点電荷の重要性質|クーロン力とポテンシャル

この記事では点電荷の性質について解説します。点電荷の重要な性質として,「点電荷のつくる磁場」,「点電荷のポテンシャル」などがあります。これらを完璧に抑えることが,まず電磁気学を学ぶ上で大切なことになります。

点電荷とは

点電荷とは,簡単にいうと電荷 qq を持った質点です。ここでの電荷の大きさ qq は,電気素量 e1.602×1019C e\simeq 1.602\times 10^{-19}\mathrm{C} の整数倍であることが知られています。
基本的には,以下の記事で紹介されているような一般的な性質に従います。
電荷と電気量保存の法則

点電荷は電磁気学において最も基本的な対象なので,あいまいさなくしっかりと性質を抑えておく必要があります。

(発展)点電荷の数学的な表示

点電荷の作る電場も電磁気学の基本方程式である,Maxwell方程式にしたがいます。それを計算するには,「点電荷とはなんなのか」ということを数学的に表す必要があります。点電荷とはすなわち,「ある一点で電荷が qq であり,その他の場所では0という電荷分布を与えるもの」ということになります。

このようなことを考えると,位置 r\boldsymbol r にある点電荷 q(r)q(\boldsymbol r) の電荷分布 ρ(r)\rho(\boldsymbol r) は以下で与えられます。

点電荷の電荷分布

ρ(r)=qδ3(rr) \rho(\boldsymbol r)=q\delta^3(\boldsymbol r-\boldsymbol r')


ここで δ3(rr)\delta^3(\boldsymbol r-\boldsymbol r') という見慣れない記号が出てきましたが,これは

ディラックのデルタ関数(一次元)

実数 xx に対して, {δ(x)={0(x0)(x=0)δ(x)dx=1 \begin{cases} \delta (x) = \begin{cases} 0 & (x \neq 0)\\ \infty & (x = 0) \end{cases}\\ \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \delta(x) dx = 1 \end{cases} という性質をもつ関数 δ(x)\delta (x) をデルタ関数という。

を3次元に拡張したものです。(なので形式的に3乗の記号を書いています。)

デルタ関数についてもっと知りたい方は,以下の記事をご覧ください。
ディラックのデルタ関数
デルタ関数でポアソン方程式の特殊解・境界条件下の解の一意性を導出

点電荷のつくる電場・クーロン力

以下では点電荷のつくる電場の公式を導出していきます。導出には,Maxwell方程式の一つである,Gaussの法則を用います。

Gaussの法則(積分形)

SEndS=1ε0VρdV \int_S\boldsymbol E\cdot \boldsymbol n dS=\dfrac{1}{\varepsilon_0}\int_V \rho dV

ここで ε0\varepsilon_0 は真空の誘電率です。

Gaussの法則の意味を簡単に解説します。

右辺は,ある空間を適当な閉曲面で囲んだとき,その中にある全電荷の大きさの総和を取ることを表します。

左辺は,その閉曲面の表面を貫く全電場を表します。

この2つが等しくなる,というのがGaussの法則です。
以上を踏まえて,点電荷にGaussの法則を適用してみます。

点電荷の作る電場 閉曲面として,点電荷を中心とする,半径 rr の球をとってみます。すると,Gaussの法則の右辺は,閉曲面の中には電荷 qq のみがあることから, 1ε0VρdV=qε0 \dfrac{1}{\varepsilon_0}\int_V \rho dV=\dfrac{q}{\varepsilon_0} となります。

左辺は,電場は球を一様等方に貫いていることから, SEndS=E4πr2 \int_S\boldsymbol E\cdot \boldsymbol n dS=E\cdot4\pi r^2 となります。 E4πr2=qε0 E\cdot4\pi r^2=\dfrac{q}{\varepsilon_0} となるので,

点電荷の周りの電場

E(r)=14πε0qr2 E(r)=\dfrac{1}{4\pi\varepsilon_0}\dfrac{q}{r^2}

がわかりました。

この表式より,電荷 QQ の点電荷が,距離 rr だけ離れた電荷 qq を持つ点電荷から受けるクーロン力の大きさは F=qE(r)=14πε0Qqr2 F=qE(r)=\dfrac{1}{4\pi\varepsilon_0}\dfrac{Qq}{r^2} であることがわかります。

ちなみに導出でGaussの法則を用いましたが,これはMaxwell方程式という古典電磁気学の基本方程式の中の一つです。Maxwell方程式については,以下の記事で詳しく解説されています。
マクスウェル方程式

点電荷のポテンシャル(電位)

クーロン力がもとまったので,エネルギー積分を行うことで,点電荷のつくるポテンシャル(位置エネルギー)を求めることができます。
導出は以下の記事で詳しく解説されています。
電位の定義|エネルギーとしての解釈・具体例

点電荷のつくる電位(無限遠基準)

U(r)=14πε0qr U(r)=\dfrac{1}{4\pi\varepsilon_0}\dfrac{q}{r}

電位とは,単位電荷あたりの位置エネルギーなので,これに電荷の大きさ QQ をかけることで,位置エネルギーが表せます。

では,この電位をグラフに書いてみましょう。 点電荷のポテンシャル 点電荷の符号が正の時は,上のようなグラフになります。 r0r\to0 とすると,無限大に発散し,r±r\to\pm\infty で0に収束します。

一方,点電荷の符号が負の時は,以下のようなグラフになります。 点電荷の作る電位

点電荷の例題

例題

点電荷の例題 上の図のように,正電荷 qq を持つ点電荷を xx 軸上 a,aa,-a に固定した。

(1)xx 軸上の座標点 (x,0)(x,0) の電位 V(x)V(x)xx の関数として求め,グラフをかけ。
(2)xx 軸上の axa-a\leq x\leq a を満たすある点に,点電荷を置いた。この時,この点電荷はどのような運動をするか。

解答

(1)電位のグラフ a-a にある点電荷による電位を赤で,aa にある点電荷の電位を青でグラフに書いた。これらを重ね合わせると,緑色のグラフになり,これが答えである。

(2)axa-a\leq x\leq a における電位は,放物線のような形になっている。明かに,これは原点を中心とする周期運動を表している。

点電荷では物理量が発散します。このことは,量子力学で「くりこみ」という問題になって現れることになります。