縦波の問題について。図の問題で媒質の速度が正の向きになっている点を求めよという問題なので、自分はx方向の運動がy方向に書かれているためB, C, Dが答えだと考えたのですが、解答ではD, E, Fが答えとなっていました。なぜ自分の考えでは間違っているのでしょうか？

『$x$方向の運動が$y$方向に書かれている』という認識だと少し曖昧で、これが誤解の元になっているような気がします。あくまでこのグラフは、「振動中心からのずれ(=変位）を縦軸にプロットしたグラフ」に過ぎません。

そもそも波とは、各媒質の点が振動し、その振動を次の点が引き継ぐことで模様が広がっていく現象です。波には様々な分類の方法がありますが、「媒質点の振動方向」で区別する方法が有名です。媒質点の振動が波の進行方向に直交していた場合、これは『横波』と呼ばれます。逆に、媒質点の振動方向が波の進行方向に平行だったとき、この波を『縦波』と呼ぶわけですね。

グラフに話を戻しましょう。これは、各点の振動中心からのずれを縦軸としたグラフです。言い換えれば、振動を無理やり進行方向に直交するように描き直しているグラフともいえます。この意味で、このグラフは「縦波の横波表示」と呼ばれることもあります。

あくまでこのグラフの縦軸は各点の振動中心からの「ずれ」を表すものですから、各点の「速度」を表すものではありません。これが、恐らく質問者がしていた誤解だと思います。

さて、ではこの問題についてどのように考えればいいかというと、『波は前の点の模様を引き継ぐように広がる』という基礎に立ち返ればよいのです。

例えば、点$B$に着目してみましょう。今回波は$A\rightarrow B$の方向に進んでいるわけですから、$A$の模様は$B$に引き継がれます。したがって$B$は変位が下がる方向に進む気分になり、速度は負となる訳です。

これをすべての点で繰り返し検討していくと、速度が正になる点は$D,E,F$のみであると気づけると思います。

注意してほしいのは$C,G$です。この点はずれの大きさが最大になっている点です。言い換えれば、「伸びきったばねのような状態」です。このとき、速度を持っていないことになります。もちろん、たとえば$C$は$B$の模様を引き継ぎたいと思っているので負の速度を持ちたいはずです。ところが、$C$はほんの少し前まで正の方向の速度を持っていたため、急に負の速度を持つことが出来ず、一旦停止している状態になるのです。$G$も同様に0となります。

もうすこし大雑把に考えることもできますが、まずはこの考えに慣れておくことが大事だと思います。