母分散の意味と区間推定・検定の方法
母分散について,意味と区間推定・仮説検定の方法を整理しました。
まずは結論です。問題設定や数式の意味は後で説明します。
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母平均 が既知の場合,
が自由度 のカイ二乗分布に従うことを使う。 -
母平均が未知の場合,
が自由度 のカイ二乗分に従うことを使う。
母分散とは
母分散とは
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「観測対象全体の集合」を母集団と言います。母集団の平均を母平均と言い,母集団の分散を母分散と言います。
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母集団からの標本 を使って,母分散の情報を得る問題を考えます(母分散の区間推定・仮説検定)。
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ただし,母集団は正規分布に従うものとします。
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母平均が既知の場合と未知の場合についてそれぞれ解説します。
母分散の区間推定
母分散の区間推定
母平均が既知の場合
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仮定:母平均が だとわかっている。母集団は正規分布に従う。
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目的:母分散 が分からないので,どのくらいなのか区間推定をしたい。
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方法:以下の定理1を使う。
が独立に平均 ,分散 の正規分布に従うとき,
は自由度 のカイ二乗分布に従う。
平均が だと分かっている正規母集団から無作為に抽出した大きさ の標本について, からの差の二乗和は であった。
母分散 を信頼度 %で区間推定せよ。
統計量は,
自由度 のカイ二乗分布の下側 %点は ,上側 %点は なので %信頼区間は,
つまり
定理1の証明は,正規分布の標準化 と 標準正規分布の二乗和がカイ二乗分布に従うことの証明 を理解していれば簡単です。
母平均が未知の場合
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仮定:母集団は正規分布に従うが,母平均はわからない、
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目的:母分散 が分からないので,どのくらいなのか区間推定をしたい。
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方法:以下の定理2を使う。
が独立に平均 ,分散 の正規分布に従うとき,
が自由度 のカイ二乗分布に従う。
ただし, は標本平均。
母平均が既知の場合とほとんど同じです。ただし,母平均 のかわりに標本平均 を使う点と,カイ二乗分布の自由度が である点が異なります。
定理2の証明は,不偏分散と自由度n-1のカイ二乗分布 に記載しています。
母分散の仮説検定
母分散の仮説検定
母平均が既知の場合
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仮定:母平均が だとわかっている。母集団は正規分布に従う。
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目的:母分散 が という特定の値と等しいのかどうか仮説検定したい。
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方法:区間推定の場合と同じく,定理1を使う。
母平均が未知の場合
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仮定:母集団は正規分布に従うが,母平均はわからない、
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目的:母分散 が という特定の値と等しいのかどうか仮説検定したい。
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方法:区間推定の場合と同じく,定理2を使う。
正規母集団から無作為に抽出した大きさ の標本について,その偏差二乗和は であった。
母分散が と異なるかどうか,有意水準 %で検定せよ。
帰無仮説は ,対立仮説は とし両側検定を行う。
統計量は(帰無仮説のもと),
自由度 のカイ二乗分布の下側 %点は ,上側 %点は であり, なので帰無仮説は棄却される。つまり母分散は と異なると言える。
注:実際はデータから偏差二乗和を計算する部分も自分でやる必要があります。
母分散が未知で母平均が既知という状況はあまりない気がします。