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強酸や強塩基を希釈していくとph7には近づくがph7を超えないのはなぜですか?

ベストアンサー

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強酸や強塩基をたくさん希釈すると、水の量が増えすぎたり、強酸の電離による酸( HX+\ce{H+} )の量(濃度)が減りすぎることによって、水自体の電離による酸( HX+\ce{H+} )が無視できなくなるからです。

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そのほかの回答(2件)

数式で論理的に計算で説明します。


強酸の電離(電離度1・モル濃度 CaC_a

HAundefinedHX++AX\ce{HA -> H+ + A-}


水の電離(電離度 tt

HX2OundefinedHX++OHX\ce{H2O <<=> H+ + OH-}


水はほとんど電離しないので、tt はとても小さい値です。


強酸を大量の水で薄めた時、水溶液中の水素イオン濃度と水酸化物イオン濃度はそれぞれ


[HX+]=Ca+t[\ce{H+}] = C_a + t


[OHX]=t[\ce{OH-}] = t


となります。


水のイオン積 KwK_w は以下のように表せます。

Kw=[HX+][OHX]K_w = [\ce{H+}] [\ce{OH-}]


ph\mathrm{ph} は次のように表されます。


ph=log10[HX+]\mathrm{ph} = - \log_{10} [\ce{H+}]


HX+\ce{H+} を知りたいので tt を求めましょう。


Kw=(Ca+t)tt2+tCaKw=0t=Ca+Ca2+4Kw2\begin{aligned}& K_w = (C_a+t) \cdot t \\& t^2+t C_a-K_w =0 \\& t = \dfrac{- C_a+\sqrt{C_a^{2}+4K_w}}{2}\end{aligned}


以上から ph\mathrm{ph} は以下のように求めれます。


ph=log10[HX+]=log10(Ca+t)=log10(Ca+Ca2+4Kw2)\begin{aligned}\mathrm{ph} &= - \log_{10} [\ce{H+}] \\&= - \log_{10} (C_a + t) \\&= -\log_{10} \left( \dfrac{C_a+\sqrt{C_a^{2}+4K_w}}{2} \right)\end{aligned}


計算は複雑ですが、端的にまとめると、水溶液を薄めると水の電離による HX+\ce{H+} も無視できなくなるよということです。


酸の濃度が濃い時には水の電離による HX+\ce{H+} は無視して計算します。

上の方の回答に補足です。

ph=log10(Ca+Ca2+4Kw2)\mathrm{ph} = -\log_{10} \left( \dfrac{C_a+\sqrt{C_a^{2}+4K_w}}{2} \right)

この式をもとに、無限に希釈し続けたらどうなるのかを考えてみましょう。 


そこで、酸のモル濃度を Ca=1.0×10nC_a=1.0 \times 10^{-n} とします。


無限に希釈すると酸のモル濃度は薄まるので、 nn \to \infty の極限を考えることと同じです。

limn10n+102n+4×10142=4×10142=2×1072=107\begin{aligned}& \lim_{n \to \infty} \dfrac{10^{-n}+\sqrt{10^{-2n}+4\times10^{-14}}}{2} \\&=\dfrac{\sqrt{4\times10^{-14}}}{2} \\&=\dfrac{2\times10^{-7}}{2} \\&=10^{-7}\end{aligned}


よって limnpH=7\lim_{n \to \infty} \mathrm{pH} = 7 となります。


理論的にも、無限に希釈し続けると pH\mathrm{pH} は7に近づくことが分かりますね。