一般に、酢酸の電離平衡では次の式が成り立っています。
Ka=[CHX3COOH][CHX3COOX−][HX+]⟺[HX+]=[CHX3COOX−][CHX3COOH]⋅Ka
つまり、電離定数 Ka が与えられている場合、CHX3COOH と CHX3COOX− の濃度比(=物質量比)が分かれば、HX+ のモル濃度が分かって pH が求められます。
ここで、酢酸の電離平衡の化学反応式と、酢酸ナトリウムの電離の化学反応式を考えます。
CHX3COOHCHX3COOX−+HX+⋯①CHX3COONaCHX3COOX−+NaX+⋯②
②の反応は完全電離であるため、多量の CHX3COOX− が存在します。このとき、ルシャトリエの原理より①の平衡は完全に左に寄ると考えてよいので、
いま溶液内にある CHX3COOX− はすべて CHX3COONa 由来であり、CHX3COOH はすべて CHX3COOH 由来であるといえます。
つまり、電離平衡の式より、[HX+]=23Ka となって、対数の計算をすれば pH が求められます。
この考え方は非常に重要なので、完璧に理解しておくことを推奨します。
体積比がちょうど 1:1 のときが緩衝作用が最も強くはたらきますが、緩衝作用を示す理由もあわせて押さえておきましょう。
ちなみに、共テ2024化学でも、酢酸に水酸化ナトリウムを徐々に加えていくときの溶液の pH に関する考察が出題されていました。