写真は平面曲線(y=f(x)で表せないグラフ)の接ベクトルと接線の方程式について述べたものなのですが、2つほどわからないことがあります。
①写真の赤線部のように接ベクトルは媒介変数t0で表されたx=ψ1(t0),y=ψ2(t0)をそれぞれ微分したものの成分(つまりγ'(t0)=(ψ1'(t0),ψ2'(t0)))が接ベクトルということですが、これがなぜ接ベクトルになるのかがわからないです。
確かに写真のようにPPh→/|PPh→|のhを0に近づけたら(つまりPhをP0に近づける)赤丸の式のようにγ'(t0)が分子に出てきますが、これはPPh→/|PPh→|のときに出てくるのであってPPh→だけのときにhを0に近づけてもγ'(t0)にはならないと思いました。
(lim[h→0]PPh→= γ'(t0)は成り立たない)なぜ、γ'(t0)=(ψ1'(t0),ψ2'(t0))が接ベクトルになるのか解説おねがいします。
②青線部は媒介変数t0における曲線の接線の方程式ですが、これは高校数学の数IIで習う直線の方程式と比べると単位接ベクトルが接線の傾きになっていると思うのですが、なぜ単位接ベクトルが接線の傾きになるのでしょうか?
以上の2点について回答おねがいします。
写真1枚目: https://d.kuku.lu/fnbhrrugd
写真2枚目: https://d.kuku.lu/5ap2jmg7m
写真1枚目と2枚目は繋がっています。
ベストアンサー
1番目
PPh→でhを0に近づければ0ベクトルになってしまいますが、|PPh→|で割ってあげれば常に長さが1となりうまく考えることができます。ここでPPh→/|PPh→|を2倍しようと、3倍しようと矢印を伸ばしたり縮めたりしてるだけだから、接していることは変わりません。|PPh→|倍しても同じです。だから、γ′(t0)で接ベクトルになります。
2番目
こちらは微分の定義を見直したほうが早いと思います。高校で習う微分可能の定義はlim(x→x0)(f(x) - f(x0)) / (x - x0) の値が存在することでした。これと同値なものに、
f(x) = f(x0) + A(x - x0) + g(x) ; lim(x→x0)g(x) / (x→x0) = 0
を満たす、Aが存在することである。
があります。Aはf´(x0)と書きます。(書くのが大変だから、Aと書き続けます。)式だけ見てもわかりずらいと思いますので、図をつけておきます。また、y = f(x0) + A(x - x0)をf(x)のx0の微分といいます。これは接線の方程式です。微分はdy = y - f(x0), dx = x - x0とおいて、dy = Adxと書きます。この形の定義は関数fがRn→Rmの時でも成り立ちます。それは、
f(x) = f(x0) + M(x - x0) + g(x) ; lim(x→x0)g(x) / |x→x0| = 0
を満たすMが存在することである。
Mはf´(x0)と書きます。x, x0はRnのベクトル、f(x), f(x0)はRmのベクトル、g(x)はRn→Rmの関数、MはRn→Rmの線形関数となります。微分はdy = M(dx)となります。大切なのは、微分係数Aが線形関数Mになってることです。しかし、そもそもR→Rのとき定数倍の関数(y = ax)は線形関数となります。このことから微分は関数f(x)を線形関数で近似することが肝です。では、平面曲線γ;R→R2の時を考えます。定義から微分可能性は
γ(t) = γ(t0) + B(t - t0) + g(t) ; lim(t→t0)e(t) / (t→t0) = 0
を満たす、Bが存在することである。
Bはγ´(t0)と書きます。微分はy = γ(t0) + B(t - t0)でdγ= y - γ(t0), dt = t - t0とおけばdγ = Bdtです。これは平面上の直線になります。Bは各成分をtで微分したもので、Bは明らかに接ベクトルです。R→Rの時、線形関数がただの数だったように、R→R2のときは線形関数が接ベクトルになります。
まとめると、接線の傾きという視点では多次元に広げるとうまくいきませんが、線形関数という視点からはうまくいきます。ですから、傾きという視点はもはや捨ててしまい、R→Rのときは線形関数が図に書くと傾きになっていることがわかる、と思っておくとよいと思います。
笠原晧司著、微分積分学を参考にこれらのことを書きました。有名な本です。解析概論にもわかりやすい説明があります。
https://linesegment.web.fc2.com/books/mathematics/zouteikaisekigairon/zouteikaisekigairon_013.html
から、無料で解析概論の微分について読めます。森毅著、現代の古典解析、ベクトル解析は微分の気持ちがわかります。