バナッハの不動点定理(縮小写像の原理)を使います.
C([0,1]) に sup ノルム(x∈C([0,1]) に対し ∥x∥=sup0≤t≤1∣x(t)∣ というノルム)を入れることで距離空間と考えます.この距離による収束は関数の一様収束と同値で,連続関数の一様収束極限は連続だから,C([0,1]) はこの距離により完備距離空間となります.
写像 T:C([0,1])→C([0,1]) を(Tx)(t)=a(t)+k∫01cos(tx(s))dsで定義します.すると,「積分方程式の解」は「写像 T の不動点」と言い換えられます.バナッハの不動点定理
「(空でない)完備距離空間上の縮小写像はただ1つの不動点を持つ」
を考えると,T が縮小写像であることを示せば問題が解けることになります.
以下,T が縮小写像になることを証明します.
T が縮小写像というのは「ある0≤q<1 があり,任意の x,y∈C([0,1]) について ∥Tx−Ty∥≤q∥x−y∥ となる」ことなので,Tx−Ty を計算してみます.
三角関数の和積の公式や ∣sinθ∣≤max{1,∣θ∣} を使うと
∣(Tx)(t)−(Ty)(t)∣≤∣k∣∫01∣cos(tx(s))−cos(ty(s))∣ds=∣k∣∣∫01∣∣−2sin(t⋅2x(s)+y(s))⋅sin(t⋅2x(s)−y(s))∣∣ds≤∣2k∣∫01∣∣1⋅t⋅2x(s)−y(s)∣∣ds≤∣k∣∫01∥x−y∥ds=∣k∣∥x−y∥
となります.よって∥Tx−Ty∥=0≤t≤1sup∣(Tx)(t)−(Ty)(t)∣≤∣k∣∥x−y∥が成り立ち.∣k∣<1 だったからこれは写像 T が縮小写像であることを表しています.
質問者からのお礼コメント
神様ありがとうございます!こんな難しい問題を解けるなんて信じられません。これからの日本を発展させる上での宝です。