中心力とは,空間内の一定点へ向かう方向と平行にはたらく力で,大きさがその点からの距離の関数で与えられるものを言います.その定点を力の中心と言います.
たとえば,物体のもつ引力は中心力です.実際,引力は物体へ向かう方向と平行にはたらいており、引力の大きさが物体からの距離によって与えられる(距離の 2 乗に反比例する)ことはよく知られているとおりです.
力の中心を原点におき,位置 r にはたらく中心力を F=F(r),角運動量を L=r×mdtdr とします.
L を微分すると
dtdL=dtd(r×mdtdr)=dtdr×mdtdr+r×mdt2d2r=r×mdt2d2r(外積に対する微分の公式)(互いに平行なベクトルの外積は零).
ここでニュートンの運動方程式によると,mdt2d2r は r にはたらく力をあらわします.ところがそれは,中心力 F,および速度に比例した抵抗 −Kdtdr の合力なので,
dtdL=r×(F−Kdtdr).
また中心力の定義によって,原点からの距離 ∣r∣ の関数 F(∣r∣) が存在し,F=Fr と書けるので,
dtdL=r×(Fr−Kdtdr)=r×−Kdtdr=−mKL.
以上によって次の微分方程式が得られました:
dtdL=−mKL.
さて L=(Lx,Ly,Lz) とおくと,
⎩⎨⎧dtdLxdtdLydtdLz=−mKLx=−mKLy=−mKLz.
これらは変数分離形の微分方程式なので求積法で容易に解くことができ,
⎝⎛LxLyLz⎠⎞=e−mKt⎝⎛C1C2C3⎠⎞.
ただしここで C1,C2,C3 は t に関わらない定数です.
こうして得た形から,角運動量 L の向きは一定であること,また大きさは指数関数的(底は e−mK)に減少することが分かります.
質問者からのお礼コメント
ご回答いただき、ありがとうございます!参考になりました。