つねに(3)のパターンを使ってもいけないことはありませんが,証明の書き方として不自然になる場合があると思います.
たとえば次の命題
「任意の n≥1 に対して P(n):=(n以下の素数すべての積)<4n」
を例にとってみます.
この命題を帰納法で証明しようというとき,P(k+1)<4k+1 の証明に必要なのは P(k)=max{P(1),P(2),⋯,P(k)} がどれほど大きいかという評価であって,P(1),P(2),⋯,P(k) 個々の値がどれほど大きいかという評価は不要です.つまり n=k での成立さえ帰納法の仮定におけばよいので,n≤k での成立を仮定するのは過剰です.それは命題の形式をみただけで察せられます.
こういう場合,「n≤k での成立を仮定する」と書いたら,「おや,この議論者はどうしてこんな無意味な仮定を置いているのだろう? この議論はどこへ向かっているのだろう?」と読み手を幾分戸惑わせると思います.
証明の道筋を明快にするという観点からゆけば,(1),(3)のパターンを場合に応じて使い分けるのがよいのではないかと思います.