カントの言う「目的の王国」を分かりやすく解説していただけないでしょうか。「目的」とはどういう意味でしょうか？よろしくお願いします！

「目的の王国」とは、すべての人間が相手の人格を手段ではなく目的として扱うことで互いの人間性を最大限に尊重し合って生きていく関係を基盤にして成り立つ理想の社会のを意味する言葉です。

カントは「汝の人格やほかのあらゆる人の人格のうちにある人間性を、いつも同時に目的として扱い、決して単に手段としてのみ扱わないように行為せよ」と言います。

「手段として扱う」「目的として尊重しあう」の違いを説明します。

【「人格を手段としてのみ扱う」の意味】

カントの主張する「人格を手段としてのみ扱う」とは、人格を「モノ・コト」として取引の手段や道具として扱う（利用する）ことです。

【「人格を目的として尊重しあう」の意味】

カントの主張する「人格を目的として尊重しあう」とは、互いに人格を、尊厳をもった究極価値（目的）として尊重することです。他者をかけがえのない人として尊重し、「モノ・コト」扱いしないことです。

例

貴重品を無くした人に対して

お礼をもらおうとして財布を探す…「人格を手段としてのみ扱う」

貴重品をおとした人の人間性を尊重して無条件に貴重品を探す…「人格を目的として尊重しあう」