解決済み

大学の物理についての質問です。

質点が,中心力に加えて,速度に比例する抵抗(比例定数:Κ>0)を 受けて運動するとき,中心力の源のまわりの角運動量がどのように減衰するのかを調べよという問題なのですが、中心力の意味がよくわからず、解き方がわかりません。

解き方を教えてくださるとありがたいです。

ベストアンサー

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中心力とは,空間内の一定点へ向かう方向と平行にはたらく力で,大きさがその点からの距離の関数で与えられるものを言います.その定点を力の中心と言います.

 たとえば,物体のもつ引力は中心力です.実際,引力は物体へ向かう方向と平行にはたらいており、引力の大きさが物体からの距離によって与えられる(距離の 22 乗に反比例する)ことはよく知られているとおりです.


力の中心を原点におき,位置 r\boldsymbol{r} にはたらく中心力を F=F(r)\boldsymbol{F} = \boldsymbol{F}(\boldsymbol{r}),角運動量を L=r×mdrdt\boldsymbol{L} = \boldsymbol{r} \times m\dfrac{d\boldsymbol{r}}{dt} とします.

 L\boldsymbol{L} を微分すると

ddtL=ddt(r×mdrdt)=drdt×mdrdt+r×md2rdt2(外積に対する微分の公式)=r×md2rdt2(互いに平行なベクトルの外積は零)\begin{aligned}\frac{d}{dt}\boldsymbol{L} &= \frac{d}{dt}\left(\boldsymbol{r} \times m\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}\right) && \\ &= \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \times m\frac{d\boldsymbol{r}}{dt} + \boldsymbol{r} \times m\frac{d^2\boldsymbol{r}}{dt^2} &&(\text{外積に対する微分の公式})\\ &= \boldsymbol{r} \times m\frac{d^2\boldsymbol{r}}{dt^2} &&(\text{互いに平行なベクトルの外積は零}).\end{aligned}

ここでニュートンの運動方程式によると,md2rdt2m\dfrac{d^2\boldsymbol{r}}{dt^2}r\boldsymbol{r} にはたらく力をあらわします.ところがそれは,中心力 F\boldsymbol{F},および速度に比例した抵抗 Kdrdt-K\dfrac{d\boldsymbol{r}}{dt} の合力なので,

ddtL=r×(FKdrdt)\begin{aligned}\frac{d}{dt}\boldsymbol{L} &= \boldsymbol{r} \times \left(\boldsymbol{F} - K\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}\right).\end{aligned}

また中心力の定義によって,原点からの距離 r|\boldsymbol{r}| の関数 F(r)F(|\boldsymbol{r}|) が存在し,F=Fr\boldsymbol{F} = F\boldsymbol{r} と書けるので,

ddtL=r×(FrKdrdt)=r×Kdrdt=KmL\begin{aligned}\frac{d}{dt}\boldsymbol{L} &= \boldsymbol{r} \times \left(F\boldsymbol{r} - K\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}\right) \\ &= \boldsymbol{r} \times -K\frac{d\boldsymbol{r}}{dt} \\ &= -\frac{K}{m} \boldsymbol{L}.\end{aligned}

以上によって次の微分方程式が得られました:

ddtL=KmL\begin{aligned}\frac{d}{dt}\boldsymbol{L} = -\frac{K}{m} \boldsymbol{L}.\end{aligned}


さて L=(Lx,Ly,Lz)\boldsymbol{L} = (L_x, L_y, L_z) とおくと,

{dLxdt=KmLxdLydt=KmLydLzdt=KmLz\left\{\begin{aligned} \dfrac{dL_x}{dt} &= -\frac{K}{m} L_x \\ \dfrac{dL_y}{dt} &= -\frac{K}{m} L_y \\ \dfrac{dL_z}{dt} &= -\frac{K}{m} L_z\end{aligned}\right..

これらは変数分離形の微分方程式なので求積法で容易に解くことができ,

(LxLyLz)=eKmt(C1C2C3)\begin{pmatrix} L_x \\ L_y \\ L_z\end{pmatrix}= e^{-\frac{K}{m}t}\begin{pmatrix} C_1 \\ C_2 \\ C_3\end{pmatrix}.

ただしここで C1,C2,C3C_1, C_2, C_3tt に関わらない定数です.

 こうして得た形から,角運動量 L\boldsymbol{L} の向きは一定であること,また大きさは指数関数的(底は eKme^{-\frac{K}{m}})に減少することが分かります.


質問者からのお礼コメント

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