単振り子の楕円積分の問題ですね。
高校物理だと、単振り子の振れ幅 ϕ が十分小さい場合には、その周期を
T=2πgl
で表せて、「周期はおもりの質量には依存しない」などと習いますが...ϕ が小さくない場合にはそうは行かない!というのがこの問題のミソです。
さて、実際に楕円関数の計算をしてみましょう。
与えられた式は
T=4gl∫02π1−k2sin2ϕdϕ
分母のルートの扱いがポイントです。テイラー展開(特にマクローリン展開)しましょう。
1−k2sin2ϕ1=(1−k2sin2ϕ)−21=1+21k2sin2ϕ+83k4sin4ϕ+4815k6sin6ϕ+…=n=0∑∞(2n)!!(2n−1)!!k2nsin2nϕ
5!!=5⋅3⋅1=15,6!!=6⋅4⋅2=48 という意味です。
※このマクローリン展開がわからない場合はマクローリン展開について調べましょう。→https://manabitimes.jp/math/570
さて、この式を使って一気に計算を進めていきます。
T=4gl∫02π1−k2sin2ϕdϕ=4gl∫02πn=0∑∞(2n)!!(2n−1)!!k2nsin2nϕdϕ=4gl⋅n=0∑∞(2n)!!(2n−1)!!k2n∫02πsin2nϕdϕ=4gl⋅n=0∑∞(2n)!!(2n−1)!!k2n⋅2π(2n)!!(2n−1)!!=2πgln=0∑∞[(2n)!!(2n−1)!!]2k2n=2πgl[1+(21)2k2+(2⋅41⋅3)2k4+(2⋅4⋅61⋅3⋅5)2k6+…]
示せました。
途中式で
∫02πsin2nϕdϕ=(2n)!!(2n−1)!!2π
を使用していますが、これは高校数学の学習範囲内なので既知(自明)として計算は省略しました。
質問者からのお礼コメント
丁寧な説明ありがとうございました
わからなくてとても焦っていました
感謝しております