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ここでは、日本語の「あなた」に相当する韓国語のフレーズと、それぞれの表現が持つニュアンスについて例文と共に解説します。

「あなた」の韓国語表現

  1. 당신 (ダンシン):一般的でありながらも少しフォーマルな「あなた」の表現で、かつては男女の恋人や配偶者に対して使われていました。
  2. 너 (ノ):非常にカジュアルで、主に親しい友人や同年代、または年齢が自分より下の人に対して使う表現です。
  3. 그대 (クデ):詩や歌詞でよく使われる古風な表現で、特にロマンティックな文脈で使用されます。
  4. 자네 (ジャネ):古い表現方法で、比較的年齢が高めの男性同士が使うことが多いとされます。
  5. 너희 (ノヒ):主に集団や複数の人たちに対して使われる「あなたたち」の意味で、カジュアルな表現です。
  6. 당신들 (ダンシンドゥル):複数の人に対する「あなたたち」の表現で、少しフォーマルな響きがあります。
  7. 님 (ニム):尊敬語として使われ、主に職業名や役職名の後に付けて使います。
  8. 형, 누나, 오빠, 언니 (ヒョン, ヌナ, オッパ, オンニ):年上の男性や女性に対する「あなた」の表現で、年下の男性が年上の男性には「ヒョン」、年上の女性には「ヌナ」、年下の女性が年上の男性には「オッパ」、年上の女性には「オンニ」を使います。
  9. 선배 (ソンベ):学校や仕事場などで、自分よりも先に入った人に対する「あなた」の表現で、敬意を表します。
  10. 자기 (ジャギ):主に恋人や夫婦など、非常に親しい関係の人々が互いに使うカジュアルな「あなた」の表現です。

당신

1. 당신은 어디에 살고 있습니까?

日本語訳:「あなたはどこに住んでいますか?」

2. 당신이 좋아하는 음식은 무엇입니까?

日本語訳:「あなたが好きな食べ物は何ですか?」

3. 당신의 생각을 말해주세요.

日本語訳:「あなたの考えを教えてください。」

韓国語の「당신」のニュアンスについて説明します。「당신」は日本語の「あなた」に相当しますが、日常会話ではあまり使われません。特に年上や目上の人に対しては敬意を欠くと見なされることがあります。このため、韓国人は相手の名前や地位、役職などを使って表現することが一般的です。ただし、親しい間柄やパートナーに対して「당신」を使用することもあります。こうしたコンテクストでは、「あなた」よりも「君」や「あんた」のような親しみや愛情を感じさせる表現が近いかもしれません。また、詩や歌詞などではロマンチックな表現として使われることがあります。

1. 너는 어디에 가고 있니?

日本語訳: 「あなたはどこに行こうとしているの?」

2. 너의 취미는 무엇이니?

日本語訳: 「あなたの趣味は何ですか?」

3. 내가 너를 좋아해.

日本語訳: 「僕はあなたが好きだよ。」

「너」は、韓国語で"あなた"を意味しますが、使用する状況によりニュアンスが変わります。友人や年齢が近い人に対して使いますが、上司や年長者に対しては適切ではないとされます。また、恋人や配偶者にも使うことがあります。このため、日本語の「あなた」よりも親密さやカジュアルさを感じさせます。ですが、相手が年下であっても、初対面の人やフォーマルな場では「당신」や敬称を使って話すことが一般的です。

그대

1. 그대가 떠나간 후에도 내 마음속에는 그대만이 살아있습니다.

日本語訳:「あなたが去った後も、私の心の中にはあなただけが生きています。」

2. 그대는 항상 빛나는 별처럼 내게 기억될 것입니다.

日本語訳:「あなたはいつも輝く星のように私にとって思い出となるでしょう。」

3. 우리는 함께 행복을 만들어가야 해요, 그대.

日本語訳:「私たちは一緒に幸せを作っていきましょう、あなた。」

「그대」は韓国語で「あなた」を意味しますが、一般的な「あなた」や「あんた」「お前」などの呼び方と比べて、もっと遥かに親密で、感情的なニュアンスを含みます。大切な恋人やパートナーに向けての敬愛の感情を表現するときに使用されたり、歌や詩の中でよく使われます。特に愛情や敬意を込めて相手を指す言葉です。他の代名詞と比べて詩的な表現で、浪漫的な雰囲気を持つので、直訳すると「君」に近いかもしれません。

자네

1. 자네가 무슨 일을 하니?

日本語訳:「あなたは何の仕事をしているのですか?」

2. 자네의 생각은 어떻니?

日本語訳:「あなたの考えはどうですか?」

3. 그것은 자네가 결정해야 할 일이다.

日本語訳:「それはあなたが決めなければならないことだ。」

「자네」は韓国語で、「あなた」を意味します。ただし、日本語の「あなた」のように一般的に使われる言葉ではなく、特定の状況や文化的背景で使われます。まず、主に古い時代の言葉であり、「사람들이 풍요롭고 동등한 사회를 꿈꾸던 시절」つまり、18世紀から19世紀の韓国を舞台にしたテレビドラマなどでよく耳にします。「자네」を使う人は、基本的に高齢者または年配の人であり、相手が同じ年齢またはそれよりも若い人に対して使用します。また、特に親しい関係ではない場合、多くの場合敬語を使います。

너희

1. 너희들은 왜 그렇게 늦었어?

日本語訳:「あなたたちはどうしてそんなに遅かったの?」

2. 너희가 이 일을 잘 할 수 있을 거라고 믿어.

日本語訳:「あなたがこの仕事をうまくこなせると信じているよ。」

3. 너희들이 오늘 꼭 승리해야 한다.

日本語訳:「あなたたちは今日、絶対に勝たなければならない。」

「너희」は、韓国語で「あなた」を意味しますが、一人称に対して二人以上の人を指すときに使います。日本語では特に「あなたたち」や「君たち」と訳されます。一方、日本語の「あなた」は、話し手と聞き手が互いに対等な位置関係にあるときに使いますが、韓国語の「너희」は、年齢や地位、人間関係など社会的な立場が高い話し手が、自分より立場が下の人々を指すときなどに使われます。

당신들

1. 당신들이 왜 늦었어요?

日本語訳: あなたたちがなぜ遅れたのですか?

2. 당신들은 어떻게 생각해요?

日本語訳: あなたたち何を考えていますか?

3. 당신들의 의견을 들어보고 싶어요.

日本語訳: あなたたちの意見を聞きたいです。

韓国語の「당신들」は日本語で「あなたたち」に当たる複数形の代名詞です。「당신」が一人称の「あなた」に対応するのに対し、「당신들」は二人以上の人を指すときに使います。ただし、韓国語では日本語以上に代名詞の使用が避けられ、特に「당신」や「당신들」は比較的距離がある、または相手を尊重しきれていないと感じられる場合があるため、使う際には注意が必要です。話し手と聞き手の関係性や状況によって使い方や適用が変わるのが特徴です。

「님」は韓国語で尊敬や敬意を表す言葉で、日本語の「あなた」に近い意味がありますが、よりフォーマルなニュアンスを持っています。以下に「님」を使用した例文とその日本語訳を3つ挙げます。

  1. 김 선생님, 오늘 수업 잘 들었습니다.
    日本語訳:金先生、今日の授業をよく聞きました。
  2. 회장님, 이번 프로젝트에 대한 의견을 듣고 싶습니다.
    日本語訳:会長、このプロジェクトについてのご意見をお聞きしたいです。
  3. 손님, 여기 메뉴판입니다.
    日本語訳:お客様、こちらがメニューです。

「님」の「あなた」というニュアンスは、相手に対する尊敬を示すために使われます。特に目上の人、尊敬する人、公式の場で使用されることが多いです。日本語の「あなた」よりも敬意が含まれるため、日常会話ではあまり使われず、公的な文脈やビジネスの場では頻繁に使用されます。たとえば、教師、上司、お客様などに対して使うことが一般的です。また、親しみを込めて使う場合もありますが、その場合でも尊敬の意を示すことが重要です。

「형」は韓国語で、男性が自分より年上の男性に対して使う呼称で、「兄さん」や「お兄さん」という意味です。親しい関係を示す際に使用されます。以下に「형」を使用した例文とその日本語訳を3つ挙げます。

  1. 형, 오늘 저녁 같이 먹을래?
    日本語訳:兄さん、今晩一緒に食事しませんか?
  2. 형이 추천해 준 영화 정말 재미있었어.
    日本語訳:お兄さんがおすすめしてくれた映画、本当に面白かったよ。
  3. 형, 다음에 또 농구하자.
    日本語訳:お兄さん、次もまたバスケットボールしよう。

「형」の「あなた」というニュアンスは、日本語の「あなた」とは異なり、親しい間柄で年上の男性に対して使用される特定の呼び方です。この言葉は、兄弟のような親密さや、尊敬を含んだ親しみを表します。主に男性が自分より年上の男性友人や知人に対して使い、友情や親近感を示す際に使用されます。日本語の「お兄さん」に近いが、実際の兄弟関係でなくても使われることがあります。

선배

「선배」は韓国語で、学校、職場、あるいは特定の分野で自分より先に入った人や経験が多い人を指す尊敬の言葉です。日本語の「先輩」とほぼ同じ意味合いを持ちます。以下に「선배」を使用した例文とその日本語訳を3つ挙げます。

  1. 선배, 이번 프로젝트에서 조언을 부탁해도 될까요?
    日本語訳:先輩、このプロジェクトでアドバイスをお願いしてもいいですか?
  2. 선배는 항상 우리에게 큰 도움이 됩니다.
    日本語訳:先輩はいつも私たちに大きな助けとなります。
  3. 선배의 경험담을 들을 수 있어서 영광입니다.
    日本語訳:先輩の経験談を聞けることを光栄に思います。

「선배」の「あなた」というニュアンスは、単に相手を指す「あなた」とは異なり、特に尊敬と敬意を込めて年上や先輩に対して使われます。主に学校や職場などの社会的な環境で使用され、先輩としての経験や知識を尊重する意味合いが含まれています。この言葉は、相手に対する尊敬の念を表すと同時に、その人の経験や地位を認める際に使われます。

자기

1. 자기, 이거 봐 봐.

日本語訳:「あなた、これ見てみて。」

2. 자기 생각이 어때?

日本語訳:「あなたの考えはどう?」

3. 내일 자기를 만나러 갈 거야.

日本語訳:「明日、あなたに会いに行くよ。」

「자기」は、主にパートナーや恋人、夫婦間で使われる韓国語の一人称代名詞で、日本語の「あなた」に相当します。個人的な親密感を伝える上で重要な役割を果たしており、主に愛情表現の一部として使用されます。「자기」は基本的に、人間関係が非常に近い、特に恋人や配偶者などに対して使われます。ただし、相手との関係により使うことが適切かどうか、または場合によっては失礼になる可能性もありますので、使用する際には注意が必要です。言い換えれば、「자기」は、「あなた」という意味では共通していますが、韓国語特有の独特なニュアンスを持っています。

韓国語で「あなた」を表現する際のポイントと注意点

韓国語で「あなた」を用いる際は、相手の身分や関係性を考慮しながら適切な表現を使うことが大切です。直訳すると「너(ノ)」が「あなた」に相当しますが、日本語よりも階層意識が強い韓国では、この表現を使うと失礼に当たることが多いです。年齢や地位が同等かそれ以下の友人に対しては「너」が使われますが、年上や目上の人に対しては敬称の「당신(タンシン)」や肩書きを使って呼びかけることが一般的です。また、普段の会話では「あなた」を省略することもよくあります。

「あなた」の韓国語表現まとめ

「あなた」を韓国語で表現する際は、相手の年齢や関係により使い分ける必要があります。敬語では「당신」や「그대」を使いますが、普段あまり使われません。友人には「너」、年齢の上の人には「오빠」(女性から男性へ)、「누나」(男性から女性へ)、「형」(男性から男性へ)、「언니」(女性から女性へ)を使うことが一般的です。