変曲点の意味といろいろな例

変曲点について,定義・意味・求め方をわかりやすく解説します。

後半では,具体例(三次関数,四次関数,正規分布)を通じて変曲点の理解を深めます。

変曲点の定義

  • 変曲点とは,「上に凸」と「下に凸」がきりかわる点のことです。

  • 変曲点は「二階微分の符号が変化する点」と言うこともできます。 変曲点の定義

※二階微分と「上に凸」「下に凸」の関係は →上に凸,下に凸な関数と二階微分で解説しています。

変曲点の意味

変曲点の意味

変曲点には「グラフの曲がり方が変わる点」という意味がある。

文字通り「変曲点」というわけです。

解説

変曲点は「二階微分の符号が変化する点」であった。

「二階微分の符号がプラスからマイナスに変化する」ということは,「一階微分が増加から減少にきりかわる」ということ。

つまり,「接線の傾きが増加から減少にきりかわる」ということ。

変曲点の意味

これは「曲がり方が変わる(ハンドルの切り方が変わる)」と解釈できる。二階微分がマイナスからプラスに変化する場合も同様。

変曲点の求め方

変曲点において,二階微分 f(x)=0f''(x)=0

つまり,変曲点を求めるためには,二階微分 f(x)f''(x) を計算して f(x)=0f''(x)=0 を解けばよいわけです。

f(x)=x3+3x2f(x)=x^3+3x^2 の変曲点を計算してみる。

微分は f(x)=3x2+6xf'(x)=3x^2+6x

二階微分は,6x+66x+6

よって,f(x)=0f''(x)=0 を解くと x=1x=-1 であり,x=1x=-1 の前後で f(x)f''(x) の符号がマイナスからプラスにきりかわる。このとき yy 座標は f(1)=2f(-1)=2 よって,変曲点の座標は (1,2)(-1,2)

重要な注意

「変曲点ならば二階微分 f(x)=0f''(x)=0は成立しますが,その逆f(x)=0f''(x)=0 ならば変曲点」は成立しません。二階微分が0でも符号が変化する点とは限らないからです。

y=x4y=x^4 の変曲点を計算してみる。f(x)=4x3,f(x)=12x2f'(x)=4x^3,f''(x)=12x^2 なので,f(x)=0f''(x)=0 の解は x=0x=0。ただし,f(x)f''(x) はずっと非負であり,x=0x=0 の前後で符号がマイナスに変化することはない。よって,変曲点は無い。

つまり,変曲点の求め方は,以下のようになります(手順2が必要です)。

変曲点の求め方

手順1. f(x)=0f''(x)=0 を解いて変曲点の候補を見つける。
手順2. 実際に f(x)f''(x) の符号が変化するかどうかを確認する。

三次関数の変曲点

定理

三次関数の変曲点は,必ずただ一つ存在する。

証明

任意の三次関数は f(x)=ax3+bx2+cx+d(a0)f(x)=ax^3+bx^2+cx+d\:(a \neq 0) と書ける。

dfdx=3ax2+2bx+c\dfrac{df}{dx}=3ax^2+2bx+c

d2fdx2=6ax+2b\dfrac{d^2f}{dx^2}=6ax+2b

よって,x=b3ax=-\dfrac{b}{3a} で二階微分の符号が変化するので変曲点である。

実は,三次関数の変曲点について,追加で以下の2つの定理が成立します。

定理
  • 三次関数は変曲点に関して点対称である。
  • 変曲点に関連して「四等分の法則」が成立する。

「四等分の法則」の意味と,上記2つの定理の証明は →三次関数の対称性と4等分の法則

四次関数の変曲点

定理

四次関数の変曲点は0個または2個。

大雑把な証明

二階微分が二次関数となるので,二階微分の符号変化点の数は0個または2個になる。

正規分布の変曲点

続いて,f(x)=eax2f(x)=e^{-ax^2} という関数の変曲点について考えます。この関数は,正規分布の確率密度関数という意味でとても重要です。

問題

f(x)=eax2(a>0)f(x)=e^{-ax^2}\:(a > 0) の変曲点を求めよ。

解答

dfdx=2axeax2\dfrac{df}{dx}=-2axe^{-ax^2}

d2fdx2=2aeax2+(2ax)2eax2=2aeax2(2ax21)\dfrac{d^2f}{dx^2}=-2ae^{-ax^2}+(-2ax)^2e^{-ax^2}\\ =2ae^{-ax^2}(2ax^2-1)

よって,x=±12ax=\pm\dfrac{1}{\sqrt{2a}} が変曲点の xx 座標。変曲点の yy 座標は e12e^{-\frac{1}{2}}

特に,a=12σ2a=\dfrac{1}{2\sigma^2} とすると,ex22σ2e^{-\frac{x^2}{2\sigma^2}} の変曲点は (±σ,e12)(\pm \sigma,e^{-\frac{1}{2}}) であることが分かります。

さらに,平行移動と拡大を用いることにより, 正規分布の確率密度関数:12πσe(xμ)22σ2\dfrac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma}e^{-\frac{(x-\mu)^2}{2\sigma^2}} の変曲点は (μ±σ,12πσe12)(\mu\pm\sigma,\dfrac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma}e^{-\frac{1}{2}}) であることが分かります。高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~ のT168でも解説しています。

つまり,以下が証明できました。

定理

正規分布において,変曲点の xx 座標は,1シグマ区間の端っこ(平均 ±\pm 標準偏差)

人生山あり谷あり変曲点あり。

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