以下、重力による位置エネルギーは最下点を基準とする。
力学的エネルギー保存則により、点 C における速さ v は
21mv2=mgH⟺v=2gH
である。このとき、向心力の大きさは
mrv2=r2mgH
であり、垂直抗力の大きさ N1 は
N1−mg=r2mgH⟺N1=mg(r2H+1)[f]
となる。
続いて、円 O2 での運動を考える。
力学的エネルギー保存則により、点 P における速さ vP は
21mvP2+mgR(1−cosθ)=mgH⟺vP=2g(H−R+Rcosθ)[e]
である(どの瞬間においても常に保存されているので、最初と比較するのが計算が楽になることが多くておすすめです)から、先ほどと同様に円運動の運動方程式を考えると、
mRvP2=N−mgcosθ⟺N=mg(R2H−2+3cosθ)[a]
となって垂直抗力の大きさ N が得られる。
したがって、小球が 1 周するための条件は、0≦θ≦2π の範囲のいかなる θ に対しても N≧0⟺R2H≧2−3cosθ が成り立つことである。
2−3cosθ の最大値は 5 であることから、
N≧0⟺R2H≧5⟺H≧25R
最後に、円 O4 での運動を考える。
力学的エネルギー保存則により、点 Q における速さ vQ は
21mvQ2+mgH−mgs(1−cosϕ)=mgH⟺vQ=2gs(1−cosϕ)
であるから、垂直抗力を N2 とすると、
msvQ2=mgcosϕ−N2⟺N2=mg(3cosϕ−2)
が得られる。
ここで、円 O4 の弧に入った瞬間に ϕ は最大値 α をとるから、小球が円弧を離れない条件は
N2≧0⟺3cosα−2≧0⟺cosα≧32[e]
次の 5 つの場合のそれぞれにおいて、小球が受ける垂直抗力の最大値を考える。
① 円 O1 または円 O3 上で円運動をするとき、最大値は N1=mg(r2H+1)
② 円 O2 上で円運動をするとき、最大値は N=mg(R2H+1)
③ 円 O4 上で円運動をするとき、最大値は N2=mg
④ 線分 CD 上または線分 DT で等速直線運動をするとき、垂直抗力 N3 は常に N3=mg
⑤ 斜面 UV を上昇するとき、垂直抗力 N4 は常に N4=mgcosα
以上より、r<R であることに注意すると、垂直抗力の大きさが最大となるのは 2 点 C,T で円運動をするときだから、[b],[e] である。
解答は以上となります。「円運動を続けられる条件(これを束縛条件と言います)は向心力が 0 以上である」はよく出てきますね。
このほかにも、糸が緩まない条件は張力が 0 以上や、物体が回転しない条件は(モーメントのつり合いから)垂直抗力が 0 以上など、束縛条件を考える問題は頻出なので押さえておきましょう。
質問者からのお礼コメント
ありがとうございました!!
本当に助かりました。