説明しましたが、定量的にそれを導くこともできます。(ただし、高校レベルを少しだけ超える数学を要します。)

キルヒホッフの法則より以下が得られましたね。

Q1C1+Q2C2+RI=0\frac{Q_1}{C_1}+\frac{Q_2}{C_2}+RI=0

ここで電流の定義を思い出してみれば、『単位時間あたりに流れる電荷量』のことでした。今電流は各コンデンサーの正の極板に入っていくわけですから、この電流は『各コンデンサーにおける単位時間当たりの電荷量増加』の役割を担っていることに気づきます。これを時間微分を用いて表現すれば

I=dQ1dt=dQ2dtI=\frac{dQ_1}{dt}=\frac{dQ_2}{dt}

となります。(『単位時間当たりの○○』というのは、厳密には『○○を時間微分したもの』という意味です。高校物理では見慣れない表式かも知れません。)

よって、キルヒホッフの法則より得られた式を時間微分することで以下を得ます。

IC1+IC2+RdIdt=01IdIdt=C1+C2RC1C2\frac{I}{C_1}+\frac{I}{C_2}+R\frac{dI}{dt}=0\Leftrightarrow \frac{1}{I}\frac{dI}{dt}=-\frac{C_1+C_2}{RC_1 C_2}

上の式の様に、ある関数とその微分系が混在している方程式のことを微分方程式\bm{微分方程式}と言います。微分方程式の解法を体系的に理解することは非常に難しいのですが、今回のタイプの微分方程式は(乱暴な操作を許せば)それほど難しくなく解けます。得られた微分方程式を

1IdI=C1+C2RC1C2dt\frac{1}{I}dI=-\frac{C_1+C_2}{RC_1C_2}dt

と変形してしまい、左辺を I\ Iで、右辺を t\ tで積分してしまえば良いのです。そんな乱暴なことしていいのか?と思うかもしれませんが、物理の数学なんて結構こんなもんです。(数学科の人には怒られそうですが…)

積分を実行すれば

logI=C1+C2RC1C2t+A0\log{I}=-\frac{C_1+C_2}{RC_1C_2}t+A_0

と得られます。ここで、A0A_0は積分定数の様なものと思ってください。後はこの式をI=I=の形にしてあげれば

I=Aexp[C1+C2RC1C2t]I=A\exp\left[-\frac{C_1+C_2}{RC_1C_2}t\right]

と得られます。ここで、A=eA0A=e^{A_0}で結局AAも定数で、初期条件から具体的に決定できます。また、expa=ea\exp{a}=e^aという意味なので注意してください。

さて、この式をじっと見てみると、IIekte^{-kt}の形に比例していることから、電流は指数的に減衰していくことが分かります。よって

limtI=0\lim_{t \to \infty}I=0

となるので、時間が十分経ったとき電流は0になることが分かります。


コメント\underline{コメント}


発展的補足の内容はやや難しいため、スルーしてもらって問題ないです。もし理解できたら、自分で定数AAを初期条件から決定してみると良い練習になるでしょう。ヒントは『電流を積分すると電荷量になる』です。


返信(6件)

コメントにて間違いがありました。

電流を積分すると電荷量になる、は間違いではないのですがヒントにはなり得ません。

ヒントは、『時間によらず成り立つ式がある』です。

最初のキルヒホッフの式がわからなくなってしまいました。

①充電されたコンデンサーを電池見ている、ということであってますか?

②どうしてその向きに電流を正にしましたか?逆の方が電池(コンデンサー)の向きと合っていて良いかなと思ったのですが、、、

アホな質問やったらすみません🙇‍♂️

質問1について\underline{質問1について}

キルヒホッフの法則は『閉回路1周分の電位降下(もしくは上昇)は0になる』ということです。これは、電池やコイル、コンデンサーが入っていても同じように適応できます。

具体的に立式してみましょう。電流の向きを本文と同じようにとることにします。また、閉回路の出発点をコンデンサー1の正の極板とコンデンサー2の負の極板をつなぐ導線だとし、反時計回りに一周させることにします。

コンデンサーの基本式を用いれば、コンデンサー2ではV2=Q2C2V_2=\frac{Q_2}{C_2}だけ電位が上がっていることに気が付きます。次に、オームの法則より、抵抗を媒介してVR=RIV_R=RIだけ電位が上がります。最後にコンデンサー1ではV1=Q1C1V_1=\frac{Q_1}{C_1}だけ電位が上がります。よって、閉回路1周分の電位上昇は

Q1C1+Q2C2+RI\frac{Q_1}{C_1}+\frac{Q_2}{C_2}+RI

となります。したがってキルヒホッフの法則より

Q1C1+Q2C2+RI=0\frac{Q_1}{C_1}+\frac{Q_2}{C_2}+RI=0

が得られます。


キルヒホッフの法則の直感的説明\underline{キルヒホッフの法則の直感的説明}

今回の回路を例に、キルヒホッフの法則の「感覚」にあたるものを説明します。

今、コンデンサー1の正の極板とコンデンサー2の負の極板をつなぐ導線の電位を0としてしまいましょう。(電位は位置エネルギーなのですから、どこを0と考えても問題ありません。)するとコンデンサー2の正の極板と抵抗をつなぐ導線の電位は V2\ V_2になります。さらに抵抗とコンデンサー1の負の極板をつなぐ導線の電位は V2\ V_2より VR\ V_Rだけ高くなるのですから、V2+VRV_2+V_Rになりますね。そしてコンデンサー1の影響を考えれば、コンデンサー1の正の極板とコンデンサー2の負の極板をつなぐ導線の電位は V2+VR\ V_2+V_Rより V1\ V_1だけ高いはずなのですから V1+V2+VR\ V_1+V_2+V_Rになります。ところが、最初にこの電位を0と決めたのですから、

V1+V2+VR=0V_1+V_2+V_R=0

と得られます。この式は、先程得られた式と同じものになっています。この考え方は、素子が「どの向きに電位を上昇(下降)させるのか」さえ分かっていれば問題なく適応できます。

質問2について\underline{質問2について}

勿論電流を逆向きにしても問題ありません。そのときは抵抗での電位降下が逆向きになるのに注意してください。大した意図もないのですが、単純にa+b+c=0a+b+c=0の形がきれいだったのと、発展的補足にて

I=dQdtI=-\frac{dQ}{dt}

のように負の符号が付いてしまうのが気持ち悪かっただけです。

ながながと返信してしまい失礼しました。

ご丁寧にありがとうございます🙇‍♂️

自分が電位降下でキルヒホッフを使う派でごっちゃになってしまってました。

一般的に数式で結果を出せるのはおもしろいと思ったので次困った時には自分で解決できないかやってみることにします。

質問者からのお礼コメント

質問者からのお礼コメント

ご丁寧にありがとうございます。論理的でわかりやすかったです。

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