三角州(デルタ)と扇状地の違いは?それぞれのでき方や土地の利用方法を解説

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「三角州(デルタ)と扇状地はどう違うの?」

「三角州と扇状地がこんがらがってしまう」

三角州と扇状地は似ているため、上記のように違いを把握したり、覚えるのに苦労したりしていませんか?

そこでこの記事では、三角州(デルタ)と扇状地の違いについて分かりやすく丁寧に解説していきます。この記事を読めば三角州と扇状地の違いがはっきり分かり、「これはどっちだったかな?」と悩むことがなくなるはずです。

三角州(デルタ)と扇状地についてざっくり説明すると

  • どちらも河川によって土砂が蓄積するというでき方は共通している
  • 三角州は河口付近にでき、水田や都市として利用されることが多い
  • 扇状地は川が山地から平野や盆地に移る場所にでき、果樹園として利用されることが多い

三角州(デルタ)と扇状地の違い

三角州と扇状地はでき方が似ているため混乱しやすいですが、それぞれがどのような場所にできるかが分かれば、違いを理解しやすくなるはずです。

そしてできる場所が分かれば、三角州と扇状地がそれぞれどのように土地を利用されるのかも理解しやすくなります。

三角州のでき方・できる場所

三角州と扇状地には「河川によって運ばれた土砂が蓄積してできる」という共通点があります。そしてでき方だけでなく、形も似ているため覚えにくいですよね。しかし三角州と扇状地はできる場所が異なります。

まず三角州とは、河川によって運ばれた土砂が河口付近に蓄積することで形成される三角形の地形です。つまり、川が海や湖などの他の水域に流れ出る場所(主に下流)の付近にできます。

扇状地のでき方・できる場所は?

一方、扇状地とは河川によって運ばれた土砂が、山地から平野や盆地に流れる場所(主に中流)に土砂が蓄積することで形成される扇形の地形です。山から平野にかけての斜面にできるイメージです。

でき方が似ているふたつですが、「河口(下流)の付近にできるのが三角州、山(中流)の付近にできるのが扇状地」 と、違いが明確に分かれば覚えやすいですね。

三角州の土地利用方法

三角州は粒が細かい土砂が蓄積するため水はけが悪いですが、その特徴を生かして水田として利用されることが多いです。また、平地で人が住みやすいため都市化することもあります。

三角州は大都市化もしやすい

三角州は海の近くにできることが多いため、工場や港などを作るのにも向いています。経済活動に最適な土地なため、大都市化もしやすいです。

日本三大都市である東京・大阪・名古屋も、それぞれ三角州の上に発展した都市で、東京は江戸川、大阪は淀川、名古屋は庄内川からできています。

大都市以外では広島などが有名な三角州の地です。広島という地名には、三角州が大きな島に見えたことから名づけられたという由来まであります。

扇状地の土地利用方法は?

扇状地は粒が大きな土砂(礫)が積もるため、三角州とは逆に水はけが良いです。さらに山の斜面で日当たりも良いため、果樹園として利用されることが多いという特徴があります。

甲府盆地はぶどうや桃、山形盆地はサクランボ、道後平野はみかんの生産が盛んなことで有名なので、しっかりと覚えておきましょう。

三角州(デルタ)・扇状地の補足知識

上記では三角州と扇状地のでき方やできる場所などの基本情報を解説しました。ここからは中学受験で出題されることが多い、三角州と扇状地の細かな知識について確認していきましょう。

三角州(デルタ)の由来と代表例

三角州は形がギリシア文字のデルタ(Δ)に似ていることから、デルタ、デルタ地帯、デルタ地形などと呼ばれることもあります。世界有数の規模のデルタといわれるのがナイル川の三角州です。

ナイル川の三角州

上図のようにナイル川では三角形に土地が広がっていますね

中学受験の頻出問題

また中学受験では濃尾平野の三角州と、そこを流れる木曽三川(木曽川、揖斐川、長良川)がよく出題されます。木曽川下流には、集落ごとに洪水などの水害を防ぐ輪中(わじゅう)があることも併せて覚えておきましょう。

輪中とは中州の周囲を囲んだ堤防や、囲まれた集落のことです。周りの推移よりも地面の高さが低いため、昔から水害への対策が取られてきたのです。

三角州には鳥趾状三角州・円弧状三角州・カスプ状三角州の三種類がありますが、こららの知識は応用的な内容です。余力がある方のみ抑えておけば良いでしょう。

扇状地の由来と代表例

扇状地は文字通り、土砂が扇状に蓄積してできた土地です。扇状地の頂点を扇頂・末端を扇端・中央部を扇央と呼びます。ここでは扇状地の代表例として、甲府盆地を紹介します。 甲府盆地の扇状地 上図のように山の間から川が出てきて扇状地を形成しています。

先述の通り、甲府盆地は桃とぶどうの栽培が有名です。2019年度の農林水産省のデータによると、桃とぶどうの生産量一位は甲府盆地がある山梨県が獲得しています。

同様に2019年度の農林水産省のデータによると、サクランボが有名な山形盆地がある山形県はサクランボの生産量一位を獲得しています。

役に立つ語呂合わせ

三角州と扇状地の違いが理解できたものの、こんがらがってしまうという方は語呂合わせで覚えるのがおすすめです。 「戦場で三兵から三角に囲まれる」 という語呂合わせを使って覚えましょう。

「戦場」は「扇状地」を表します。そして「三兵から」は「山から平」を意味します。つまり、扇状地が山から平地に向かっている途中に広がる土地であることを表現しています。

同様に「三角」は「三角州」を表します。「囲まれる」は「河口」にかかっていて、三角州が河口にできる地形であることを表しています。

試験ではどう出題されるの?

三角州と扇状地の違いや覚え方は理解できましたか?では、ここからは実際の試験でどのように出題されているのかを見てみましょう。

中学入試における実際の出題例

以下は実際の入試問題で出題された例です。

次の文章を読み後の問いに答えなさい(文章は一部変更してあります。)

ぶどうと桃のいずれの果物も水はけの[A]土地を好みます。そうした地形は河川の[B]に多く、そうした地形は[C]と呼ばれます。また、収穫までの降水量が少なく、日照時間が長く、また一日の寒暖差が大きい場所が適していると考えられます。

問:空欄 [A] から[C] に当てはまる語句の組み合わせとして最も適当なものを次から1つ選び、記号で答えなさい。

ア A良い B上流 C扇状地
イ A悪い B上流 C扇状地
ウ A良い B中流 C扇状地
エ A悪い B中流 C扇状地
オ A良い B上流 C三角州
カ A悪い B上流 C三角州
キ A良い B中流 C三角州
ク A悪い B中流 C三角州 2018年度開智日本橋中学 社会より

これまで解説してきたように、ぶどうや桃の栽培は水はけの良い土地が向いているため、扇状地で栽培されています。

扇状地の語呂合わせは「戦場で三平から」でしたね。扇状地は山から平地に向かって形成されるため、川の中流にできることが多いです。つまりウが正解となります。

さらなる演習には通信教育がおすすめ

通信教育の中でも中学受験に強いものが存在します。そのような講座の中では以上のような三角州や扇状地に関する社会の問題が豊富に掲載されています。

低価格で始められるため、塾に通いつつ通信教育も補佐として使う生徒も多く存在します。

また、低学年専用の講座をつかえば、低学年の頃から受験対策ができるのも大きな特徴です。

中学受験に特化した通信教育についてはこちらの記事で紹介しています。

三角州(デルタ)と扇状地についてまとめ

三角州(デルタ)と扇状地についてまとめ

  • 三角州と扇状地のでき方などには共通点があるが、できる場所や利用方法が異なる
  • 三角州はデルタ(Δ)に似ているため、デルタ地帯やデルタ地形などと呼ばれることもある
  • こんがらがる方は「戦場で三平から三角に囲まれる」という語呂合わせを活用して覚えよう

三角州は河口(下流)付近に形成されることが多く、水田に使われたり大都市化したりします。一方の扇状地は山から平野になる場所(中流)に形成されることが多く、水はけが良いため果樹園として利用されることが多いです。

三角州と扇状地は似ている点が多いですが、それぞれの特徴を理解すれば覚えるのは難しくありません。

それでも覚えにくいと感じる方は、ぜひ記事の中で紹介した語呂合わせを活用して覚えましょう。