群の生成元と元の位数

群の位数と元の位数
  • GG の位数とは,GG の元の個数のことである。G|G| と書くことが多い。

  • xGx\in G の位数とは,xn=1Gx^n = 1_G となる最小の nn のことである。ただし 1G1_GGG の単位元とする。

群の位数元の位数は意味が異なります。混同しないように注意しましょう。

なお,群の基礎については

をご覧ください。

位数の例

群の位数

整数

Z\mathbb{Z} は群を成します。無限個の元からなるため,Z=|\mathbb{Z}| = \infty です。このように,位数は無限になることもあります。

mod n の群

Z/nZ\mathbb{Z} / n \mathbb{Z} は合同式の和によって群を成します。

合同式(mod)の意味とよく使う6つの性質

この群は 0 (mod n),1 (mod n),,n1 (mod n)0 \ (\mathrm{mod}\ n) , 1 \ (\mathrm{mod} \ n), \cdots , n-1 \ (\mathrm{mod} \ n) という nn 個の元から成ります。よって Z/nZ=n|\mathbb{Z} / n \mathbb{Z}| = n です。

対称群

Sn\mathfrak{S}_nnn 個の元の置換からなる群を表すのでした(対称群)。

nn 個の元の置換は合計で n!n! 個あるため,Sn=n!|\mathfrak{S}_n| = n! です。

このうち符号が 11 の元はちょうど半分であるため,交代群 An\mathfrak{A}_n の位数は n!2\dfrac{n!}{2} です。

元の位数

単位元

単位元 1G1_G の位数は 11 です。

対称群

S3\mathfrak{S}_3 で考えてみましょう。

互換 (1 2)S3(1 \ 2) \in \mathfrak{S}_3 は位数が 22 です。

巡回置換 (1 2 3)(1\ 2 \ 3)1122 に,2233 に,3311 に写す置換)の位数は 33 です。

Z/pZ\mathbb{Z} / p \mathbb{Z}

フェルマーの小定理より,任意の整数 nn に対して np11 (mod p)n^{p-1} \equiv 1 \ (\mathrm{mod} \ p) でした。

よって任意Z/pZ\mathbb{Z} / p \mathbb{Z} の元の位数は高々 p1p-1 になります。

もちろん位数が p1p-1 ではない場合もあります。例えば 621 (mod 7)6^2 \equiv 1 \ (\mathrm{mod} \ 7) であるため,Z/pZ\mathbb{Z} / p \mathbb{Z} において 66 の位数は 22 となります。

位数の性質と原始根の応用 もご覧ください。

有限群

Z/pZ\mathbb{Z} / p \mathbb{Z} の任意の元は有限位数を持つことがわかりました。

実は有限群の任意の元の位数は有限になります。

証明

GG を有限群とする。

gGg \in G を任意に取る。

集合 {g,g2,g3,}\{ g,g^2,g^3 , \cdots \}GG の部分集合であるため,有限集合である。

よって,2整数 i<ji < j があって,gi=gjg^i = g^j となる。

このとき gji=1Gg^{j-i} = 1_G となり,gg の位数は高々 jij-i となる。

生成元

Z\mathbb{Z} の部分群 2Z2\mathbb{Z} の元は,2n (nZ)2 n \ (n \in \mathbb{Z}) と表されます。こうしてみると 2Z2\mathbb{Z}22 から「作られて」います。この一般化が生成元という概念です。

S によって生成される部分群

GG部分集合(部分群としなくてよい)を SS とおく。

S\langle S \rangleS={x1e1xnenx1,,xnS,ei=±1} \langle S \rangle = \{ {x_1}^{e_1} \cdots {x_n}^{e_n} \mid x_1 , \cdots , x_n \in S, e_i = \pm 1 \} と定めると,S\langle S \rangle部分群になる。

さらに S\langle S \rangle は集合 SS を含む最小の部分群になる。

S\langle S \rangleSS によって生成された部分群という。

巡回群

Z\mathbb{Z} の部分群 2Z2\mathbb{Z}2\langle 2 \rangle と表すことができます。

このようにただ1つの元から生成された群巡回群といいます。

巡回群については次の定理が知られています。

巡回群に関する定理1

巡回群はアーベル群(可換群)である。

また,巡回群と位数に関して以下の定理も成立します。

巡回群に関する定理2

巡回群 g\langle g \rangle の群の位数と,gg の元の位数は一致する。

巡回群に関する定理3

位数が素数である群は巡回群である。

定理3の証明

位数が素数である群 GG の元で単位元と異なるものを1つ選び gGg\in G とする。元の位数は群の位数の約数である(群の剰余類とラグランジュの定理で,ラグランジュの定理の系として紹介している重要な性質)ので,gg の位数は GG の位数と等しい。つまり,GGgg から生成される巡回群である。

GG の生成元

G=S3G = \mathfrak{S}_3 で考えてみましょう。

σ=(1 2),τ=(1 2 3)\sigma = (1\ 2), \tau = (1\ 2\ 3)1122 に,2233 に,3311 に写す置換)とおきます。

σ2=1\sigma^2 = 1 であるため,σ={1,σ}\langle \sigma \rangle = \{ 1, \sigma \} となります。

τ={1,(1 2 3),(1 3 2)}\langle \tau \rangle = \{ 1, (1\ 2\ 3) , (1 \ 3\ 2) \} です。((1 3 2)(1\ 3\ 2)1133 に,3322 に,2211 に写す置換)です。

S={σ,τ}S = \{ \sigma , \tau \} とおきます。

計算すると τστ1=(2 3)\tau \sigma \tau^{-1} = (2\ 3)τ2στ2=(1 3)\tau^2 \sigma \tau^{-2} = (1\ 3) であるため,S=S3\langle S \rangle = \mathfrak{S}_3 となります。

よって {σ,τ}\{ \sigma , \tau \}S3\mathfrak{S}_3 の生成元となります。

このように GG の部分集合 SSGG を生成することがあります。

最初は群の位数と元の位数を混同してしまいがちです。